「サファイアの星」に誓った愛

東京スカパラダイスオーケストラ【サファイアの星 feat.CHARA】歌詞の意味を解釈!探し物は何?の画像

2006年2月15日発表、東京スカパラダイスオーケストラシングルサファイアの星 feat.CHARA」。

アルバムWILD PEACE」からの第2弾シングルとして発表されました。

この頃から東京スカパラダイスオーケストラは歌ものへの取り組みを本格的にします。

永積タカシ、CHARA、甲本ヒロトなど豪華メンバーを迎えて送り出した「ウタモノ三部作」第2弾です。

CHARAとスカの相性がここまでよいとは新発見に近いものがありました。

歌詞にもあるとおりなのですが映画のサウンドトラックを聴いているような印象もあります。

ストーリーや場面に見られる男のロマンの在り方が非常にハードボイルドだったりして興味深いです。

男のロマンを「いつまで続けるの」と問いかける女性の語り歌詞の主軸になっています。

この曲「サファイアの星」の歌詞を徹底解釈しましょう。

果たして探しものというものは見つかるのでしょうか。

人生においての探しものを見つけることはどこか遠い旅のように気の遠くなるものです。

男のロマンに呆れながらも応援してくれるCHARAの心が美しいでしょう。

それでは実際の歌詞をご覧ください。

探しものは何なのか

あなたと堂々めぐりの日々

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ねぇまだ
終わらない旅を続け
「探し出せない」と
夢の中ひとりごと言う日々を
追いかけるの?

出典: サファイアの星 feat.CHARA/作詞:谷中敦 作曲:沖祐一

歌い出しの歌詞になります。

CAHARAのボイスは魅力的ですから、一瞬にして楽曲の中に入り込めるでしょう。

この箇所はとても大事な歌詞になりますので、曲中に何回かリフレインされます。

登場人物は語り手の女性と愛するあなたです。

語り手の女性は1人称が指定されていません

こうした設定は谷中敦の作風なのでしょう。

彼が書く歌詞には主人公と思わしき人物が僕とも私とも称さないケースが多いです。

記事の中では便宜上、私と表現いたします。

もちろんCHARAの雰囲気ならあたしかもしれないと思っていただいても結構です。

私はあなたの行動について論評を加えます。

あなたについての私の信頼はかなり厚いものです。

ただ、最近のあなたは堂々めぐりしていませんかと問いたげなところがあります。

もっと大胆に振る舞って欲しいなという思いを見え隠れさせるのです。

人生は旅のようなものとはいえ

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人生というものを旅に喩えています。

この喩えは私によるものかもしれませんし、あなたがかつてそう語った可能性もあるのです。

人生を旅に喩えるのは芸術・文化の世界では常套句かもしれません。

生まれ落ちてから、死ぬまでの道のりを私たちは旅のようなものだと考えています。

それは日帰りや1泊2日で愉しめるような気軽な旅ではありません。

本当に生まれてから死ぬまでの長い間、私たちは何かの目的を持って旅しています

もしくは目的など持たずに、ノープランで生きている人もいるかもしれません。

旅の目的は人それぞれなのでしょう。

生き方の規範や模範というものは社会の中に不文律として存在しています。

しかし私たちは旅の中でこの決まりきったルートのようなものから外れてしまうことだってあるのです。

本来ならばどう生きようがその人の勝手かもしれません。

ならば自分もときには自由に振る舞って人と違ったものを探してみようかと考え始めるのです。

そのような探しものの季節はあまり長くは続けられないでしょう。

生活をしてゆくために私たちは規範に則って労働をしなくてはいけません。

しかしあなたはまだ探しものを続けているのです。

そしてその探しものが見つからないとつぶやくのですから、私は心配になるでしょう。

あなたの傍にいる私にしてみれば、なぜいつまでも探しているのという心境になっています。

夢を追いかけるのはなぜなのか私にその理由を話して欲しいと願っているのかもしれません。

しかし私はそんなあなたを詰ったり、責めたりはしないのです。

もうずっとあなたのこうした姿を見続けてきた私のどこかあきらめモードな気持ちが反映されています。

私はあなたに少し呆れてしまっているのです。

創作物の歓びとは

現実の奇跡を芸術に昇華すること

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世界を絵本に託し
忘れた夢
悲しいことも
詰め込んでわくわくさせてる
旅はそれで終り

出典: サファイアの星 feat.CHARA/作詞:谷中敦 作曲:沖祐一

この世界の在り方は奇跡でしょう。

美しい自然というものに目を啓かされるときなどは特に世界は奇跡だと実感します。

しかし私たちはそうした奇跡に触れる機会を絵本のようなファンタジーの世界に追いやると私はいうのです。

ファンタジーのような世界に昇華して、芸術や文化として鑑賞するようになります。

芸術や文化が持つ底力というものは世界の奇跡の再現可能性にあるはずです。

とはいえ実際の自然美などに触れた方が遥かに素晴らしい体験になるかもしれません。

自然の中で遊ぶことだって可能なのに私たちは生活のスタイルを変えることができないのです。

その分、絵本の世界、つまり芸術や文化は豊かになるかもしれません。

絵本に限らず、広く芸術・文化は想像力によって自然な事柄を人為的な創作物に昇華させます

創作物の中に興奮というものをたくさん詰め込んで、私たちは満足を得ようとするのです。

メタ創作物のような歌詞の愉しさ

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私はこの絵本が起こす奇跡のようなものをある程度評価しています。

そこに自分たちの夢というものを重ねているのですから大切なものなのでしょう。

音楽も絵本と同じように世界での驚きや奇跡を曲の中で表現しようとする創作物です。

「サファイアの星」という楽曲の歌詞は創作物の力について描いた創作物といえましょう。

メタ創作物とでもいうような歌詞の世界が面白いです。

私は創作物の中にすべてを注ぎ込むことで、あなたの旅だって終わりにできるはずだと歌います。

大切なものを芸術や文化の中で探してみないかと私はあなたに提案するのです。

創作物の中での答え探しは、現実世界で進路も分からずに当てずっぽうで探し回るよりも効率がいいでしょう。

創作物の中での答え探しであるなら、いつかはゴールに達するはずです。

ずっとあてもないままに歩きまわるよりも、真理というものをもっと手近にできるはず

私には創作物への信仰心のようなものが存在します。

そこには先人の智慧が反映されているのですから、生きるためのヒントもいっぱいあることを知っています。

だから長い旅だって終わらせられるかもしれないよと私はあなたに提案するのです。

あなたは世界のために祈る