曲冒頭と同じく「恋涙」に対して語り掛ける、サビ部分の歌詞です。
「帰ることなく」という言葉は、「もう涙を流したくない」ということを意味しているのでしょうか。
夜にもたれて輝く星のように、涙を綺麗な思い出にしたいという純粋な気持ちが垣間見えます。
「恋涙」は、自分が打ち勝って乗り越えたいものであり、それと同時に「永遠に輝く星」のように尊いもの。
強気な言葉の裏には、涙を流す自分をいたわって優しく声をかけるような、女性らしい感情があります。
読み解くほどに「これ、本当に剛くんが書いたの?」と感心してしまう、そんな奥深い世界を持った歌詞です。
「試練」の意味
愛しの顔が曇った
“試練”迫りくる合図ね
隠すのはよして
こっち向いて求めて
出典: 恋涙/作詞:堂本剛 作曲:堂本光一
あなたの「曇った」顔は何かのサイン。それを、彼女は「試練」だと言い表します。
隠さずにそれを差し出してほしいと伝える主人公は、まさに「恋涙」に挑む強い女性です。
「嘘」が隠した明るい太陽
優しい嘘は明日へ昇って咲く
日陰を作った
太陽ギロリ 二人を睨んでる
出典: 恋涙/作詞:堂本剛 作曲:堂本光一
「優しい嘘」とは、彼女を傷つけないようについた嘘のこと。
それは「日陰」を作る様に段々と育ち、二人の間を暗くしていきます。
そんな「嘘」の奥に見えるのは、睨みつけるような太陽。
二人を明るく照らしていたものが、今や影を作る存在として残酷に彼らを見下ろすものとなっています。
「恋涙」の根底に流れるテーマ
嗚呼…恋涙
激しく大地を縫って堕ちてくわ
大丈夫
恋は様々が育てるものよ
嗚呼…恋涙
ひとつあますことなく
食べてあげる
死なせない
運ばれた命から生まれた Love
出典: 恋涙/作詞:堂本剛 作曲:堂本光一
ここでの「大地」や、前述の「太陽」「銀河」など、自然を感じる言葉が多く含まれているのも本作の特徴です。
また固有名詞が登場せず、時代や場所を問わないストーリーが描かれているところも本作について特筆すべき点のひとつ。
1コーラス目に登場した「血液」や「呼吸」という言葉も、それらと似たような効果を持っていますね。
そういった観点から改めて歌詞を読み解いてみると、もっと深いテーマがそこにあるのではないかとも感じられます。
「遠い昔から何度も繰り返されてきた恋物語」のような、壮大な世界を剛くんは描きたかったのでしょうか。
いつの時代も、そしてどんな場所にいても、女性は恋に涙を流しそれを乗り越えてきました。
「恋涙」との勝負に挑むその姿は、どんな人にも共感できるものです。
そんな重みのある作風が、本作の評価につながっているのだと感じます。
「恋涙」のサウンド
「恋涙」は、マイナー調の切なげなサウンドに仕上げられています。
前述の「愛のかたまり」や、彼らのもう一つの共作「銀色 暗号」にも通じる世界ですね。
実はこのマイナーの曲調は光一くんの得意とするもの。
「MY WISH」や「月夜ノ物語」など、光一くんが作曲した作品には切ないサウンドを持ったものが多数あります。
それでもアップテンポでまとめられた楽曲は少なく、その点で「恋涙」は珍しい作品だといえるでしょう。
また、本作にはクラブサウンドとロックを融合させたようなアレンジが施されています。
彼らのシングルで言うところの「愛されるより愛したい」に近い曲調です。
ベストアルバム「39」について
「恋涙」が第5位にランクインした彼らの楽曲人気投票は、「39」というアルバムになってリリースされています。
ファンの人気投票、そして光一くんの選曲、剛くんの選曲、という三枚によって構成されたベストアルバムです。
ファン投票1位は前述のとおり「愛のかたまり」、第2位は「Anniversary」となっています。
意外だったのは3位の「雪白の月」と4位の「Love is... ~いつもそこに君がいたから~」。
欠かせない二名の作家
ベスト10に織田哲郎さんが作曲した作品が二曲、松本隆さんが作詞した作品が三曲ランクインしています。
どちらもKinKi Kidsの楽曲を語るうえでは外せない人物です。
光一くんの作る切なげなメロディは、織田哲郎さんの影響によるものとも思えますね。