恋を表している?
消し忘れ 消し忘れたライト
街は花びら さよならの風
悲しみ 悲しみと同じ
君の歩幅で歩きたいのに
出典: ルーキー/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
さよならの気持ちを歌っているのではないでしょうか。「街は花びら」という歌詞は「桜の花びらが舞い散っている状況」を描写しているのかもしれません。
そうなると春の別れということですね。消し忘れたライトというのは別れた人の想い出と考えてみてはどうでしょうか。
別れた人の想い出が消し忘れたライトのように頭から離れないという状況です。別れた人に対して未練を歌っているのではないでしょうか。
だからこそ、「悲しみと同じ君の歩幅で歩きたいのに」という言葉が出てきます。
本当は君と並んで、君の歩幅といっしょに歩きたいという願望です。でも、もう別れてしまったからその願いは叶いません。
切ない状況を描写しているのではないでしょうか。
この楽曲は「ルーキー」である若者の恋の気持ちを歌っているとも考えられます。
まだ経験が浅いから「こうしたい」という気持ちと、実際の行動が相反してしまう。
そのことに彼は戸惑いを感じているのではないでしょうか。
季節が過ぎ去り、恋人との別れを経験しても自分はその季節を止めることができない。
そんな無力さが感じられる歌詞となっています。
切ない想い
行かないで 行かないで
言わないで 思い出して
出典: ルーキー/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
ここは別れてしまった人への想いを表現しているのではないでしょうか。
「行かないで」と懇願していますが、すでに別れてしまっているのでしょうね。
「言わないで」とは「別れよう」とは言わないでということ。「思い出して」はあの楽しかった2人の日々を思い出して!ということ。
「私を好きだったことを思い出してよ!」という意味もあるかもしれません。何れにせよ切ない想いの歌詞です。
「ルーキー」の歌詞の世界はいかがだったでしょうか。
「行かないで」という切ない願いに心打たれる歌詞ではなかったでしょうか。
サカナクションのエレクトロニックなサウンドと切ない言葉がよくマッチする楽曲。
今夜は失恋した体験を思い出しながら「ルーキー」を聴いてみるのも良いかもしれません。
この楽曲において、切実さと同時に感じるのはどこか力強い想いです。
山口一郎が込めたかったのは想いの中身の感情である悲しみや切なさよりも、想いの強さそれ自体なのではないでしょうか。
つまり「ルーキー」、若者だからこその焦燥感が生み出せる想いの強さを表現したかったのでしょう。
この楽曲が失恋についてだと感じられるのは、恋がそれだけ強い感情を引き出すものだからなのです。
「ルーキー」のMV
映像もチェック
部屋のシーンと街のシーンで構成されるPVです。主演はサカナクションのボーカル山口。
最後は女性が道端で倒れている場面で終わります。いろいろな解釈ができる映像ですね。自分だけの理解で見てきましょう。
「ルーキー」の歌詞が抽象的なのと同じようにPVも抽象的です。
抽象的ながらも全体の雰囲気はやはり喪失感があふれている映像なので切なさを感じます。
抽象度の高いアーティスティックなPVといえるのではないでしょうか。
サカナクションというと、そのPVも話題になることが多いアーティスト。
これを手がけた監督も、彼らの世界観を映像で表現しようといろいろと考えたことでしょう。
歌詞と同じで、このPVも様々な解釈のできる作品となっています。
何通りもの解釈ができるのは、それだけ作品自体が重厚であることを表しているともいえるでしょう。
彼らの音楽性もそれだけ深化していっていると考えられるのではないでしょうか。
「ルーキー」をカバー
どうカバーする?
エレクトロニックな「ルーキー」ですが、このままカバーしても面白くないのでいっそのことエレクトロニックは排除するカバーはいかがでしょうか。
デジタルな楽器は一切使用せずにギター1本やピアノのみでのカバーは「ルーキー」の新しい魅力を引き出すのではないでしょうか。
打ち込みを一切なくして生楽器だけで演奏してみるのはいいかも知れません。
サカナクションの楽曲というのはエレクトロニックなサウンドが多く使われているため、カバーする時にはどうするか悩み物です。
しかし生楽器でカバーすることで、その楽曲の骨格が浮き彫りになります。
それはすなわち、山口一郎のソングライティング能力を更に直接的に感じられるということです。
興味がある方は演奏してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回はサカナクションの「ルーキー」についてご紹介してきました。
歌詞もPVも抽象的でアーティスティックな作品となっており、サカナクションにしか表現できない独自性を感じます。
下手すると難解になってしまいがちですが、彼らだからこそこのようなポップな形で表現できたのではないでしょうか。
歌詞は内省的ながら、サウンドはエレクトロニックでその対比が楽曲を立体的に見せています。
サカナクションの職人的ともいえるこだわりが感じられる作品といえるでしょう。
それでは最後に、この記事をここまで読んでくださった方に向けてOTOKAKEのオススメの楽曲解説記事をご紹介します。
今回は同じくサカナクションの楽曲の中から、「目が明く藍色」と「さよならはエモーション」をピックアップしました。
彼らの独自性に触れられる楽曲たちの解説をこの機会に是非、ご覧になってみてはいかがでしょうか。