ここでの夢、すなわち求めているものは「結束」

つまりこれも「一つ」になることです。

潰えてしまった「夢」

しかしその夢は、無残にも打ち砕かれてしまったようです。

「風」や「雨」の正体は、詳しく描かれていません。

しかし天候に喩えているということは、予期できず、避けられなかったアクシデントということでしょう。

彼らが目指したかったもの

どんな「夢」だったのか

ここまで見てみると、この歌詞は差別のない世界の実現を訴えているようにも思えます。

先に紹介した、キング牧師の演説のように。

具体的なテーマは曲の中では説明されていないので、そうとらえても良いでしょう。

しかし、この曲が制作された背景を考えてみると、少し違うようにも感じられます。

ここで歌われているのは「"個人的な"夢」であるように聞こえるのです。

たとえ「世界規模の」という言葉があったとしても。

「一つ」その難しさ

「一つ」になる、ということ。

異なる人間が一つに結束するということ。

それは簡単なようでいて、とても難しいことです。

伝説のバンドと称されるほどの人気と実力を兼ね備えたクイーン。

しかし彼らも、一時は解散が噂されるほどメンバー間に亀裂が入っていたと言われています。

もしかしたら、それぞれに別の卓越した才能を持っていたが故なのかもしれません。

彼らを団結させたもの

しかし、そんな彼らが再び「一つ」になる瞬間が訪れました。

そう、それこそがライブ・エイドでのステージだったのです。

彼らはこのたった数十分間の持ち時間を目一杯使いました。

そしてその時の「ベスト」ともいえるセットリストを演奏したのです。

ワンマンライブではなく、当時のスターが目白押しだったイベントです。

そこには彼らのファンではない観客が大勢いました。

しかし、クイーンは圧巻のグルーヴとパフォーマンスで聴衆を巻き込みます。

その場にいた人たちばかりではなく、中継で見ていた人たちまでも。

そしてさらに、このライブリアルタイムで見ていなかった人たちでさえも。

今なお、残っている音源や映像に心を震わせているのです。

大勢の心を震わせるのは

このような流れ、何かに似ていると思いませんか。

そう、先に挙げたキング牧師の演説です。

それが言葉であるか音楽であるか。

その違いはあるものの、両者は共に大勢の人の心を「一つ」にしているのです。

複数の人が「一つ」になること

しかし、両者には決定的な違いが一つ。

演説を演奏と重ねるならば、演説者はバンドに当てはめられます。

しかし、キング牧師は一人であるのに対し、クイーンは四人で一つのバンドです。

何を当たり前なことを、と思うかもしれません。

しかしこれこそが、「一つのビジョン」を生み出すことがより容易でなくなる要因なのです。

「一つ」になる夢

人が集まれば…