見つめ合う2人、しかしまた「おなじ話」...

それから 僕も君を見つめ
それから いつもおなじ話

出典: おなじ話/作詞:佐藤良成 作曲:佐藤良成

しかしここで一安心します。

「僕」は「君」をしっかりと見ているからです

そしてまたいつもの会話を続けるのでしょう。

しかし2人が交わす「おなじ話」はもっと内容がないのでしょうか?

共通の趣味、例えば昨日一緒に観た映画の話とか。

この前行ったレストラン、値段のわりに物足りなかったね、など話すことはいくらでもありそうです。

不思議な2人...。

徐々に広がってゆく違和感

「君」は手紙を書き...

ハンバート ハンバート【おなじ話】歌詞の意味を考察!君はどこにいるの?ほのぼのとした物語…ではない?の画像

どこにいるの? となりの部屋にいるよ
何をしてるの? 手紙を書いてるの
そばにおいでよ でももう行かなくちゃ
話をしよう ・・・・・・・

出典: おなじ話/作詞:佐藤良成 作曲:佐藤良成

繰り返される「おなじ話」。

少し変化が表れてきました。

「君」は別の部屋で手紙をしたためている様子

「僕」は「君」ともっと近くにいたいようです

しかし「君」は用事があるのかどこかに出かけてしまいます。

どこに行くのでしょう?

「僕」はもっと「君」と話がしたいと語りかけます。

ここで今度は「君」が沈黙...

やはり違和感の正体はこの2人の会話の食い違いのようです。

仲が良さそうな2人に見えましたが何か秘密があるのでしょうか?

どうして涙を流しているの?

それから 君は僕を見つめ
それから 泣きながらわらった

それから 君は僕を見つめ
それから 泣きながらわらった

出典: おなじ話/作詞:佐藤良成 作曲:佐藤良成

少しずつ悲哀を帯びてくる物語。

「僕」には「君」の姿が見えています

「君」は泣いている。

「君」は微笑んでいる...

このパートで違和感の正体が輪郭を表してきます。

泣きながら微笑む状況、それは嬉し涙、もしくは哀しみを悟られないための涙です。

2人の間には目に見えない決定的な壁があるようです。

夢に見る君はどこにいるの?

ハンバート ハンバート【おなじ話】歌詞の意味を考察!君はどこにいるの?ほのぼのとした物語…ではない?の画像

さようなら ゆうべ夢を見たよ
さようなら いつもおなじ話

出典: おなじ話/作詞:佐藤良成 作曲:佐藤良成

そして「僕」は「君」にさようならを告げます

昨夜夢の中に姿を現した「君」に話しかける「僕」。

別れを告げたはずなのにまた「おなじ話」を繰り返す2人。

ここで分かるのは「君」はもうここにいないという事実です。

不在の「君」と「僕」が毎日繰り返す「おなじ話」といえば...。

「僕」は「君」の写真に語りかけているのではないでしょうか?

同時に不在のはずの「君」も「僕」に語りかけています

悲しいけれど「君」はもうこの世界にいないのです。

ここにいる「君」は実体を持たぬ魂、そして写真に写る笑顔の姿。

「僕」と「君」は同じ空間にいながら別の世界を生きています。

「僕」はもうこの世にいない「君」の写真に「寂しいよ」「戻ってきてよ」と毎日話しかけるのです。

そんな「僕」の姿がいたたまれず側から離れられない、成仏できずにいる「君」...。

「おなじ話」は生と死を超えてなお愛し合う2人の物語です

しかしこれは悲しいお話なのでしょうか?

ほのぼのとしたメロディーで歌われる「おなじ話」。

そこからは完成した愛の形を感じ取ることもできるのではないでしょうか?

この物語はあくまでも筆者の解釈です。

聴く人の心情によってまったく異なる物語を見出すことも可能な「おなじ話」。

何度聴いても胸が締め付けられ喜びと悲しみが入り混じった不思議な涙が溢れてきます。

みなさんにはどのような物語が見えましたか?

様々なアレンジで残された「おなじ話」

ハンバート ハンバート【おなじ話】歌詞の意味を考察!君はどこにいるの?ほのぼのとした物語…ではない?の画像

10年以上作り手にもファンにも愛され続ける「おなじ話」

当然少しずつアレンジを変えたりと工夫が施されています。

しかしハンバートは2人組です。

アレンジの幅にも限界があると思います。

普通なら...。

その期待を裏切らないのがハンバートの魅力です。

2012年、ファンの期待を予想以上に良い意味で裏切ってくれました。

それがインスト・スカバンド「COOL WISE MAN」とのコラボレーションです。