リンゴの擬人化
四季が失われた国
なみだをふいてかおをあげてください
ほらもうじきわたしもみをつくります
ふゆにはみつをいれて あなたに おとどけします
出典: りんごのうた/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
植物が実をなすことを労働に見立てるのが椎名林檎の歌詞の面白いところです。
徹底した擬人化がこの「りんごのうた」を楽しくさせます。
子どもたちも過ぎた季節に去られたことに涙を流すのをやめて、いまの季節の変化を楽しむことでしょう。
アケビが秋口に実をつける植物なら、リンゴが実を作るのは9月下旬から10月下旬以降。
冬には甘い蜜をたっぷりと蓄えたリンゴが出回ります。
リンゴも市場で見ない日はないくらい、いまでは一年中どこかで入手できるはず。
便利になった分だけ失ったものも大きいです。
四季の感覚のようなもの。
身近な植物や食物で四季を感じた大切な感覚がこの国から失われているようです。
椎名林檎の人間讃歌
子どもたちも感情を育む
わたしがあこがれているのは にんげんなのです
ないたりわらったりできる ことがすてき
出典: りんごのうた/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
植物にも感情があるのではないかと研究した人もいます。
しかし一般に私たち人間は植物の感情を気にすることはありません。
自家栽培している人たちは植物のために献身しますが、見返りは感情で示されるものではないです。
植物は綺麗な花や色とりどりの実をなすことで私たちに応えてくれるのみ。
このラインは植物の身に自分を置き換えながら、人間讃歌をしています。
人間の素晴らしさは感情を表に出せることだと椎名林檎は歌っているのです。
子どもたちに人間にとって大事な感情というものを上手に育んでほしいという想いが込められています。
思い出した名前は「りんご」
子どもたちも大好き
たったいまわたしのながわかりました
あなたがおっしゃるとおりの「りんご」です
おいしくできたみからまいとしおとどけします
めしませ
つみのかじつ
出典: りんごのうた/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
この植物は自分の名前を思い出しました。
「りんご」
子どもたちもリンゴが大好きです。
毎年、秋から冬にかけて実をなし家庭に届けられます。
椎名林檎の名前の由来
椎名林檎の「林檎」という名前はThe Beatlesのリンゴ・スター(Ringo Starr)からいただいたもの。
リンゴを「林檎」と漢字に改めたのは、吉田戦車のように「モノ」が名前であることへの憧れのためです。