ここで重要な言葉が飛び出します。

「きみ」とシーツの上で「ファイティング」するのは初めてではないようです!

情事に移行した二人ですが、主人公はそれを「拙い癒やし行為」だと言ってのけました。

ここまでで考えられることは、「きみ」と主人公が少し前まで恋人同士だったということ。

心に傷を負った主人公はお酒を飲んで忘れようとしたものの、深酒がすぎてしまったのでしょう。

酔いで気が大きくなった状態でかつての恋人を見つけ、体の関係にもつれ込んだのです。

もう一度体を重ねられることは癒やしなのに、心は取り戻せないから癒やしきれない

これを「拙いヒーリング」と表現しているようです。

くちびるを吸って噛んで吸って吸って
ため息を吐いて
それでもYou don’t get it?
なし崩しのエンディング きみ次第

出典: 催眠術/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ

唇を吸い、噛む行為からは、相手を取り戻したいという心情が想像できます。

取り戻したいけれど、取り戻せない。この気持ちに気づいて欲しいから、わざとため息を吐きました。

大きなため息を吐けば「どうしたの?」と心配してもらえるかもしれないのです。 

「You don't get it?」を訳すと「きみは分からないの?」となります。

「ため息を吐いてみたのに、気持ちをわかってくれないの?」というニュアンスでしょうか。

このままでは、「きみ」のペースで情事は進み、一夜限りの関係として終わってしまいます。

しかし、もし「きみ」が気持ちに気づいてくれたら、何かが変わるかもしれません。

思い通りにいかないイリュージョン

段々段々 DOWN
誰でも どれでも どうでもよくなる
きみに 段々段々 DRUNK
かなしいイリュージョン!

DOWN DOWN DOWN DOWN DOWN
DOWN DOWN DOWN DOWN DOWN

出典: 催眠術/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ

前出の歌詞と全く同じですが、異なる意味を感じます。

情事の最中、段々と落ちていくのは、酔いで高揚していた気分なのでしょう。

少しずつ酔いが冷めていきます。

先程は「手当たり次第誰でもいい」でしたが、ここでは「全てがどうでもいい」という印象を受けますね。

「きみ」を誘い、飲み込まれることが「快」で、喜んで飲み込まれていた主人公。

しかし今は「きみ」のペースに巻き込まれ、自分の思いなんて伝えられません。

仕掛けが分かっていても騙されてしまう、まさにイリュージョンです!

もう一度パーティーへ

女王蜂【催眠術】歌詞の意味を独自解説!催眠術の正体は"お酒"?!一夜の幻想が楽しくて悲しい…!の画像

Let’s crash a party!
特大のロンリネス
自分を許せないから

狂っている?
わかっている
狂っている?
わかっている
狂っている?
わかっている
狂っている

出典: 催眠術/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ

「パーティーをぶち壊そう!」

直訳すればこのような意味になります。

しかし、アメリカのスラングとして捉えると意味が違ってきます。

「招かれていないパーティーに参加しちゃおう! 」

こんな意味になるのです。

ここまでの歌詞から、「パーティー」はお酒を飲む場だと考えられます。

酔った勢いで元恋人と体を重ねてしまった主人公。

もうお酒はやめたほうがいいのに、また飲もうとしています。

なぜなら、ひどく寂しいからです。二人の仲が戻るかもしれない、という期待が裏切られてしまったからです。

また、お酒の力を借りてよりを戻そうとした自分が許せないようです。

お酒で失敗したのに、お酒の力を借りようとしたのに、またお酒を求めてしまう自分。

狂っているのは承知しています。

「お酒に酔う」=「催眠術」?

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I’m drunk on you

飲み干すアルコール
どこまで歩こう?
駈け引きの向こう
もう一度アンコール
ほんとは吐きそう
でも 涙を飲み干そう
どこまでも たのしいイリュージョン!

これは催眠術

出典: 催眠術/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ

「きみ」のことが忘れられない状況を、「drunk on you」と表現しています。

きみに酔っている、という意味です。主人公は今の気持ちを素直に認めています。

もう一度訪れたパーティーで、手にしたグラスを空にしました。

まだ飲もうかどうしようか、今度の駆け引き相手は自分だけ。

結局、もう一杯飲むことに決めましたが、お酒を「美味しい」と感じて飲むレベルではありません。

酔いが回り、吐き気すらしています。

それでも今は、お酒に頼りたい気分なのでしょう。

お酒を飲んでいないと、涙が溢れてしまうのです。

涙の理由はきみであり、きみとの失敗の理由はお酒。お酒とともに飲み干せる涙。

全てに理由=仕掛けがあるのに、まんまと騙されてしまう自分がいます。

楽しいと思っていないと、やっていられないのでしょう。

お酒を飲んで酔うことは、催眠術。ここでもう一度前提を歌いました。

自分の内面に耳を傾けて!

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お酒を飲んで酔っ払うことは、催眠術と同じ。

まるで言い聞かせるかのように、曲の最後を「これは催眠術」という歌詞で終わらせました。

言い聞かせなければならない、つまりお酒を飲むことに催眠術の効果はないんだよ、ということでしょう。

無意識を引き出す催眠術とは異なり、酩酊状態では頭の片隅で冷静な自分がじっと見ていたりします。

内なる声や内なる視線を無視すると、大変なことになるよ!

そんなメッセージを感じた、女王蜂の「催眠術」でした。

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