懐かしい写真にあの日が残ってたんだよ
裏道のイタリアン
二人で歩いて、よく行ったね
数え切れない僕の間違いも
使い切れず残ったシャンプーも
僕の悪い癖も君はわかっていたんだ
何万回君が目を瞑って僕に言わないでくれた言葉って
ずっと、そっとそばにいる、ということ
ずっとずっと「寂しかった」ということ
二人の映画に乾杯を
出典: 悪い癖/作詞:椎木和仁 作曲:椎木和仁
写真を見返しながら、そうやって失った彼女のことを思い出しているのでしょうか。
二人で過ごした懐かしい時。
行きつけの店に行って、笑いあっていた日々。
その日々の中で、”君”は少しずつ寂しさを抱えて、それがどんどん大きくなっていった。
”僕”は、それに心のどこかで気付いていながらも、あの時はどうしていいかわからず、知らないふりをするしかなかった。
”僕”の”悪い癖”という名の”間違い”。
時が経った今なら、はっきりとわかる。
でも”君”には、あの時にはすでにわかっていたのです。”僕”の”間違い”が。
それでも、何も言わないでいてくれたのでしょう。
ついに”君”が口にすることのなかった、「寂しかった」という言葉も。
それから、「ずっとそばいにる」という言葉も。
そう、”君”も、自分の気持ちを言葉にすることができなかったのです。
”それが”君”の間違い”。
どちらかの言葉を発していたら、また違っていたのかもしれません。
それでも、過去は覆ることはなく。
今は静かに、あの時の二人に、乾杯を送ります。
まとめ
My Hair is Badの「悪い癖」は、男女がすれ違っていくという物語です。
カップルが会話をしている場面からこの物語は始まっていきます。
「好き」という感情に間違いはないが、そこに「愛」があるかどうかわからない。
主人公である男(僕)は、最後になってやっと気が付いた。
君の「悪い癖」に甘えていたのでしょう。
ここからは「悪い癖」の歌詞を抜粋しながら要点をまとめていきます。
すれ違っていく二人
あの、六文字、が流れて
気付けばなぜか二人とも泣いていた
出典: 悪い癖/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
この場面から読み取れることは、男女はすれ違いから生まれた感情によって別れ話をしているのでしょう。
この楽曲に登場する「六文字」について、色々と考えた人もいるのではないでしょうか。
その意味については、歌詞の中に答えが出てきていました。
上記で説明した通り、この言葉は「さびしかった」なのです。
男性は、女性の何でも受け身な態度に「寂しさ」を感じていたのではないでしょうか。
もっと言葉でしっかり伝えて欲しいと思っていたのかもしれません。
逆に女性は、彼の話している言葉ひとつひとつによって、躱されていると感じていたのではないでしょうか。
彼は恥ずかしがり屋だったのか、素直に伝えることが苦手だったようにも思えます。
しかし結局肝心な思いを聞くことができず、彼女は「自分ばかり好きなのではないか」と思ってしまったのでしょう。
そして何度も躱されているうちに、その言葉に感情が込められているか不安になってしまったのです。
同じ「好き」という言葉でも、すれ違っていくことによって少しずつ歯車が狂い始めます。
気が付いたときにはもう戻れないほど、ずれ込んでしまっていた。
このような悲しい情景が、この場面の歌詞から読み取ることができます。
飾られた言葉ではなくて
何万回使い古された愛してるより
君が欲しかったものって
出典: 悪い癖/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
この部分の歌詞の重要なポイントは、「愛している」という言葉ではありません。
その前に記されている「その言葉はたくさん使われている」という状況です。
彼女は、その言葉が彼の本心なのだと本当は思いたかったのでしょう。
しかし彼の発する「愛している」には、心を感じられなくなってしまったのです。
彼に何を言われても受け身だった理由は、彼に鬱陶しいと思われたくなかったことからなのでしょう。
そんな思いが裏目に出てしまい、彼のことを信用できなくなってしまったのです。
この部分の歌詞に出てくる彼女が求めていたものとは、彼からの「愛している」という気持ちや態度のこと。
気持ちが込められているか込められていないかでは、言葉の重みが違う。
彼女の気持ちを察することができずいつも蔑ろにしていた僕は、別れる直前になってやっと気が付くのです。
二人の癖
二人の映画に乾杯を
出典: 悪い癖/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
この部分は「悪い癖」の最後の歌詞です。
この楽曲の主人公である僕は、別れた君との過ごした出来事を思い出しているのでしょう。
「あんなに近くにいたはずなのに…」というような不甲斐ない気持ちが込められているように感じられます。
「乾杯」という言葉には祝うというような意味が想像できますが、この場合はそうではありません。
今までの思い出に別れの意味を込めて、辛さを忘れようと「乾杯」したのでしょう。
その行為は、もちろん君としたわけではなく、ひとり静かに行ったのです。
すれ違った二人は、元に戻ることができず別れてしまった。
そのような切ない思いが、この歌詞部分から読み取ることができます。
My Hair is Badの魅力
この曲の作詞、作曲を担当したギターヴォーカルの椎木和仁は、ほとんど自分の実体験が歌詞のもとになっているといいます。
それゆえ、ファンの共感を得て高く支持されるのではないでしょうか。
この「悪い癖」には、あのライヴパフォーマンスの激しさからはちょっと想像ができないような(失礼)繊細さが感じられ、My Hair is Badのちょっと違った一面を垣間見ることができます。
離れてしまった恋人を思い返しながら聴いてみると、また違ったMy Hair is Badの魅力にやられてしまうかもしれませんね。