待ち合わせはいつも太陽が昇る前

入院中ずっと病院の窓から仕事帰りの孝治を見つめる薫。ある日ゴミ捨て場にギターを捨てる孝治の姿をみつけます。

どうしても気になってそのギターを拾います。

そのギターで弾き語りをする薫と、バイト先をクビになって落ち込む孝治。そんな2人が夜の街で出逢い物語は始まります。

うだるような地も静まり ほの暗い日の出まえ
いつもの通り道で待ち合わせ みんなでしよう
”夏だから”ボーダーか焼けた肌かワンピース
個性はないけど可愛くてうらやましい

みんな前 見てるすきにぎゅっと手をひいてほしいんだ

出典: invitation/作詞:柴咲コウ 作曲:jin nakamura

主人公の雨音薫は紫外線を浴びてはいけない病に侵されていて、太陽の出ている日中は外に出ることができません。

だからいつも外出は太陽が沈んでから。

日に焼けた肌にワンピースやボーダーを着ている女の子たちが羨ましいけど、大切な孝治や仲間たちに出会えた。

みんなが前を見ているすきに手をひいてほしい……乙女心。

路面電車に乗り どこまで走り抜けよう?
どうせ海岸かそこらあたり
花火でもしましょう 手に持ってはいけないのに
振りまわし 気を引く
良くある構図(けしき)がアツイ

出典: invitation/作詞:柴咲コウ 作曲:jin nakamura

日が沈んでからしか外出できない薫が在籍した高校は通信制。だから仲間と何かをするっていう経験がなかった。

そんな彼女を連れ出し、初めての経験を沢山させてくれる孝治と仲間たち。彼らはバンドフェスティバルに参加するため練習を始めます。もちろん歌うのは薫の曲。

まるで学校の文化祭みたい。普通の人には大したことじゃないだろうけど、彼女には胸がアツくなる大切な経験。

去年の誕生日には黒いTシャツをくれた
わざと穴があいてる 袖をとおしてみようか
今年は”なにがいい?”したたか応えられず
見つめていてくれていることに満足している

どこから恋になったのか… 痩せた身体を抱き締めて

出典: invitation/作詞:柴咲コウ 作曲:jin nakamura

大切な人が愛おしくなってゆく。

きっと薫が病院の窓からギターを捨てる孝治を見つけて、そのギターを薫が拾った時から薫の心には恋心が芽生えていたはず。

誕生日に欲しいものを聞かれても、孝治が自分を見つめていてくれることだけで幸せを感じてる薫には答えることができません。

孝治の気持ち

懐かしのラムネは「?(はてな)」味でも美味しい
甘いくせに潔(いさぎよ)くて好き
口の中であれば弾(はじけ)けとぶ カプセルたち
なんにも出来ない
僕の気持ちの表れ

出典: invitation/作詞:柴咲コウ 作曲:jin nakamura

ドラマの中、薫と孝治が一緒に飲むのはコーラですが歌の中ではラムネです。

孝治が薫の一生懸命生きる姿をラムネのように”潔くて好きだ”と歌っています。

そして何もできないはじけ飛ぶだけの自分。

薫の病状はどんどん悪化していき、自分でギターが弾けなくなります。

ーまた みんなでこよう
ーきみなしでもへいき

たまに不健康に朝まで忘れるのもいいね
たまに健康に朝思い出すのもいいよ

出典: invitation/作詞:柴咲コウ 作曲:jin nakamura

ドラマの中で薫が孝治に問いかけます「私がいなくなったらどうする?」。

「最初はめちゃくちゃ泣いて、泣きまくって……そしていつか懐かしく思い出す」孝治は答えます。

きっと電車に乗り 君だって来てくれるでしょう?
書き途中のcoolなinvitation
最高の音と生まれたこの日 利用する
歌い足りないだから
まだ帰らないー

出典: invitation/作詞:柴咲コウ 作曲:jin nakamura

後悔しない生き方を!

1か月後の、橘麻美ファーストコンサートでのデビューが決まった薫たち。

時に運命は残酷で、病魔は薫の気管支まで侵しはじめていて手術をしないと命の保証はできないと告知されます。だけど手術をしたら歌うことができなくなる。

歌を失って生きながらえるよりも、太陽(スポットライト)の下で歌えるなら後悔はしない。

そんな薫の気持ちを孝治は支えます。

路面電車に乗り ひたすら揺られてみたら
「過ぎた夏の記憶」に収まる
もしかしたら僕ら最後かもしれないけど
頭の中ではずっと続いてゆく one time

出典: invitation/作詞:柴咲コウ 作曲:jin nakamura

夢を叶える直前、デビュー当日のバックステージで薫は息を引き取ります。ステージには立てなかったけどスポットライトを見ることはできました。

ステージで歌われることのなかった薫の歌。ですがスタジオ練習で歌った薫の歌は録音されていて、それがCDとして薫の死後発売されました。

大勢の人が手に取り、大勢の人が聴いてくれています。ミリオンヒットです!

僕らはもう会えないかもしれないけど、君の歌はいつまでも大勢の人の心に残り続けるよ。