これが本当に最後の歌だったら。自身を客観的に捉えた一曲。
メジャー1stシングルとして発表された「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」。
私自身も大好きな曲の一つです。 このタイトルから何を伝えたかったのか、何を描きたかったのか。
初めて耳にした時はただただ切ない王道ポップサウンドだなあと思いました。
何年も経って検索してみたら、 まだ残っていたインタビューの一節が目に飛び込んできて、この曲の新たな一面が見えてきました。
バンドのボーカルが初めてのワンマンライブツアー中にふと思った疑問。
ずっとやってきたことに最後が訪れた時、お客さんはどんな想いで聞いてくれるんだろう。そんな気持ちを、 歌姫のラストステージを観るオタクの胸中に重ね合わせて描かれています。
当たり前だと思っていたよ。さよならなんだね。
さよなら歌姫最後の曲だね 君の歌が本当に好きだ
今夜も歌姫凄く綺麗だね 君のことが本当に好きだ
さよなら歌姫アンコールはどうする 君の事だからきっと無いね
それなら歌姫アルコールはどうする 僕は全然飲めないけど
出典: おやすみ泣き声、さよなら歌姫/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
1番のAメロ部分です。
歌姫のラストステージの最後の曲の演奏が始まる。
一生懸命に歌い出す歌姫の姿を見ながら 男性は胸がいっぱいになって、 ステージに語りかけているかのように、心の中で呟きながら ライブを見ています。
(アンコールを期待したいけど、いつものパターンだと無いよな。 アンコールじゃなくてアルコール飲んじゃう?僕は飲めないけどね。)
そんなことを考えながら気を紛らわせているようにも感じます。
こういった細かい言葉遊びもクリープハイプの歌詞で多く書かれています。聞いて気づけなかったことが歌詞を読んで気づかされることもよくありますので、 歌詞もちゃんと目にして欲しいです。
これが本当にさよなら。なのに気づいてあげられなかった。
僕も随分年をとったよ こんな事で感傷的になってさ
今なら歌姫 やり直せるかな
君はいつも勝手だ
出典: おやすみ泣き声、さよなら歌姫/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
2番のAメロ部分です。
長い年月応援してきたのに、
最後という切なさ、最後まで気持ちを汲み取れなかった虚しさに後悔し、
あの時間に戻ってちゃんと気づいてあげたい。
という歌姫に対する気持ちが溢れているように聞こえます。
あれが最後になってしまったのか、、、
最後の4小節君の口が動く
最後の4小節君が歌う
最後の4小節君の気持ちが動く
さよなら
歌声 歌声 でも君は泣いていたんだね
無き声 無き声 僕は気づけなかった
出典: おやすみ泣き声、さよなら歌姫/作詞:尾崎世界観 作曲:尾崎世界観
ラスサビ前〜ラスサビ部分です。
最後の曲の最後の部分。あっという間に終わっちゃうからしっかりと目に焼き付けて脳裏に焼き付けようと歌姫を見つめる男性の姿が目に見えてきます。
これで本当にさよなら。ありがとう。泣いている声も声にならない声も、 僕は最後の最後まで気づいてあげることができなかったんだ。
本当に聞けば聞くほど、読めば読むほど切な過ぎる曲です。
メジャーデビューという嬉しいことにも曲は浮足立たず、反面教師なバンドの姿を最初から嘘つかずさらけ出すということは歌を本当に大事にしていて、いつも最後のステージだと思うくらい、ライブに命を捧げているバンドです。
というメッセージが込められているような気がしました。