1番の歌詞

Mr.Childrenの応援歌「innocent world」の歌詞を解釈するの画像

1994年6月にリリースされた、5枚目のシングル「innocent world」。 タイトルを日本語訳すると、「無垢な世界」という意味だそうです。 200万枚近くを売り上げ、さらには、日本レコード大賞も受賞しています。 さっそく1番の歌詞を見てみましょう。

Aメロ~Bメロ<自分を好きになろう>

Mr.Childrenの応援歌「innocent world」の歌詞を解釈するの画像

黄昏の街を背に 抱き合えたあの頃が胸をかすめる
軽はずみな言葉が 時に人を傷つけた そして君は居ないよ

出典: innocent world/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

恋人との思い出がふと蘇るような時はありませんか。 この歌詞の主人公も、恋人と抱き合ったりしていた幸せなころを思い出しているようです。 ところが、軽はずみな一言で彼女を傷つけてしまい、現在は別れてしまったことが語られています。 失恋っぽい歌詞から始まるので、恋愛ソングのように思う方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、恋愛関係のことは、このAメロでちょろっと触れているだけで、この先はあまり出てきません。 ですので、どうやら失恋している人を励ますような感じの応援ソングとは違うようです。

窓に反射する(うつる) 哀れな自分(おとこ)が
愛しくもある この頃では
Ah 僕は僕のままで ゆずれぬ夢を抱えて
どこまでも歩き続けて行くよ いいだろう?
mr.myself

出典: innocent world/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

窓の外でも眺めながら、そういう過去の恋愛を思い出して、少し感傷的になっていたのでしょうか。

我に返って窓に目をやると、少し冴えない表情の自分と目が合います。

その恋愛を後悔している気持ちもあったのかもしれません。

しかし、そんな僕ではあるけど、自分のことは別に嫌いじゃない。

最近では好きにさえなってきた。

そんな風に歌われています。

こういう場合に自己嫌悪にむかう歌詞は、一般的によく耳にすると思います。

しかし、「innocent world」では少し違うみたいです。

作詞者の桜井さんの性格なのかもしれませんが、自己肯定の心情が見えます。

そして、楽観的かもしれないけど、僕らしく、これからも変わらず、夢に向かって進んでいくよ。

そして「いいだろう?」と自分に問いかけています。

こういった少し楽観的な考え方は、他のミスチルの歌詞にもよく見られます。

他の曲でもぜひ一度意識して聞いてみてください。

サビ<無垢な心を持ち続けたい>

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いつの日も この胸に流れてる メロディー
軽やかに 緩やかに 心を伝うよ
陽のあたる坂道を昇る その前に
また何処かで 会えるといいな イノセントワールド

出典: innocent world/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

このサビの部分は、単純に主人公の気分的なものを描いているともいえます。

ですが、Bメロとのつながりがいまいちわかりにくいです。

私は「夢」というのがキーワードになっているのではないかと思っています。

そして、ミスチルの「夢」が、このサビの部分で語られているように思います。

ようするに、誰かの胸の中で、軽やかに緩やかに、いつも流れているような歌を作りたい。

そして、この「innocent world」という歌も、そんな応援歌のようなものであってほしい。

そういった、彼らの願いがこめられているような気がします。

それでは、そのあとに続く、3行目・4行目の歌詞はどういう意味でしょうか。

「陽のあたる坂道を昇る」というのは、前後の文脈からすると、夢に向かって進んでいくことでしょう。

しかし、その前に、「イノセントワールド=無垢な世界」をもう一度体験したいな、と言っています。

うーん、少しわかりにくいですね。

無垢な世界と言っても、浄化された世界というような宗教的な意味ではないと思います。

そして、「また何処かで」と言っていますので、以前に体験したことがあるということがわかります。

さらに、夢を追うことの大変さ、Aメロでの失恋で感傷的になっていた心なども一緒に考えてみましょう。

そこから推論すると、恋人と付き合い始めたころの初々しさ、夢を追いかけ始めたころの必死さ。

もしくは、子供の頃のように純粋さ。

今は生活や恋愛や仕事に慣れてしまっているけど、そういった無垢な心を持ち続けたい。

そんなふうな思いが込められているように思います。

2番の歌詞

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Aメロ~Bメロ<自分らしく生きよう>

近頃じゃ夕食の 話題でさえ仕事に汚染(よご)されていて
様々な角度から 物事を見ていたら自分を見失ってた

出典: innocent world/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

二番のAメロです。 一番のAメロで、「軽はずみな言葉が時に人を傷つけた」と言っていましたね。 それと同じように、自分のあまりよくない面が歌われています。 仕事に追われている毎日の中、社会的な役割や責任を持つようになったせいなのか。 いろんな視点で物事を考えるようになってきた。 他人への気遣いだったり、例えば、あの人の立場だったらこう考えるなぁ、といったことだとか。 それは悪いことだとは言えないのだけれど…。 他人や会社や環境や社会などに柔軟に合わせて生きていけるように成長した。 だけど、気付いたら、「本当の自分」というものがわからなくなってしまっていた、ということでしょう。

入り組んでる 関係の中でいつも帳尻 合わせるけど
Ah 君は君のままに 静かな暮らしの中で
時には風に身を任せるのもいいじゃない
oh miss yourself

出典: innocent world/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

仕事も人間関係も、上手く、そして、賢くこなせるようになった。

だけど、そんなに難しく考えないで、もっと楽観的に、自分らしくいこうよ。

たまにはなりゆきまかせもいいじゃないか、もっと気軽にいこうよ、と歌っています。

リスナーの人々に語りかけているように、そして、応援しているように歌われています。