Aimer「蝶々結び」

野田洋次郎さんは楽曲提供に加えてコーラスとしても参加されております。

全て日本語で書かれた歌詞と、柔らかなメロディーとサウンド、そしてAimerさんと野田さんの優しい歌声が楽曲全体を温かに包んでいると感じます。

この曲を最初に聴いたとき、"蝶々結び"という言葉で一つの曲を作れてしまう事がとても凄いなと思いました。

単なる一つの作業に思える"蝶々結び"ですが、作詞をされた野田さんは何を表現し、何を伝えたかったのでしょうか。

歌詞を区切りながら、その理由を解釈していきたいと思います。

「蝶々結び」の歌詞を解説

1番

Aimer『蝶々結び』に込められた歌詞の意味を紐解くの画像

片っぽで丸を作って しっかり持ってて
もう片っぽでその丸の後ろを ぐるっと回って

間にできたポッケに入って 出て来るの待ってて
出てきたところを迎えにきて 「せーの」で引っぱって

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-160914-130

どうやったら蝶々結びが出来るか、という説明のような歌詞になっています。

輪っかのことを"ポッケ"と表現したり、"迎えにきて"と言ったり。慣れている人にとっては数秒で終わる蝶々結びですが、"せーの"という掛け声を入れたりすると、なんだか壮大なことのように感じますね。

実際の蝶々結びは1人で出来ることですが、この歌詞は2人でやる共同作業として書かれていますね。

これはただ「蝶々結び」の結び方を説明している訳ではないのでしょう。

2人でやる作業ということが強調されていることからも分かる通り、これは何かを喩えているのでしょう。

つまりこの部分は、ある2人の関係性を「蝶々結び」に喩えていると考えることができます。

主人公の相手に対しての「こうしてほしい」という気持ち。

それは我儘ということも出来ますが、我儘をいえるだけ2人の距離が近いことを表しているのでしょう。

2人で結ぶ

Aimer『蝶々結び』に込められた歌詞の意味を紐解くの画像

はじめはなんとも 情けない形だとしても
同じだけ力を込めて

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-160914-130

結ぶ前はただの糸。同じ力で両方を引っ張ることで、きれいな蝶々結びになりますよね。

「同じ力を込める」という言葉から分かるのは、2人の関係が平等であること。

そして2人でお互いを支え合っていきたいという気持ちも込められているのではないでしょうか。

最初は不慣れなため、相手のことをうまく支えられないかもしれない。

それでも2人でお互いをうまく支え合えるように、未来を共に歩んでいきたい

そんな心情が込められているのでしょう。

どんな風に結んでほしいか

羽根は大きく 結び目は固く
なるようにきつく 結んでほしいの

腕はここに 思い出は遠くに
置いておいてほしい ほしいの

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-160914-130

サビの前半は今までのような蝶々結びを綺麗に作るための"説明"になっていましたが、後半部分は表現が変わっているように感じます。

今を見てほしい、思い出は置いてきてほしい、という事でしょうか。

2人の絆が深まるにつれ、主人公は相手の過去に対して嫉妬心を抱いているのではないでしょうか。

自分が隣にいなかった頃の過去を振り返らないで欲しいという気持ちなのかもしれません。

主人公の相手に対する今を大切にして欲しいという気持ちが表されているのでしょう。

4行目の2度目の「ほしい」という言葉には、「欲しい」という意味にも取れます。

もっと自分のことを考えて欲しいという、主人公の深い想いが表現されているのではないでしょうか。

2番

Aimer『蝶々結び』に込められた歌詞の意味を紐解くの画像

片っぽでも引っ張っちゃえば ほどけちゃうけど
作ったもの壊すのは 遥かに 簡単だけど

だけどほどく時も そう、ちゃんと 同じようにね
分かってるよ でもできたらね 「せーの」で引っ張って

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-160914-130

片っぽを引っ張ったら簡単にほどけてしまう。作るときは同じ力で引っ張らないと綺麗な形にはなりません。

作るのは難しいけど、ほどくのは簡単。

ほどくんだったら、「せーの」と言ってほしい。

同じタイミングでほどきたい、というメッセージのようですね。

2人の関係性が崩れてしまったとしても、2人でその責任を同じ分だけ負担したい。

そんな気持ちを「ほどく」という作業で表しているのでしょう。

今まで築いてきたその信頼関係がいつか壊れてしまうとしても、それはどちらかのせいじゃない

そんな主人公の心の声が聞こえてくるかのようです。

蝶々結びの作業は恋愛のよう