真琴はとっても不器用な女の子。
千昭のことが好きだなんて思いもしなかったことが劇中にも描かれています。
しかし、いつまでも何も変わらずにいられる訳ではありません。
時は過ぎていくばかり。
起こってしまったことをなかったことには出来ない。
人の想いをなかったことにしてはいけないんだ。
その現実が千昭に対する想いの強さを気付かせます。
だから、真琴は想いを告げにいくのです。
待ってられない未来がある。
ウジウジしていた真琴が時をかけて千昭に会いに行きます。
最後のタイムリープを使って。
最後の言葉
いつまでも忘れないと あなたが言ってくれた夏
時間が流れ 今頃あたしは涙がこぼれてきた
出典: ガーネット/作詞:奥華子 作曲:奥華子
しかし、そこに待っていたのは千昭が未来へ帰ってしまうという現実。
やり場のない想いを抑えていた真琴が涙を流します。
子供のように泣きじゃくる真琴。
「未来で待ってる」
千昭が残した言葉が真琴に変化をもたらします。
未来へかける想い
あなたと過ごした日々を この胸に焼き付けよう
思い出さなくても大丈夫なように
いつか他の誰かを好きになったとしても
あなたはずっと特別で 大切で
またこの季節が めぐってく
出典: ガーネット/作詞:奥華子 作曲:奥華子
切ない現実を前にしても変わらない真琴の気持ち。
千昭へのありったけの想いが高らかに歌い上げられます。
千昭と過ごした日々。
待ってると言ってくれた夏。
この季節があなたを思い出させてくれる。
どんなことがあってもあなたは特別な人なんだ、と。
「うん。すぐ行く。走っていく。」
真琴が千昭に伝えた言葉が思い出されます。
時が流れても千昭に会える訳ではないのかもしれません。
千昭は遠い遠い未来から来たのですから。
それは真琴にとって、あまりに辛い現実でしょう。
だからこそ、真琴は千昭が観たがっていた絵を千昭のいる時代まで残そうと決意します。
季節がめぐるように、この想いは未来へとめぐっていくのです。
失恋ソングの女王・奥華子
「ガーネット」の作詞作曲を手掛けた奥華子は失恋ソングの女王として知られています。
彼女の奏でる音楽は、心に響く美しいメロディと描写の優れた詩的な歌詞が特徴です。
そして、その優しく語るような歌声がこの曲の魅力を最大限に引き出しています。
心に沁みる歌声
「ガーネット」の美しいメロディ。真琴の想いが詰まった歌詞。
彼女の繊細な声が聴く人の心を掴んで離しません。
それら全てが作品の世界にマッチしているのは驚くべきことです。
「時をかける少女」は彼女なくして存在し得なかったのではないか。
そんな考えがよぎるほど、この作品の魅力を表現し尽くされています。
作品を象徴する楽曲として愛され続けているのも頷けます。
奥華子の真骨頂
しかし、そんな彼女の真骨頂は「ガーネット」に代表されるような前向きな曲です。
彼女が歌うポジティブなメッセージが込められた楽曲。
それは、ただ明るいだけではありません。
一見、きれいごとに思えるような歌詞もありますが、そこあるのは奥深さです。
悲しみも苦しみもどうにもならないような現実も知っているからこそ歌える歌。
光の中では光が輝かないように、暗い現実が希望を輝かせます。
「ガーネット」を聴いて頂いたみなさんには分かるのではないでしょうか。
それが奥華子の真骨頂であり、最大の魅力なのです。