ピースの足りないパズルみたい
思い出せなくなって
怖いな 君を知らぬ間に
殺しちゃったよ
出典: ベルセルク/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
「ベルセルク」は興奮状態で敵味方関係なく殺めてしまった凶騎士でしたね。
しかし、ここでは本当に人を殺めた訳ではないと解釈したいと思います。
ではどういう意味でしょうか?
2パターンが考えられます。
1つ目は「君」とは抑え込まれた「自我」のこと。
先ほどAメロで「亡き者にされ」と言っていましたね?
亡き者にされたのは本来の自由な自分。
消し去った自我が見つからないことを「殺しちゃった」と表現したのでしょう。
2つ目のパターンは「君」をストレートに他人と捉えた場合。
あまりにショックな出来事があり、記憶障害を起こしているという考え方です。
「君」にまつわる精神的外傷が生じ、思い出さないように忘れられている。
このどちらかかと思われます。
筆者としては1つ目のパターンがしっくりくるので、こちらで解釈を進めます。
ここから、楽曲のテーマである「もう一人の自分」が主体となり、衝動的な行動に走ります。
「アンダークラス」とは?
いっそ
何もかも 消えてしまえ その指でボクを突いてくれ
こんな世界の色に 染まってしまうと言うなら
貴方が嫌い? ボクらも嫌いさ
もう放っておいてよ
さよならしよう グッバイ アンダークラス
出典: ベルセルク/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
先ほどの歌詞で出てきた「一部が欠けた状態」の自分。
このままの状態で生きていく事に苦痛に感じているみたいですね。
すべて消えてしまえと望んでいます。
そして誰かに「貴方が嫌い」と言われ、それに対して言い返した主語に注目です。
「ボクら」と言っていますね。
自分だけでなく、複数人になっています。
衝動に駆り立てられている「もう一人の自分」と「本来の自分」を「ボクら」と総称しているのでしょう。
その後の「アンダークラス=(下層階級)」という言葉の意味も推測してみましょう。
他人を「嫌い」と非難して自分の価値を高めようとする人を「アンダークラス=下層階級」と呼んでいます。
自分達は、一方的に暴言暴力をぶつける下層階級の人間を相手にしない。
だから「僕らも嫌いだからもう関わらないで」と言い返しているのだと思います。
まふまふは過去に酷い暴言暴力を受けた経験があるそうです。
それがあってこそ、このような言葉が生まれたのではないでしょうか。
それにしても、ここでは言及しませんが「さよならしよう」が意味深に聞こえてならないですね…。
孤独がボクを追い込む
支え合う相手がいない
「人」という文字が互いを支え合うのなら
自分も信じられない僕は
何に縋りゃいいんだよ
出典: ベルセルク/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
金八先生も言っていた有名な言葉ですね。
人と人が支え合って「人」という文字ができているという言葉。
でも人間不信に陥った今支え合う人なんていない。
本当に辛い人からすると、名言もキレイゴトに聞こえてしまうのかもしれませんね。
MVでは人と人が支え合おうとして混ざり合い、一人の人が倒れます。
地面にぐにゃっと支え無しに倒れる様子が、金八先生の力強い言葉と真逆…。
とても孤独でどうしようもない状況なのが感じ取れますね。
何より大事なものが此処にあったような
ああ きっと知らないほうがいい
そんなもんわかっているさ
出典: ベルセルク/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
ここでは一体何が忘れ去られているのでしょうか?
愛情とか優しさとか…抑え込んでしまった人間らしい何かな気がします。
MVでは花の映像がここで流れていますね。
それを思い出そうとして、心の奥底へまたしまい込みました。
そして、どうしようもない現状に何かを悟ったようですね。
理性を失っていく姿は「ベルセルク」
救えない 今気づいたよ 見惚れていたのはスクリーンの中
明日も見えずに気が振れて ガソリン撒いて
誰もが首を絞めつけて 笑ってるんだろう
出典: ベルセルク/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
「スクリーンの中」ということは、現実世界にないものという意味と思われます。
先ほど思い出しかけた何かは、作り話の世界だったとでも言っているみたいですね。
でも、見惚れるほどだったということは心から求めていたはず。
そして、スイッチが入ったように「ガソリンをまく」という自暴自棄な行動に走ります。
人間不信がより一層深まり、この世界にある何もから逃れようとしていますね。
追い込まれすがる相手もなく一人で限界まで抱え込んでいたのでしょう。
衝動に駆り立てられた「もう一人の自分」が、抑え込んだ感情のストッパーを外したと思われます。
とても辛そうです。
いっそ
何もかも 消えてしまえ 全てが狂った世界だ
こんな排気ガスに塗れるのは厭だよ
貴方が嫌い? ボクらも嫌いさ
もう放っておいてよ
忌々しいこの手錠を 外してしまえたら
ねえ アンダークラス
出典: ベルセルク/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
そして最後にまた「アンダークラス」へ言い返す場面へと移ります。
「手錠」とはどんな意味でしょうか?
何かに縛られ自由に身動きできないという状況と考えられますね。
MVの解釈を当てはめれば人間関係のしがらみと思われます。
それとも言葉の通り、先ほどまいたガソリンに火をつけてしまい、逮捕されたのでしょうか…。
足かせがなければ自由に飛び立てるのに。
そんなニュアンスに聞こえます。
いずれにせよ、今の苦しい状況からの解放を望んでいるのでしょう。