「りんごのうた」はその名の通りリンゴにまつわる歌です。

椎名林檎は子ども向けにやさしい言葉やひらがなでこの歌を届けるのですが、最後に厄介な毒を入れます

めしませ
つみのかじつ

出典: りんごのうた/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

リンゴはちょっとした毒入りでした。

子どもたちにとって大好きなリンゴ。

そのリンゴに「罪の果実」という旧約聖書から由来するエピソードがあることを知る羽目になります

リンゴは「知恵の実」から「罪の果実」へ

神は楽園にアダムとイヴを創生しました。

リンゴはその楽園に実る「知恵の実」です。

神の命じるところで、この実を食べてはいけないとされていました

しかしアダムとイヴは誘惑に負けて、「知恵の実」であるリンゴを食べてしまいます。

アダムとイヴの軽率さが神の怒りに触れて、ふたりは楽園から追放されるのです。

以来、リンゴは「知恵の実」から「罪の果実」へと変わります

罪を犯してでも智慧を得よう

椎名林檎は旧約聖書のこのエピソードを子どもたちにほのめかします。

ひょっとしたら彼女は子どもたちに罪を犯してでも「知恵の実」を食べて欲しいと願ったのかもしれません

すでに楽園を追放されて何千年を生きた人類です。

墜ちた身であるなら、勇気を持って「知恵の実」を齧ろう。

人間存在が智慧をつけることは神にとっては脅威でしょう。

いずれ神の存在を疑うような道を歩むことになりかねません。

実際、人類の進歩に従って無神論は当たり前のように闊歩しだします。

人間の性(さが)を肯定する

神はなぜ楽園に「知恵の実」を置いたのでしょうか?

全知全能の神ならば楽園から予め「知恵の実」を排除しておくことができたはずです。

椎名林檎もこの辺りのことを考えているのかもしれません。

神命に逆らって「知恵の実」の誘惑に負ける人間の性たる好奇心を肯定しているのでしょう

「罪の果実」たる所以

神話の上ではアダムとイヴは楽園から地上に追われ、私たちの祖先となります。

「知恵の実」たるリンゴを齧ったために人間には相応の智慧が身につくのです

人間が人間として発展してゆくためには智慧が不可欠。

しかしときに人間は神を神とも思わぬ不遜な態度を示すことがあり信仰を忘れます。

リンゴが「知恵の実」であると同時に「罪の果実」であることの所以です

まとめ:人間は神罰を受けてでも「知恵の実」を齧る

危険なオススメ

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椎名林檎の歌詞には人間讃歌が通底しています。

人間ならば神罰を受けてでも「知恵の実」「罪の果実」を口にして欲しい

子どもたちにとっては危険なオススメです。

「りんごのうた」は子どもたちに向けて創られています。

それでも、その解釈はご両親の援助のもとでしか理解できません。

ねえ、どうしてりんごがつみのかじつなの?

それはね……。

子どもたちと大人との間で自然と会話が生まれるはずです

親子が会話することが本当の狙い

「りんごのうた」の狙いはこの会話の成立にあるのかもしれません。

一方通行で歌を届けるだけでなく、歌詞と対話して欲しい。

できれば親子で一緒に考えて欲しいのだという椎名林檎の強い想いが伝わってきます

子どもに向けた歌であると同時に親子で歌詞の内容について会話してもらうことを狙っています。

これが椎名林檎の智慧なのです。

子どもと親の会話を促進する「りんごのうた」。

まずはお子さんと一緒に聴いてください。

そして子どもが最後のラインに疑問を持ったら旧約聖書のエピソードを話して欲しいのです。

楽園を追われたアダムとイヴの遠い子孫とされる私たち。

The BeatlesがApple Recordsを立ち上げたのもアダムとイヴのお話、「知恵の実」と「罪の果実」が起源です。

スティーブ・ジョブズがAppleを立ち上げたのもまた同じであります。

旧約聖書の成立には諸説ありますが、もちろん紀元前のこと。

古くからの智慧が現代社会にも痕跡を残しています。

椎名林檎の「りんごのうた」もそのひとつなのです。

ちょっとした毒入りリンゴですから、お子様に薦めるときはご両親立ち会いのもとで聴いてください

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