1997年11月、前妻である山下久美子さんと離婚した布袋寅泰さん。
つまり、「PRIDE」リリース時(1996年11月)は、いわゆる“泥沼期”だったと想像できます。
もちろん、連日ニュースやワイドショーをこの話題が席巻しました。
そんな報道も手伝って、この曲はミリオンセラーとなったのでしょうか。
ちなみにこの辺りの事情は山下久美子さんの自叙伝「ある愛の詩」に詳しく書かれています。
複雑な三角関係
そしてさらにちょっと怖い事実。
なんと今井美樹さんはもともと山下久美子さんのファンであり、尊敬する芸能界の夫婦としてふたりと良い友人関係を築いていたのだそう。
だからこそ、今井さんは彼と真剣な恋仲でありながら、結婚できないことも感じてもいました。
しかし布袋さんは、彼女にプロポーズし、今に至る良好な夫婦関係を築いています。
そんな複雑な想いが込められた歌詞なのです。
歌詞
私は今 南の一つ星を見上げて誓った どんな時も 微笑みを絶やさずに 歩いて行こうと
出典: PRIDE/作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰
作詞は、前述の通り布袋寅泰さん自身。
女性言葉ではありますが、この曲は布袋さんによる今井さんへのラブレターのように聞こえます。
今はあなたといっしょになれないけれど、微笑みを忘れずに生きていこう、あなたにもそうあって欲しいという歌詞に聞こえます。
貴方を思うとただ切なくて
涙を流しては 星に願いを月に祈りを捧げる為だけに 生きてきた
出典: PRIDE/作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰
離婚できたとしても、昔からの友人関係があり、世間のしがらみがあり、容易にならない関係だったふたり。
公に会うことも出来ず、連絡もそれほどできなかったのではないでしょうか。
だからこそそんな日々を「星に願いを月に祈りを捧げる」と喩えたのでしょう。
だけど今は 貴方への愛こそが 私のプライド
出典: PRIDE/作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰
しかし、そんなしがらみがあっても止められないあのひとへの「愛」。
誰に何と言われても、愛し続けることこそ自分の誇りとなったのでしょう。
優しさとは 許し合う事を知る 最後の真実
わがままさえ 愛しく思えたなら 本当に幸せ
出典: PRIDE/作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰
山下さんとの結婚中、お互いに若くしての結婚であったこともあり、とにかく喧嘩が絶えなかったという布袋さん。
優しく微笑み許してくれる今井さんに、癒しを感じていたのでしょうか。
そんな彼女が時折見せる控えめなワガママは、愛おしさを加速させるものだったのかもしれません。
貴方は私に 自由と孤独を 教えてくれた人 夜がくるたびに 無口になって
震える肩を抱きしめていた
出典: PRIDE/作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰
前妻から解放される「自由」と、彼女とは一緒にいられない「孤独」。
夜が来れば帰らなければいけない場所がある彼に、彼女は何も言わなかったのでしょう。
何も言わず、寂しさに肩を震えさせていたのかもしれません。
いつか私も 空を飛べるはず ずっと信じていた
翼があったら飛んで行くのに 貴方の胸に今すぐにでも
出典: PRIDE/作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰
いつかは離婚して、自由に彼女と会える日々が来る。
そんな日々を心待ちにしていた布袋さん。
本当は今すぐにでも彼女のもとへ行きたいけれど、そんな気持ちは必死に抑えていたのでしょう。
見上げてみて 南の一つ星を 素敵な空でしょう
私は今 貴方への愛だけに 笑って泣いてる
出典: PRIDE/作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰