ひらりと
翻したの
風の吹くまま
思惑、
するり逃れて
ニヒルに駆ける
出典: あなたは蜃気楼/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
MVで解説したように「蜃気楼みたいな幻想に惑わされず、現実をありのまま見よう!」という歌。
そのために蜃気楼=幻想が描かれています。さらにキングヌーの音楽性も表しているでしょう。
キングヌーの常田大希さんは米津玄師さん「爱丽丝」(アリス)の編曲にも携わっています。
「不思議の国のアリス」がモチーフで、ハチ時代の米津玄師さんっぽく、編曲も凝りまくり。
そもそも常田大希さんは実験音楽のような芸術的・前衛的なサウンドが持ち味と考えられます。
その本来の音楽性を翻して、キングヌーではJ-POPをやる!ただしニヒルに!というわけです。
ニヒルを直訳すると虚無主義ですが、クールに決める!くらいのニュアンスでしょう。
あくまで王道なJ-POPにこだわりながらも、それは決して巷に溢れているありふれた音楽を創る、というわけではありません。
多くの人に愛される楽曲でありながらも、唯一無二のキングヌーらしさを前面に押し出した音楽を作り出す。
ある意味、そのような彼らの決意表明も込められているように感じますね。
解釈は2本立て
キラリと
こぼれ落ちた
涙と思い出を
さっと拭って見せた
あなたが蜃気楼に見えたの
出典: あなたは蜃気楼/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
歌物語とキングヌーとしてのメッセージ、この2本立ての解釈を続けます。
誰しも悩みはあるもの。時には涙もこぼれるでしょう。でも悩みの原因をよくよく考えると……。
いつかは消え去る人間が生み出した幻想かもしれません。だから泣かないで!という感じです。
非常にわかりやすい言葉で、達観した優しい内容が伝えられているように思われます。
キングヌーとしては泣く泣く現実を直視します!という意味が込められているのかもしれません。
彼らが直視している現実とは、一体どのようなものなのでしょうか?
自分たちの音楽はこんなに格好いいものなのに、まだまだ世の中に広がらない!という歯がゆさなのか。
大衆に愛される音楽を創る為には、自分達の信念を曲げなければならないのか…?という葛藤なのか。
今でこそ大成功したアーティストとして、その名をお茶の間にまで知らしめているキングヌー。
しかしもちろん彼らにも人知れず、そのような悩みを抱えている時期もあったのかもしれませんよ。
無邪気な音楽をやる?
“あなたは蜃気楼”
無邪気に笑ってみせて
“あなたは蜃気楼”
僕を振り回して
出典: あなたは蜃気楼/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
歌詞に出てくる「あなた」とはすべての人間、悩みの原因となっている人、悩みそのもの……。
こうした言葉が当てはまるでしょう。幻想に振り回されても、笑って生きよう!という解釈です。
彼らの場合もしかしたら、どちらかと言えば出来るもんなら振り回してみろ!という挑発にも読み取れるかもしれません。
さらに前衛的な音楽はまるで幻、一般的には伝わりにくいから、無邪気なJ-POPをやる!と。
そんな深読みもおもしろいでしょう。
世の中はすべて幻想!わからないものである
別人になったのは誰?
“鏡の前のお前は一体誰?
最早その顔、別人だぜ
無駄な荷物を捨て去って
過去、嘲笑って
生きることは大変で
歩いてりゃ誰か失って
それでも誰かのため生きたいって
(偽善か?)
視線は関係ないぜ
わかったように見えてる
世界は錯覚だらけ”
あなたが蜃気楼に見えたの
出典: あなたは蜃気楼/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
歌物語の意味は非常に哲学的。世の中は何もかもがわかったつもりで動いているものです。
ところが本当はどうやって宇宙や命が生まれたのか?もわかっていないのが実情です。
わかっていないことだけがわかっている……くらいの勢い。確かに錯覚だらけの世の中でしょう。
この辺りは考えても答えがない、わかりようがない話になります。
そのためすべては幻想だから悩んでもしょうがない……とポジティブに考えるのが得策です。
キングヌーのメッセージとしては常田大希さん自身の方向転換を表しているのかもしれません。
ソロ名義の略称DTMPや前身バンドSrv.Vinci(サーヴァ・ヴィンチ)初期とはまったく違います。
キングヌーは無駄な荷物や過去を捨て去った結果なのでしょう。
他人の考えはわからない
“あなたは蜃気楼”
無邪気に笑ってみせて
“あなたは蜃気楼”
僕を振り回して
“あなたは蜃気楼”
心の内なんて
わかりゃしないって
“あなたは蜃気楼”
後戻りなんて
もう無理だって
出典: あなたは蜃気楼/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
サウンドは怪しげでも、歌詞は超ポジティブ!この前向きな姿勢もキングヌーの魅力です。
悩みや不満などのネガティブな感情とか、妄想めいた怪しげな世界観とは別の次元にいる感じ。
もちろん誰しも時には落ち込んだり泣いたりするものです。ただし、他人の考えはわかりません。
わかりようがないことで悩むくらいなら、前進あるのみ!生き方そのものがかっこいいですね。
恐らく常田大希さん自身も思い悩むことはあるでしょう。それでも、いやだからこそキングヌー!
そんな気がしてたまりません。