フェスでは今や大トリのくるり。
フロントマンの岸田繫は近年交響曲も発表するなど、彼らの音楽にはロックに留まらず、民族音楽、打ち込みなど多彩な要素が取り入れられていて、もはやロックバンドというよりも音楽集団という言葉がしっくりくるかもしれません。
実際、オーケストラを迎えてのライブも行っていますが、フェス出演時は、意識してみんなが盛り上がれる曲を中心に選曲しているようです。
全国各地数々のフェスに出演しているので、まだライブを観たことがない人も、いつか目にする機会はあることでしょう。
今のうちに予習して、くるりの素晴らしさを堪能しましょう。
ワンダーフォーゲル
2000年リリースの6thシングル。
フェスの大定番で、必ずと言っていいくらい演奏される曲です。
そのため、イントロのギターが演奏された瞬間、大歓声が上がります。
フェスでは比較的1曲目に演奏されることが多いですが、たまにラスト曲として演奏されたこともあります。
あまりにも定番すぎて、あるフェスでは、他ミュージシャンがMCで観客に対し、「早くくるりのワンダーフォーゲルが聴きたいだろ?」というジョークを飛ばしたほどです。
ポップ色が強くとても聴きやすく覚えやすいので一般受けしたものの、これまでのくるりとは180度違うといってもいいほどのサウンドのため、コアなファンは好きな曲としてあまり挙げないかもしれません。(でも、フェスではちゃんとピョンピョン飛び跳ねるほどノッているのですが。)
ばらの花
一言でいうなら、大名曲。
くるりの曲のなかで一番好きな曲だと答えるファンは多いです。
コーラスで参加しているのは元スーパーカーのフルカワミキ。
岸田さんは今でもフルカワさんの大ファンだと公言しています。
幾度となくメンバーチェンジを繰り返している彼らのため、ある時期のフェスやライブでは、ギター・ベース・ドラムというシンプルな編成だったこともあり、とても印象的であるキーボードの旋律を生で聴くことができなかった時期がありました。
現在は、2012年から加入した新メンバー・トランペットのファンファンがフェスなどではキーボードを担当して弾いてくれています。
ブレーメン
ウィーンで収録されたアルバム「ワルツを踊れ」収録曲。
原曲ではストリングスなども入っているため、くるりがオーケストラを迎えて行うライブのときに演奏されることが多いのですが、この曲も人気曲なので、フェスでもよく演奏されています。
実際、新メンバーのファンファンはトランペット担当なので、フェスでも深みのある演奏を聴くことができます。
物語のような歌詞が印象的です。
東京
記念すべきくるりのメジャーデビュー曲。
地方から上京する人って、何かしら夢や希望を持ってやってくるものです。
でも、慣れない都会の生活のなか、ふと自分の田舎を思い出すことがあります。
その詞に多くの音楽ファンが共感し、今もなお愛されている1曲です。
様々なフェスでも演奏されている、くるりにとっても大切な曲なのですが、ある印象的なMCがあります。
それは、2011年の青森で行われた夏フェス「夏の魔物」でのこと。
くるりのステージも佳境に入ったころ、岸田繁が観客に向けてこんなことをいいました。
「僕は、青森が本当に好きです。青森の人は、青森に居った方がええで。青森、めっちゃええとこやから。
僕たちの地元、京都もめっちゃいいとこなんです。
………それでは最後に、”東京”という曲を聴いてください。」
観客全員の胸が打たれた名MCでした。
そのライブからほどなく、くるりは活動の拠点を自分たちの地元の京都に移すことを発表し、このライブに来ていた観客は、何故あのときMCでそんなことを語ったのか分かり、ハッとしたのでした。
Liberty & Gravity
2015年にリリースされたアルバム「THE PIER」収録曲。
最近発表された曲のなかで比較的フェスでも耳にする曲です。
本人たちが「変な曲」と表現している通り、何度も転調したり多国籍な音がしたり民謡のような掛け声があったり、非常に複雑な曲です。
音楽に対して雑食な音楽家・岸田繁らしさが濃縮された1曲です。