日本の祭のエッセンスをレンジらしく表現した異色作
「祭男爵」は、ORANGE RANGEの2ndアルバム『MusiQ』の収録曲です。
タイトルそのままに、日本の伝統的な祭の拍子や展開を取り入れた異色の作品です。
この威勢の良さや疾走感が堪らなく好きでカラオケに行ったら必ず唄うという人もいるようです。
早速、どんな歌詞なのかを見ていきましょう。
心を沸き立たせる祭りのリズム
最初はラップ調の前口上
始まるぜ夏祭り 今宵ここに集まる 皆が元気ハツラツ軽々とこえる一線
上げろ声上げろ せーのワッショ! せーのワッショ! 轟けよ合唱 新たな君が誕生
出典: 祭男爵/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE
祭りの日の宵の口というのは、何となくそわそわした気分です。
遠くからは子供神輿の賑やかなお囃子。
爆竹の渇いた音。それに続いて男女の嬌声が聞こえます。
夕暮れの風にのって流れてくる綿あめの甘い匂い。
薄青緑のラムネの瓶。かき氷の白に溶けていく赤や緑のシロップ。
浴衣姿の女の子を見て、男の子たちが口笛を鳴らします。
そんな姿を懐かしそうに見ているおじいさん。
「祭り」は、神々と人間たちの逢瀬の時間。だからすべての境界が曖昧になります。
日常と非日常、聖と俗、生者と死者、人間とあやかし、そして、男と女…
祭りの夜だから許される熱い瞬間。
それをどこかで期待しているから、男たちも女たちも色っぽいのです。
場を盛り上げる威勢の良いかけ声は、次第にリズムもぴったり合ってきます。
歌詞の「君」は、「You」と「王」の両方を表現したものでしょう。
恥じるのは恥
夏が始まった 男・女みんな踊れ 祭り太鼓片手に
裸なんて恥じるな 己の足で立って(JUMP) 華麗に舞え
出典: 祭男爵/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE
土俗的な和太鼓の音は、魂の底から全身に響きわたります。
踊りながら叩くバチ。
浴衣を大きくはだけて半裸で踊る男たち。そして所在なげに周囲を見渡す少年。
恥ずかしがってどうする!祭りなんだぞっ!と怒声が飛びます。声の調子とはまるで違う笑顔で。
そう、祭りの夜は、子どもが大人になる神聖な時間です。
たくましく成長した若者たちは、しかりながら、いたわりながら、それを助けます。
飛べるように、大人になれるように。
祭りはクライマックスに
夜空に輝く一瞬の大輪
空高く アイアイヤー 恋も遊びも 華麗に盛大に
後悔だけはしたくない タテル限り 男の祭り 青春花火
出典: 祭男爵/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE
宵闇の天空に尺玉が龍のように昇っていきます。
やがて頂点で爆発し、大輪の祭り花火が花開きます。
無数の光点は柳葉のように四散し、また戻る静寂の闇。
その一瞬の輝きと自分たちの今とが重なります。
祭りの夜がこの一夜限りであるのと同じように、ここに集う俺たちはこの一瞬を生きている。
あの花火が夜空に輝いているのと同じように、俺たちの生命も輝いている。
だから悔いも未練も残したくない。
この興奮が冷めやらぬ限り。
祭りのクライマックスの部分です。
ラップ調の低いトーンから一転して、疾走感溢れる曲調に変化します。
カラオケでは大合唱になってしまうでしょうね。
沸き立たせるエネルギーのようなものが感じられるフレーズです。
この勢いは誰にも止められない
フルスピードで突っ走れ!
あたって砕けろ的な気持ちでGO 下駄で踏み込んだアクセルはもう
止まらない 止まる気ない ブレーキ捨てた夏 俺の青い春 夏の終わり花開く
出典: 祭男爵/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE