なんでこんなことになっていのか女性は呆然としています。

あんなに愛し合っていたはずなのに男性は出ていってしまった。

誰のせいなの?と女性は答えのない質問を繰り返しているのでしょう。

女性が今この部屋で自殺しても、男性は帰ってきません。

男性との輝く思い出は記憶の中にしかありません。

自殺したって、男性は戻らないことを女性は分かっています。

しかし、死んでしまいたい気持ち、ここからいなくなりたい気持ちは女性を苦しめます。

失恋の経験がある方なら、心にグッサリ刺さる歌詞ですよね。

また、彼女は悩み抜いた末にこの別れを「運命」と位置付けています。

別れの原因をどこにも見つけられなかったからでしょう。

もしくは考えうることすべてが原因かもしれないからです。

自分のせいかもしれない。

はたまた、相手のせいかもしれない。

お互いの環境が変わってしまったせいかもしれません。

しかし何を考えようにも、物事はなるようにしかならないのです。

だからこそ彼女が「運命」という言葉を採用しています。

非常に松任谷由実らしい表現ですね。

悪あがきせず、結果を受け入れようとしている大人の女性です。

しかし悲しいことに変わりはありません。

そのため、運命にさえ疑問を投げかけます。

「自分たちはこんなことで別れるような関係ではなかったはず。」

そんな切ない女性の想いが伝わってきますね。

もちろん、彼女も何を言っても仕方ないことは分かっています。

彼女が「死」を匂わそうとも、きっと結論は同じです。

しかしそれでもなおやり場のない悲しみを抱える彼女。

だからこそ、ここで「自身の死」という少々ショッキングな言葉を口走ったのでしょう。

歌詞は非常に落ち着いているとはいえ、内に秘めた強い悲しみが伝わってきますね。

2人の別れ

ランプを灯せば街は沈み
窓には部屋が映る
冷たい壁に耳をあてて
靴音を追いかけた

出典: 翳りゆく部屋/作詞:荒井由実 作曲:荒井由実

男性のいない部屋でひとり女性はランプを灯します。

窓のガラスにはひとりきりの女性の姿が映っています。

女性はひとりという現実を突きつけられてどうにかなりそうです。

感情が爆発しそうでどうしようもありません。

壁に耳を押し付けて男性が階段を降りる足音を静かに聴いています。

もう女性は男性を追いかけることはせず、じっと耳を澄ますだけ。

追いかけても無理だというのをわかっているのでしょうね。

ちなみに、最後の彼との会話は、そっけないものだったかもしれません。

最後の彼は、彼女が追いすがるような優しい人ではなかったかもしれないのです。

それでもなお、彼女は最後の別れまで彼を想っています

彼の足音を、壁に耳をつけてまで追う彼女。

そのかいがいしい姿を想像すると、あまりの健気さに心を打たれてしまいます。

また、彼女に共感する女性も多いでしょう。

駄々はこねず、淡々と別れを受け入れているように見える彼女。

しかし本当は最後の最後まで彼への愛でいっぱいだったようです。

2番目のサビ

※どんな運命が愛を遠ざけたの
輝きはもどらない
わたしが今死んでも※

出典: 翳りゆく部屋/作詞:荒井由実 作曲:荒井由実

この繰り返しが切なさを倍増させますね。

同じ歌詞の繰り返しですが、それがかえって同曲のインパクトを強めています。

ただしここでは1番と違い、彼と本当に別れてしまった後のこと。

つまり完全に2人の関係は途絶えています。

最後まで関係をつなぎとめようと思っていた彼女。

きっと別れてもしばらくは、彼のことが忘れられないでしょう。

だからこそ、このサビの歌詞が響きます。

彼女は「もう終わった」と自分に言い聞かせているのかもしれません。

でなければ、復縁を願ってしまいます。

彼との関係は完全に終了。

それは自分がどうなろうが、そういう運命だったのだと思う彼女。

あふれ出そうな感情を静かに押し殺そうとする姿が何とも健気です。

きっと今の彼女は死んでしまいたいくらい悲しいはず。

しかしそんなことをしても、彼は戻ってこない

輝かしい日々が戻ってくるわけがありません。

だからこそ悲しみを越えて、前を向かなければいけないのです。

このサビには、そんな彼女の自らへの想いもこめられているかもしれません。

この女性はどうなったの!?

この後、女性がどうなったか気になりますよね。

わたしの解釈ではおそらく自殺はしていないと思います。

なんだかんだ言って、女性は男性に比べてとても強いですからね。

一時的には地の底へ落ち込んでも、必ず這い上がってきます!

これがもし、男女が逆ならば男は自殺してしまうかも知れません。

男は弱いですからね。

エレファントカシマシが歌う!「翳りゆく部屋」

自分の曲にしているカヴァー

「翳りゆく部屋」はエレファントカシマシがカヴァーしたバージョンが秀逸です!

ヴォーカルの宮本浩次さんの声が憂いを帯びていて、この歌詞にぴったりなんですね。

声質がかすれているので切ない言葉と凄くマッチしています。

オリジナルバージョンも傑作ですがエレカシバージョンも大成功と言えるでしょう。

エレカシの自身の曲へとしっかり昇華して歌っています。

パワフルな声色が特徴的な宮本浩次ですが、同曲では淡々と歌い上げています。

それどころか、線の細さや繊細さが感じられるといって良いでしょう。

サビでは宮本浩次ならではの声の伸びが非常に心地よく感じられます。

終盤にいくにつれて感情がこめられていくサビの歌い方は必聴です!

悲しい曲ですが、負の気持ちが昇華されていくように感じられます。

また、バッキングは全体的に原曲の雰囲気をフィーチャー。

しかし随所でエレカシらしいアレンジも加えられています。

女性目線のしっとりとした雰囲気が特徴の同曲。

しかしエレカシがカヴァーすることで、また違った魅力が付加されています。

曲全体の情緒や繊細さを残しつつ、力強さも感じられるようなカヴァーです。

ぜひカヴァーバージョンと原曲を比較して聴いてみて下さい。

「翳りゆく部屋」はアーティストに大人気の曲!

「翳りゆく部屋」松任谷由実の名曲をエレファントカシマシが歌う?!歌詞の意味を徹底解釈!【動画あり】の画像
エレファントカシマシの他にも多くのシンガーが「翳りゆく部屋」をカヴァーしています。
都はるみ ・島田歌穂 ・椎名林檎・畠山美由紀 ・スターダストレビュー ・つるの剛士 ・徳永英明
錚々たるメンバーですね。
やっぱり楽曲が素晴らしいのでカヴァーしたくなってしまうのですね。
歌い方の違いを比較してみたくなります。

ユーミンは名曲がいっぱい♪