鬼束ちひろの代表曲

2017年2月1日に約6年ぶりとなるオリジナルアルバム『シンドローム』をリリースし、”完全復活”となった鬼束ちひろ

2ndシングル『月光』は、そんな彼女のイメージを強く印象付ける楽曲となりました。

ドラマ『TRICK』主題歌に起用されたこともあり、累計売上は50万枚以上となりシングル作品としては自己最高です。

それでは区切りながら、『月光』の歌詞を解釈していきたいと思います。

彼女はこの『月光』という曲で、私たちにどのようなメッセージを投げかけているのでしょうか。

早速、その中身を紐解いていきましょう。

"私は神の子供"という強烈な出だしから始まる、鬼束ちひろの代名詞とも言える名曲

彼女は誰に向かって悲痛な言葉を叫んでいるの?

I am GOD'S CHILD(私は神の子供)
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?(こんな場所でどうやって生きろと言うの?)
こんなもののために生まれたんじゃない

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65811

ピアノの伴奏で、"私は神の子供"というサビからこの曲が始まります。

出だしにこのフレーズを持ってくるセンス、すぐに引き込まれます。

彼女は自分がいる場所に対して閉塞感があるように感じます。

生きることに対しての葛藤のようなものが、悲痛な叫びとなって表れています。

彼女はリリース当時19

世の中に対して、なぜこのような"絶望感"を抱いていたのでしょうか。

この冒頭の歌詞から、彼女が何者かに対してこの世界への悲しみと絶望感を訴えているようにも思えます。

なぜ自分を、こんな世界なんかに生まれさせたのか。

どうしてこの悲しみと絶望の溢れる世界で、私に生きろというのか。

彼女が歌詞で訴える、“こんなもの”とは一体なんなのでしょうか。

それはまるで、自分をこの世界に産み落とした存在。

具体的な母親ではなく運命や神様などの、大きな概念めいたものへの悲痛な訴えのようにも思えます。

あるいは、もしかしたら。

この訴えや問いかけは、彼女がこの世界で生きる為に。

自分自身に投げかけているメッセージとして発しているのではないか。

そのような形で受け取る事もできそうですね。

どんなに心がボロボロでも立ち止まる事は許されなくて

突風に埋もれる足取り
倒れそうになるのを
この鎖が 許さない

心を開け渡したままで
貴方の感覚だけが散らばって
私はまだ上手に 片付けられずに

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65811

生きていく中で歩み続ける中、私たちは様々なことに足を取られることもあるでしょう。

もう疲れた。もう歩けない。少しでいいから休ませて欲しい

そうやって立ち止まって、倒れそうになることもきっとあるはず。

けれど大体の場合において、特に大人になればなるほど、それは簡単に許されることではなくなります

とにかく進め。1センチでも1ミリでもいいから、決して足を止めるな

絶望や悲しみに打ちひしがれている人間にとって、時にそれは、あまりにも残酷なメッセージとも成り得るのです。

子供と大人の狭間で、社会に対する違和感だったり、納得いかないことって、私もありました。

それでもその中で生きていかなくてはならないし、進まなければならないのですよね。

相手の思いを上手く汲み取れない、自分の不器用さが出ているような気がします。

誰かに傷付けられたり、悪意を持って脅かされたり。

そのような悪意ある行為によってばらばらに散らされてしまった、自分の感情や思い

それを1つ1つ丁寧に拾い上げる時間すら、私たちには与えられないのかもしれません。

心の叫びはより悲痛な歌となる

I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65811

出だしのサビと全く同じ歌詞が、1番のサビになっています。

AメロとBメロの流れを考えるとこのサビにしっかり繋がっていて、先に書いた"絶望感"をなぜ抱いているのかが分かるような気がします。

彼女が抱いた絶望感は、ばらばらになった心を癒す時間すら与えられない

そんな僅かな小さな望みすら叶えられない、今の世界への絶望でした。

私は、こんなふうに生きる為にこの世に生まれたわけじゃない。

こんな悲しみや苦しさを感じる為に、を歌っているわけじゃない。

彼女自身にもまた、もしかしたらどこかにそんな思いが芽生えていたのではないでしょうか。

私はこの世界で、何を信じればいいの?

誰でもいい、私を救って

「理由」をもっと喋り続けて
私が眠れるまで

効かない薬ばかり転がってるけど
ここに声も無いのに
一体何を信じれば?

出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65811