「りんごのうた」は中毒性満載
ラテン調のサウンド
椎名林檎の「りんごのうた」は2003年11月25日、彼女の誕生日に合わせてリリースされました。
彼女が東京事変での活動を始める前の9枚目のソロ・シングルです。
そのため、東京事変でもセルフ・カヴァーをしています。
ソロ・シングルではラテン調のサウンド。
東京事変ではバンド・サウンドで、「林檎の唄」と漢字表記に改めています。
本当に子ども向けの歌詞なのかなど解明していきます。
椎名林檎の作品はストリーミング・サービスで聴くことができるので、曲を聴きながら読んでください。
中毒性のある歌詞とメロディです。
リンゴの果実の虜になるかもしれません。
全編ひらがなの歌
椎名林檎の歌詞といえば旧仮名遣いで書かれるものを想像しがちです。
しかし「りんごのうた」は全編ひらがな。
私たち大人にしてみれば、適度に漢字が混ざっていないと理解しがたい場合があります。
しかし「りんごのうた」はNHKの子ども向け歌番組「みんなのうた」での放送を念頭に書かれた歌詞。
子どもたちにも口ずさんでもらえるようにという想いの方が優先されています。
実際の歌詞を見ていきましょう。
童話のような歌い出し
わたしのなまえをおしりになりたいのでしょう
でもいまおもいだせなくてかなしいのです
出典: りんごのうた/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
まるで絵本や童話を思い起こさせる歌い出しです。
子どもたちはワクワクするような予感に包まれるはず。
名前というものはその人の帰属を示すもの。
また主体性の肝心な柱になります。
名前を忘れてしまうということは寄る辺なき不安に陥る境遇です。
悲劇から物語が始まります。
リンゴはバラ目バラ科
実だけではないリンゴの魅力
はたらくわたしになづけてください
およびになってどうぞおすきなように
5がつにはなをさかす わたしに にあいのなを
出典: りんごのうた/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
子どもたちはここで彼女に好きな名前を当てはめるはずです。
ただし、5月に花が咲く植物であることを念頭に置かなければなりません。
リンゴはバラ目バラ科の植物です。
実だけではなく花も愛でたい植物といえます。
リンゴに先駆けて実をなすアケビ
地球温暖化の悪影響
あけびがひらいたのはあきいろのあいずでしょう
きせつがだまってさるのはさびしいですか
出典: りんごのうた/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
アケビもリンゴと同じく5月に花を咲かせて、秋口に実になります。
それでもアケビの方がリンゴより僅かに季節を先取りするのです。
昔の人は植物の変化で季節を知ることができました。
今はもうハウス栽培のため年中、市場で果物を手に入れることができます。
また、もっと深刻なことに地球温暖化の進行でこの国から四季がなくなってしまいました。
極端に暑い夏と厳しい冬の2シーズン。
その僅かな間隙に秋や春があります。
春はまだ存在感がありますが、秋が短いのが残念です。
日本人が好むのは春や秋なのですが、地球温暖化で実感できる期間が短くなりました。
春や秋、植物も人も喜ぶ僅かな期間を大切に生きたいものです。