例えば夜の海に映る月明かりは
波間に揺らいでも
水平線まで明日への道を描いてくのさ

出典: 海月/作詞:松室政哉 作曲:松室政哉

「月明り」は希望の象徴でしょうか。

この部分は夜の海を人生に例えている美しい部分。

静かな夜に、海を眺めているといろいろと考えることがあるでしょう。

海の月明りのように、ときには道に迷いながらも必ず明日はやってくると言いたいのではないでしょうか。

「君」の心も海と同じように照らされるといいなという願いが込められているのかもしれません。

「僕」は暗い海を照らす存在になりたい

君が流した涙の海に浮かぶ僕は海月
彷徨いながら 足宛きながらも
散らばった笑顔の欠片 集めてく
君が流した涙の海に光満ちるように
ただちっぽけな僕だとしても全て守りたいよ

出典: 海月/作詞:松室政哉 作曲:松室政哉

そして感動を誘うサビの部分に突入です。

海月はくらげと歌っていますが、実は同時に海の上にある月のことをもイメージしているのではないかと思います。

海の上の月が自分なら、海は「君」。

海を密かに照らす月がイメージできます。

幻想的な月は、明るい海を照らす太陽とは違います。

月が陰ながら応援しているよという心情を表しているように感じます。

太陽のように大々的にではないけれど、夜になったら暗い海を照らしてくれる月の存在。

そんな存在になりたいという松室政哉の想いが込められているのかもしれません。

第一、太陽ではこの幻想的な世界観は表現できませんね。

ここはくらげでも月でも同じようなことがいえるでしょう。

どちらも暗い海を照らす存在。

美しい比喩の世界がファンタジックに映し出される歌詞に感動が沸き上がります。

「僕」の愛が深まる

いつの日か毎日に安らぎが戻った後も
君の傍で同じ景色をずっと見つめてたいんだ

出典: 海月/作詞:松室政哉 作曲:松室政哉

人は悲しいできごとを忘れながら生きてゆくもの。

いつかは「君」が悲しいできごとを忘れる日がくるでしょう。

それでも月はなくなることはありません。

くらげもおそらく海の中で漂っていることでしょう。

「君」の悲しいできごとが消えたあとでも、ずっと一緒にいたいという想いが感じられます。

主人公の愛がどんどん深くなってきたようです。

理想の光は柔らかい月明り

例えば夜の海に映る月明かりは
淡い輝きでも
闇を掻き分けて 遥か彼方を照らしてくのさ

出典: 海月/作詞:松室政哉 作曲:松室政哉

松室政哉は太陽の強い光ではなく月の淡い光に惹かれているのでしょう。

もともと明るい場所ではなく、闇を照らす月。

心が病んでいる人には、月のような明かりが照らしてくれるのが一番ですね。

「僕」の愛が深い愛へと変わる

君が流した涙の海に浮かぶ僕は海月
初めて覗いた深い場所には
断ち切れない想いの欠片 沈んでた
世界で一番小さな海を受け止めさせてよ
失ってから気付くものなんて僕はいらないから

出典: 海月/作詞:松室政哉 作曲:松室政哉

失ってから大切なものに気が付くことは誰にでもあることでしょう。

しかし失う前にもう主人公は気づいているのです。

その愛が大切だということに。

「断ち切れない想い」という表現から、「君」は失恋して悲しんでいたと考えられます。

はじめは悲しみが消え去るといいなという願いがありました。

でも今は自分が「君」の悲しみを消したいという強い想いに変わっているようです。

悲しんでいる「君」をどうにかして救いたいという想いがあふれ出します。

欠片が海月を傷つけたとしてもそれを受け止めたい。

つまり、自分が犠牲になってでも相手を助けたい。

そういった深い愛に変わってきているのです。

愛の力を再確認して曲が終わる

君が流した涙の海に浮かぶ僕は海月
彷徨いながら 足宛きながらも
散らばった笑顔の欠片 集めてく
君が流した涙の海に光満ちるように
ただちっぽけな僕だとしても全て守りたいよ
君が好きだから

出典: 海月/作詞:松室政哉 作曲:松室政哉

そして最後にもう一度サビの部分が歌われます。

どんなことでもできそうなエネルギーが湧いてくる。

それはただ愛があるからなのかもしれません。

「君が好き」という感情は、どんなエネルギーにも負けないものなのかもしれませんね。

最後に告白されたようなドキドキ感を残しながら曲が終わります。

自分を小さな存在だと考える謙虚な心。

そして君を守りたいというストレートな心。

もちろんメロディーの美しさもありますが、この曲が涙を誘うのはピュアな心に胸をうたれるからといえるでしょう。

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