SNSをはじめとして、ネットの世界ではさまざまな情報が常に流れています。
その流れを、ここでは春風に例えているのでしょう。
春風は、冬の寒さを耐えた花の芽吹きを知らせ、新しい景色や風景を見せてくれるものです。
主人公はネットに自分の歌を公開しているのでしょう。
その歌が春風のように誰かの心に吹き込んでいくことを実感していたようです。
自分の歌が、誰かの世界や気持ちを変えることができている。
そのことを純粋に嬉しいと感じていることが読み取れます。
満ち足りた人生
人生だとか 青春だとか
不条理に思うことなんてなかった
出典: そして花になる/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
この時の主人公は、自分の人生に満足していたのだろうと読み取れます。
自分のしたいことをして、それが誰かに影響していることが純粋に嬉しい、満ち足りた生活だったのでしょう。
その生活の中には不満は何もなく、人生も青春も、今のままが良いと思っていたのかもしれません。
歌う理由
好きだからこそ
私が歌を歌うのは
歌が好きだったってわけさ
好きなものを 好きなことを
好きでいることに理由はいらない
出典: そして花になる/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
主人公が歌うのは、単純に歌が好きだからのようです。
確かに、自分の歌を多くの人が聴き、それを好きだと言ってくれる人がいることは嬉しいでしょう。
自分のファンが多くいることが、歌い続ける原動力の一つになるかもしれません。
しかし、彼女が歌い続けている一番の理由は、歌が好きだからです。
どうして好きなのか、という理由なんてありませんし、理由はきっとどうだっていいのでしょう。
ただ自分が好きなことだから歌っているのです。
誰が聞いていなくても
だから私は歌うのだ
名前のない花が咲いた
あなたが知らなくたって どうでもよかった
でもあなたがいるから 私は私になれる
出典: そして花になる/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
主人公は「歌が好き」という気持ちを原動力にして歌い続けています。
多くの人が利用しいているネットには、他にもさまざまなコンテンツが公開されています。
それを見ている人の中には、主人公のことは知らないという人もいるでしょう。
しかし主人公は、自分を知らない人がいるということはあまり気にしていないようです。
あくまでも自由に、好きなように歌っています。
自分を知らない人にとっては、主人公は「ネットに公開している大勢」の中の一人でです。
それはいわば名前のない有象無象であり、野に咲く花のようにひっそりとした存在だったかもしれません。
しかし、何かのきっかけで自分を知ってくれたら、主人公を「主人公」として認識してもらえます。
その瞬間に、主人公の存在はその人の中に根を下ろして花開いていくのでしょう。
良いことばかりではない世界
辛いこともある中で
雛鳥は泣く
儚い日々が誰かの涙になる
断ち切れない糸が絡み合って
それを恋と語った
出典: そして花になる/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
ネットではさまざまな人が活動しています。
その中には、好きなことをしている人もいれば、有名になろうとして活動をはじめる人もいることでしょう。
はじめは誰もが無名な状態で、それはまるで雛鳥のように覚束なく、探りながらの活動のはずです。
そこから有名になる人もいれば無名のままやめてしまう人もいます。
思うように活動できない日々が辛く感じることもあるはずです。
それでも諦めることなく、細々とでも活動を続ける人もいるでしょう。
その活動が、誰かの心に響いているかもしれません。
好きなことをして、それが誰かの感動を呼ぶことができれば、それはきっと何にも代えがたい経験です。
その経験への自分の感情は、まるで恋のようなものだったのかもしれません。