宇宙への旅は、今日では研究目的で行われています。

しかしこの「有志」たちには、別の目的がありました。

明確にはされていませんが、この箇所から推察されます。

探求の旅へ

In the days when lands were few

出典: '39/作詞:Brian May 作曲:Brian May

「陸地がわずかになってしまった時のこと」。

これを「地球上の陸地」と捉えれば、どういう状態かわかるでしょう。

何が原因かは明言されていませんが、陸生生物が住める土地が減ってしまったのです。

そのため、有志たちは旅立ちました。

新たに住める土地を、宇宙の中に探しに行くために。

旅の終わりと有志たち

ようやく帰還、けれど

そして重大な任務と期待を背負ったであろう彼らの旅は、ついに終わります。

In the year of '39 came a ship in from the blue
The volunteers came home that day
And they bring good news of a world so newly born
Though their hearts so heavily weigh

出典: '39/作詞:Brian May 作曲:Brian May

「時は'39年、青空からシップが帰ってきた

その日、有志たちは帰還したのだ

新世界を見つけたという、良い知らせとともに

けれど彼らの心は重苦しく沈んだ」

任務は完了。

新たに住める土地を発見したという、良い結果も持ち帰れました。

けれど有志たちの気持ちは、空とは対照的にとても暗いようです。

その理由は、次の部分で示唆されます。

待ち人はいなくなっていた

For the earth is old and gray, little darling we'll away
But my love this cannot be

出典: '39/作詞:Brian May 作曲:Brian May

「地球は使い古され灰色の星と化している、愛しい人、さあ逃げよう

けれど彼女は、そうはできなかった」

二番のこの辺りからは、視点が変わります。

客観的に語られる話というよりは、有志のうちの一人の独白になるのです。

地球に残してきた恋人(あるいは結婚相手)を迎えにきた彼。

けれど相手は一緒に行くことができません。

心が離れてしまったのでしょうか。

その答えは「いいえ」です。

もっと過酷な現実が、彼に重苦しくのしかかりました。

時を超えてしまった旅

過ぎ去った時間は長く…

For so many years have gone though I'm older but a year
Your mother's eyes, from your eyes, cry to me

出典: '39/作詞:Brian May 作曲:Brian May

「私がひとつ歳をとる間に、長すぎる年月が過ぎていたのだ

君の瞳の中、君の母の面影が、僕に叫んでいる」

なんと相手は母親になっていました。

そしてその子供もかなり成長しているようです。

少なくとも帰還した彼らを出迎えられるくらいには。

しかし、出発も帰還も「'39年」なのに?

どうしてそこまで時間が過ぎてしまったのでしょう。

タイムマシンに乗ったわけでもないのに。

いえ、ある意味では、彼らはタイムマシンに乗ってしまったのです。

科学が生かされた歌詞

QUEEN【'39】歌詞を和訳して意味を徹底解釈!呼ぶ声は何を伝える?有志たちを待ち受ける結末とはの画像

実はこれは、"時間の遅れ"が絡められた物語です。

時間の遅れとは、アインシュタインが提唱した相対性理論が予言する現象です。

時間の遅れ(じかんのおくれ、英語: time dilation)は、相対性理論が予言する現象である。2人の観察者がいるとき、互いの相対的な速度差により、または重力場に対して異なる状態にあることによって、2人が測定した経過時間に差が出る(時間の進み方が異なる)。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/時間の遅れ