最小限の音量で 少し大きくなった部屋で
止まったガスも思い出もシャワーの冷たさも
書き殴った
寿命を売るなら残り2年 それだけ
残してあの街へ 余った寿命で思い出を漁る
出典: 詩書きとコーヒー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
主人公は引っ越したのでしょうか?
そう思われる方もいるでしょう。
筆者は、「エルマがいなくなって少し広くなった部屋」と解釈しました。
今までは2人で狭々と暮らしていたので、部屋が狭く感じていたのでしょう。
エルマがいなくなると、急に部屋が広く思えるのです。
エルマがいなくなった分、スペースが空いてしまいました。
その部屋の中で、主人公の歩んできた道を書き殴るのです。
書き殴りながら主人公はこう考えます。
「もしも、寿命が売り物になるなら、2年分売ろう。」
なぜ、2年の猶予を持たせたのでしょうか?
その残された2年で、エルマがいたあの街を訪れるのです。
詭弁
晴れも夜祭りも関町の街灯も
雲も逃げ水も
斜に構えた歌詞観も 詭弁だ
出典: 詩書きとコーヒー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
これから
これからの使い方とは?
わかんないよ わかんないよ
わかんないよ わかんないよ
想い出になる 君が詩に成っていく
わかんないよ わかんないよ
わかんないよ わかんないよ
わかんないよ
忘れられる方法も これからの使い方も
出典: 詩書きとコーヒー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
エルマを忘れようとすればするほど悩んでしまう主人公。
寿命を売りたい主人公も寿命なんて売れないから困っているのでしょう。
これ以上忘れようとすると、エルマが想い出になってしまう。
主人公の書く詩通りになってしまうのです。
もうどうするべきなのか、途方に暮れている様子が窺えます。
最後の「これからの」とは、エルマを失った主人公の残りの人生のことでしょう。
エルマを失ってしまったのに、どう生きていけばいいのか。
寿命を売りたいほどなので、生き方が思い浮かばないのかもしれませんね。
忘れていく
冷めた目の中で君の詩を書いていた
僕のこの日々は君の為の人生だ 夢も儚さも
君の口も目もその指先も忘れながら
ほら、そろそろ詩も終わる時間だ
出典: 詩書きとコーヒー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
主人公は、コーヒーに映る冷めた目で詩を書き続けるのです。
主人公の残りの人生は、エルマの詩の為に使おう。
そう決めたのです。
だんだん、エルマの声や姿を忘れてしまう主人公。
それでも、忘れないようにエルマを詩に書き続けるのです。
しかし、その詩ももうすぐ終わりになるのでしょう。
君が詩に
詩に
わかんないよ わかんないよ
わかんないよ わかんないよ
想い出になれ 君よ詩に成って往け
出典: 詩書きとコーヒー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
主人公はエルマに向けて、想い出になることを勧めます。
もう、想い出になってもいいのです。
悩んで悩んで悩み抜いた結果、エルマには詩になってもらおう。
そう考えたのでしょう。
詩になれば、もうエルマを忘れることはありません。
忘れるか、忘れないか。
その2つの選択肢の中で、忘れないを選んだのです。