キングヌーの異色作
「あなたは蜃気楼」は2017年10月リリースのアルバム「Tokyo Rendez-Vous」収録曲です。
King Gnu(キングヌー)1枚目のアルバムですが、発売元はPERIMETRON(ペリメトロン)でした。
通称ペリメトさんはキングヌーのボーカル&ギター常田大希さん率いるクリエイティブレーベル。
つまりアルバム「Tokyo Rendez-Vous」は自主制作のインディーズ盤ということになります。
ところが全8曲トータルの完成度たるや垂涎モノ!早耳の音楽好きが驚愕しまくった名盤です。
キングヌーの音楽性は、いわゆるジャンル名ではなく、文字どおりの意味でミクスチャーロック。
ブラックミュージックを基本としたリズムが秀逸で、多様な音楽要素が混在しつつもポップです。
激しい口調で強烈にポジティブなメッセージを放つ曲もあれば、キザな甘いラブソングも有り。
自称ダミ声の常田大希さんと変幻自在のミラクルボイスを操る井口理さんのツインボーカルです。
曲によって、メインボーカルが様々に変化するのも魅力でしょう。音楽性の幅は広いということ。
実験的なポップソング
キングヌーのなかでも「あなたは蜃気楼」は異色作という位置づけです。
常田大希さんソロ名義の略称DTMPやキングヌーの前身バンドSrv.Vinci(サーヴァ・ヴィンチ)。
これらに多く見受けられる実験的な要素をポップに昇華した感じでしょう。
基本的にキングヌーでは前衛的な要素を抑えていると考えられますが、「あなたは蜃気楼」は例外。
つまりキングヌーらしからぬ……といいつつ、キングヌーとして出したかった曲と考えられます。
その点を踏まえてMVをチェック!
「あなたは蜃気楼」MVプチ解説!
前置きが長かった理由がわかったでしょう。一言でいうと「何じゃ、こりゃ?」状態のMVです。
じっくり解説しますのでご安心を!
まず不敵な笑い声とともに、ピンクパープルに彩られた「第八矢澤ビル」外観が映し出されます。
2階のベランダから手を振っているのは誰でしょうか。電飾の角が生えた黒服の男性のようです。
ビル入り口の壁には「あなたは蜃気楼」のポスターが貼られていて、文字がオレンジに光ります。
そこへ道の角を曲がって小走りにやってくるのがモデルのemmaさん。ビルの中へ入りました。
電飾男が暴走
イントロが終わり、歌が始まります。場所は渋谷ランブリングストリートにある「LOUNGE NEO」。
お客さんの中に電飾男が紛れていて、ベース新井和輝さん&ドラム勢喜遊さんも演奏しています。
怖いのはここから!歌詞に合わせて顔がアップになったのをきっかけに、電飾男が暴力三昧!
さらに首から下げたペンダントの光る白い球を得意げに掲げます。このペンダントが謎ですね。
フェスのリストバンドのような、パス(許可証)としてのお客アピールなのでしょうか。
それともこんなに大きな宝石をもっている!というお金持ちアピールなのかもしれません。
あるいは謎の電飾チームの証?いずれにしても逆らえないでしょう!と粋がっている感じです。
逃走中
騒ぎに気がついたemmaさんは走って逃げますが、転んでしまいます。嘲笑う電飾男が不気味です。
からかうように走り回る電飾男。emmaさんは立ち向かうことを決意して、電飾男を追いかけます。
その途中、大きなクマのぬいぐるみに沈み込んで眠る井口理さんの手から取り上げたのは……。
黄色いボクシングのヘッドギア。たどり着いたステージではキングヌー4人が揃って演奏中です。
まだ長髪の常田大希さん!
そのステージ前で煽るように両手を振り上げる電飾男。emmaさんはヘッドギアを装着します。
蜃気楼を退治
説明を端折りましたが、電飾男には2人の仲間がいます。それぞれマントと風船が特徴的です。
emmaさんはこの2人を次々と倒し、いよいよ電飾男と対決。強烈なアッパーカットが決まります。
ノックダウンした電飾男の胸元から、白いペンダントを奪って、満面の笑みを浮かべるemmaさん。
まとめると「蜃気楼をやっつけた」ということになるでしょう。蜃気楼とは幻想や妄想のこと。
ペンダントは蜃気楼の象徴だったのかもしれません。
錯覚だらけの幻想に振り回されず、現実を直視しよう!というメッセージが伝わってきます。
ここからは歌詞を見ていこう
楽曲にあわせたMVからは、上記のような内容が読み取れるのではないかと思います。
非常にいろんな意味でパンチのある映像で、強烈な印象を残すMVともなっていましたね。
さてそれではその内容を踏まえた上で、ここからは楽曲の歌詞について解説をしていきたいと思います。
この楽曲には、一体どのような物語やメッセージが込められているのでしょうか?
早速その内容を解き明かしていきましょう。