過去と今を受け入れて

過去に縋る

冷えた心を温める
少しぐらい浸っててもいいけど
そのうち過去はぬるくなる
風邪を引かないでね

出典: マーブル/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

歌詞の1行目から書かれている比喩表現について解釈してきます。

まずは「冷えた心」というストレートではありますが、意味深な単語。

これは、新しい世界の慣れない生活に吹き曝されて沈んでしまった自分ではないでしょうか。

そんな中で唯一、気分を上げてくれるのは色褪せない過去の思い出たち。

身体を温めようと入った湯船がだんだんと冷たくなっていくのを感じたことがあると思います。

そのように、いつまでも過去に縋っていては現実世界についていけなくなるといっているのです。

「風邪」には社会からの迫害自己肯定感の低下人間関係の歪みなどを表していると解釈出来ます。

今だけの魅力

きっと季節が巡るたび
歳をとって皺が増えていくたび
朧げになるのだから
痛みを感じる現在を抱いて

出典: マーブル/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

人生の中で環境が目まぐるしく変化する時期は、10~20代の青年期です。

毎日多少なりともストレスを抱えて、どこか漠然とした不安を伴いながら生きています。

では仮に、その要因を全く感じなくなった生活を考えてみます。

はたしてそれは「あなたらしい生き方」といえるのでしょうか。

歳月が重なっていけばいくほど、人間の適応能力・老化などの要因が影響してきます。

逆に、これでもかと悩んで、様々な感情が想起されているのは今だけなのです。

そう捉えることで、少しばかり肯定感前に進む力が起き上がってくるのではないでしょうか。

未来への期待

いつかは心地良い春風に

ねぇ 春になったら
慌ただしく流れる日々に乗ってゆこう
ねぇ いつか僕ら忘れてしまうけど
それは正しいことなんだろう

出典: マーブル/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

注目すべきは歌詞の3行目です。

主人公たち、いわば「新しい世界に立ち向かう人々」。

そんな人たちが忘れてしまうものとは一体何を指しているのでしょうか。

それは決して過去の思い出たちではありません。

今回は以下の2つに解釈をまとめました。

  • 春風を突き進みながら、必死に適応しようとしていた真っ直ぐな自分
  • 見えるもの全てが怖くて、毎日のように明日を憂いていた自分

それらは楽しい日々とは言い難いけれど、自分を成長させてくれたのです。

そんな日々は流れて、今では何食わぬ顔で毎日を送ることが出来ています。

忘れていくことに寂しさを覚えながら、自分自身の成長を強く感じているのでしょう。

笑って会える日まで

ねぇ 時が経ったら振り返ってさ
あんなこともあったねなんて
笑い合ってみたいね
なぁ それまで頑張ってみるから

出典: マーブル/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

いつか、今の艱難辛苦の日々を笑ってネタに出来るような日が来る。

それは故郷の見慣れた街の居酒屋で、いつものメンバーで話し合うのです。

その時に誇りを持って顔を出せるように、必死に今を耐え抜く意志が描かれています。

「頑張れ!」という一辺倒な励ましではなく、同じ視点に立って描かれた歌詞

この楽曲強い共感性を生んでいる秘訣はここの歌詞にあると解釈します。

ずっとあの日のままで