涙の理由
どんなに大切な言葉であっても、直接伝えるのは勇気がいることです。
しかし、勇気を振り絞って伝えた結果、その想いを受け止めてくれた“君”の中には同じ想いが宿っていることがわかるでしょう。
別れが悲しくて涙が出てしまったのかもしれません。
先に大切な言葉を言われてしまった悔しさもあるかもしれません。
“君”が伝えたい他の想いがあるのかもしれません。
その先のことは歌詞では描かれていませんが、何度も繰り返されるフレーズが“君”からのメッセージとも考えられます。
「ありのままの君が好き」と伝える強さ
満開じゃない桜に込められた想い
満開じゃない桜が好き
完璧じゃない君が好き
出典: サクラエール/作詞:足立佳奈・小林夏海 作曲:足立佳奈・宗本康兵
冒頭から出てくる2つのフレーズは、いくつかの解釈ができます。
「満開〜」のフレーズは、まだ夢を形にしていない自分や仲間にリンクしているのでしょう。
同時に、満開になってしまったらお別れの時が来てしまうから、満開にならずにこのまま時が止まってほしいという意味にも捉えられるのです。
刻一刻と近付いてくるその瞬間(卒業)に対して、揺れている女の子の気持ちがひしひしと伝わってきます。
かけがえのない存在
「完璧〜」のフレーズは、本当に伝えたかったことの代名詞でもありますね。
容姿も性格も完ぺきな人はこの世にはいません。
誰でも自分では直したい部分があるけれど、“私”はそんな“君”でさえ愛おしいということを伝えたいのでしょう。
ありのままを受け入れられる相手はそう簡単に見つかるものではないです。
そのかけがえのない存在がアナタであると素直に伝えられるのは、今を逃したら伝えるチャンスがないという気持ちの表れでもありますね。
“君”は恋人?片思いの彼?
ラブソングとしての解釈
『サクラエール』は、深読みするとラブソングとしても解釈できます。
- 付き合っている恋人だけれど、もうすぐ離ればなれになってしまう相手。
- 幼なじみや友達以上恋人未満の相手。
- 友達として毎日のように過ごしてきた片思いの相手。
毎日会っていた人と会えなくなる時間がもうすぐやってくると思うと、心がキューッと痛くなります。
一緒に過ごす時間を当たり前に思っていると、いつか伝えられる日が訪れるだろうとブレーキがかかって「好き」をなかなか言葉にできません。
でも、離ればなれになったら余計に伝えづらくなってしまいます。
大切な言葉を伝えられずにいる勇気の出ない人に、「伝えるなら桜が満開になる前の今しかないよ」と背中を押してくれる歌詞でもあるのです。
親から子に向けたエール
子供に感じる不安と期待
『サクラエール』の歌詞を拡大解釈をすると、実は親目線でのメッセージとも受け取れるのです。
高校を卒業すると、親としては子育てに一区切りがつきます。
小さい頃は手がかかって心配だった子も、手がかからなさ過ぎて不安を覚えた子も、気付けば大人への第一歩を踏み出すのが桜の時期です。
親が子供に感じる不安と期待の入り交じる心と、桜が徐々に咲き始める情景が結び付きます。