あまり売れなかった曲

2000年に発売された18枚目のシングルです。

売り上げは70万枚くらいで、ミスチルとしてはそれほど多くないのかもしれません。

意外かもしれませんが、彼らは、この曲を含め、15枚目の「終わりなき旅」以降、2005年に発売される4曲入りのシングル「四次元 Four Dimensions」まで、ミリオンセラーはありません。

しかも、2000年といえば、まだまだCDの売り上げは好調で、ミリオンセラーも年に15曲以上はあった時代でした。

ですので、彼らの人気も、200万枚位上も売り上げていた絶頂期に比べると、いくぶんか落ちついてきた時期の曲といえるかもしれません。

しかし、ファン投票などでは人気の高い曲として知られているようです。

Mr.Children「口笛」に込められた歌詞の想いを徹底分析の画像

1番で歌われる「口笛」という言葉に隠された意味とは?

頼り無く二つ並んだ不揃いの影が
北風に揺れながら延びてく
凸凹のまま膨らんだ君への想いは
この胸のほころびから顔を出した

出典: 口笛/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

1番のAメロから歌詞を見ていきましょう。

ここでの歌詞は、ふたつの意味を表しているように思います。

ひとつは、風景や人物を描写していることです。

二つ並んだ影が、揺れながら延びてくということで、みなさんも、なんとなく情景が浮かんでくるのではないでしょうか?

例えば、恋人同士で一緒に帰っている途中の風景。

買い物帰りかもしれませんね。

歩くたびに影が揺れる様子が思い浮かびます。

もしくは、どこかに立ち止まって、話が盛り上がっている風景。

笑い話で影は揺れ、長話が続いているうちに、日は沈んでいき、影が延びているという様子が思い浮かびます。

しかし、このような描写だけでは終わりません。

「頼り無く」とか、「不揃い」とか「凸凹」とかいうふうに、ポジティブとは言えないようなキーワードが歌詞には盛り込まれています。

ですので、二人の恋愛は、ひたすらに順風満帆にに進んでいったというわけではなさそうです。

さらに、二人の愛情が完全に満たされるになるには、まだもう少し足りないような印象も受けます。

ですが、それは確実に大きくなってきているようです。

隠しても隠しきれないほどに。

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口笛を遠く 永遠に祈る様に遠く 響かせるよ
言葉より確かなものに ほら 届きそうな気がしてんだ

出典: 口笛/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

口笛を響かせることで、言葉より確かなものに届きそうな気がしている。

言葉通りにとらえようとしても、イマイチどういうことなのかわかりません。

ですので、冒頭にも書きましたが、口笛は何かの例えだということがわかります。

何に例えるかは、人それぞれ解釈が違うことでしょう。

私は、口笛=想いと解釈しました。

Aメロで歌われていた、「凸凹のまま膨らんだ君への想い」です。

そして、言葉より確かなもの=愛情や幸せと解釈しました。

そうすると、Bメロのだいたいの意味は、強く想い続けることで、愛情とか幸せに届くような気がしている、という感じになります。

それに、本来、口笛は、すぐに消えてしまう儚いものです。

しかし、それを「永遠に」響かせようとするわけですから、その想いの強さが伺えます。

また、「永遠に祈る」という歌詞からは、二人の永遠を祈るように、想いを響かせるという解釈もできます。

それだけではなく、二人の幸せを永遠に祈り続ける、という解釈も可能です。

このように、短い歌詞ではありますが、いろいろな捉え方ができるように作られています。

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さあ 手を繋いで 僕らの現在が途切れない様に
その香り その身体 その全てで僕は生き返る
夢を摘むんで帰る畦道 立ち止まったまま
そしてどんな場面も二人なら笑えますように

出典: 口笛/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

「手を繋いで」というのは、Aメロから続く描写的な面もあると思います。

ですが、手を繋いで一緒にこれからも歩んでいこう、というような意味のほうが強いのではないでしょうか。

「現在」をどんどんつなげて、二人で未来に進んでいこうというかんじでしょうか。

また、少しネガティブな解釈をすると、二人の終焉を怖れているようにも思えます。

こういった解釈の場合は、手を繋ぐことを急き立てているというようなイメージになるでしょう。

二人の関係が終わってしまわないように、さあ手をつなごう!というようなかんじでしょう。

続く二行目は、どういう意味でしょうか。

なにか落ち込むようなことがあっても、君がいれば何度でも立ち直れる。というような解釈でオッケーだと思います。

次の、「夢を摘むんで~」という部分は、Aメロからつながる場面描写と考えられます。

立ち話をしながら、将来のこととかを語り合い、盛り上がっていたのかもしれません。

そして、そんな自分たちを、ふと客観的に見て、これからどんな場面があっても、今のように笑い合えてたらいいな、と祈ったのではないでしょうか。

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2番で歌われる<夢中で探してたもの>とは?

無造作にさげた鞄にタネが詰まっていて
手品の様 ひねた僕を笑わせるよ
形あるものは次第に姿を消すけれど
君がくれた この温もりは消せないさ

出典: 口笛/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

「鞄にタネが詰まっていて」とありますが、実際にかばんの中におもしろグッズが入っているというわけではありません。

無造作に出て来る、彼女の知らなかった魅力が、手品のようにどんどん出てくる、というような意味だと思います。

そして、そういった魅力が、あまり最近は笑うことが少なかった僕を、笑わせてくれたのかもしれません。

続く三~四行目は、まあよくみる表現で、言葉通りの意味でしょう。

ミスチルの他の曲でも、似たような歌詞がありますので、桜井さんのお気に入りの表現なのかもしれませんね。

いつもは素通りしてたベンチに座り 見渡せば
よどんだ街の景色さえ ごらん 愛しさに満ちてる

出典: 口笛/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

ここの歌詞もいいですね。

Aメロや、サビの「畦道」などを連想させるような風景を描きつつ、もっと抽象的なものも同時に歌っています。

ようするに、<僕>は、彼女との愛に包まれているわけです。

そういう状態で世界を見てみたら、世界はこんなにも愛に満ちているんだと、気付かされたのでしょう。

見過ごしがちだったり、目を伏せてしまいそうな日常のちょっとしたことですら、愛しさに満ちているんだと。

自分の心持ち次第で、世界の見え方はこんなにも違うんだ、と気づいたのかもしれませんね。

ああ 雨上がりの遠くの空に虹が架かったなら
戸惑いや 不安など 簡単に吹き飛ばせそうなのに
乾いた風に口笛は 澄み渡ってゆく
まるで世界中を優しく包み込むように

出典: 口笛/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

この部分の歌詞は、とてもわかりにくいです。

私もよくわからなかったので、いろいろ調べてみました。

人によって様々な解釈がされているようでしたが、まとめると以下のような感じでした。

雨上がりの空に虹がかかるような、ドラマティックな毎日というのは、なかなか訪れるものではありません。

そんな日々が来ることは、全く約束されていません。

また、雨上がりの空に虹がかかるように、憂鬱のあとには必ず希望があるような世界が約束されているでしょうか?

実際はそんなことはありません。

解決されない問題もたくさんあります。

ゆるやかで、何も起きないような日常もたくさんあります。

だけど、そんな平穏な日々だからこそ、口笛は済んで響き渡るんだ。

世界中を優しく包み込むように、僕の想いは遠くまで届くんだ。

ここの歌詞には、そんな意味が込められていると考えることができます。