くるり
京都出身のロックバンドです。
ボーカル/ギターの岸田繁を中心にメンバーチェンジを繰り返しながら様々なアプローチの楽曲を生み出してきました。
今回取り上げるのは、是枝裕和監督作『奇跡』の映画主題歌です。
映画『奇跡』について
是枝監督といえば、『誰も知らない』『そして父になる』『海街diary』など世界的にも評価が高い映画監督です。
元々、テレビのドキュメンタリーを製作していた監督で俳優の自然体の演技を引き出すことに長けた監督だと思います。
映画『奇跡』は、2011年3月の九州新幹線の全線開通を機会に、ジェイアール東日本企画により製作されました。
主演したのは少年漫才コンビ・まえだまえだの前田航基と前田旺志郎。
脚本を子どもに渡さず撮影するという手法で、自然体の子どもの魅力を映し出しています。
鉄道マニア・岸田繁
楽曲「奇跡」をYouTubeでcheck!
「奇跡」というタイトルの意味を考える
いつまでも そのままで 泣いたり 笑ったりできるように
曇りがちな その空を 一面晴れ間に できるように
神様ほんの少しだけ 絵に描いたような幸せを
分けてもらうその日まで どうか涙を溜めておいて
出典: https://twitter.com/Quruli__bot/status/799004642466152448
昔から空を心の反映だと考えることはありました。
だからこの歌で歌われる曇りがちな空とは、人々の心のことです。
この歌は子どもたちをみつめる親の視点から歌われているのかもしれません。
だから子どもたちをみて、"いつまでもそのままで 泣いたり笑ったりできるように"と願いをこめています。
そして子どもたちの心が晴れわたるようにと願っています。
でもこの歌は子どもだけに捧げられたものでしょうか? おそらくそうではありません。
子どもにとって親が守ってくれる存在であるように、人々を守っているのは神様かもしれません。
だからこの歌で、神様に"絵に描いたような幸せを分けてもらうその日まで"と歌われている部分は、子どもの幸せだけではなく人々の幸せを願っている部分です。
言葉は転がり続け 想いの丈を通り越し
上手く伝わるどころか 掛け違いのボタン 困ったな
あぁいつもの君は 振り向いて笑う
溜め息混じりの 僕を許してね
出典: https://twitter.com/Quruli__bot/status/724647196365348867
深い世界観の中で、でも言葉はいつも"想いの丈を通り越し"、うまく伝わらない。
君はいつもそういう僕を笑ってくれるけれど、僕はため息ばかりついています。
最初の"子どもと神様"的な世界から、おそらくは岸田自身の日常、あるいは人々の日常が歌われています。
退屈な毎日も 当然のように過ぎてゆく
気づかないような隙間に咲いた花 来年も会いましょう
出典: https://twitter.com/1098nmnl/status/815197892239425536
毎日は繰り返しの連続。
だから退屈だと思っても、いつの間にか過ぎていってしまいます。
でもそういう日常に、しっかり花が咲いている。
どこかではまた命が誕生し、強く産声をあげている。
どこかでは愛を交わしはじめたふたりがいる。
そういう人間の自然の営みに対して、"奇跡"と祝福している岸田がいると思うのです。
さぁここへおいでよ 何もないけれど
どこへでも行けるよ 少し身悶えるくらい
出典: https://twitter.com/1098nmnl/status/815197892239425536
"何もないけれどここにおいで"という部分と、"どこへでも行ける"という部分は相反してはいません。
僕たちはまだ見知らぬどこかへ行くことができるし、やってきた人を迎え入れることもできます。
最後の部分は、人々の交流について歌っているというふうにもとれますし、 これから生まれてくる命にささやきかけているようにも思えます。