主人公の本心
恋した女の子は淋しがり
優しく瞳の奥読みとって
口づけていいのよ あなた
出典: エスカレーション/作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平
きっと相手は、奥手というか、引っ込み思案というか、いわゆる「草食系」なのかもしれません。
主人公の方も普段は割とおとなしめでイケイケな感じはあまりしないのですが、多分相手はそれ以上。
そんな主人公がここまで大胆になるその心の内にあるものとは「淋しさ」なのです。
互いに気持ちは通じ合っていると思っていたけど、どこかぎこちない関係。
キスどころか、手を繋いだことさえ、もしかしたらないのかもしれません。
そんな膠着状態を打開したい、もっと深く、激しくコミュニケーションをとりたい…。
そんな主人公の焦がれる感じが伝わってきます。
2番の歌詞
大胆な姿を見せた主人公ですが、内面では淋しさを抱えていました。
この先、主人公の思いはどう描かれていくのでしょうか?
間接キス
WOW WOW WOW
渚はイマジネーション・エスカレーション
WON WON WON
あなたとコミュニケーション・エスカレーション
あなたの飲んだコーラに
そっと口唇近づける
銀色ピアス 胸元
妖しい光り 反射つはず
出典: エスカレーション/作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平
1番の冒頭の歌詞が、2番の冒頭でも歌われます。
内容の解釈に入る前に漢字の読み方で注釈をいれましょう。
- 「口唇」は「こうしん」ではなく「くちびる」と読みます。
- 「反射つ」はこれで「はなつ」と歌っています。
これらはもちろん、歌詞だけの特別な読み方です。
さて、1番でかなり大胆な言葉を繰り出してきた主人公。
しかし、やはり本質的には奥ゆかしいのです。
口では「キスして良い」と言いつつ、自分から顔を近づけるようなマネはしません。
相手が飲んだコーラに唇をつけて、間接キスをする主人公。
顎を上げた瞬間、ピアスがキラリと光ります。
そして、開いた胸元には汗があるのでしょうか、太陽の光が反射するのです。
見方によってはとても色っぽいシーンといえます。
ドキドキがとまらない
応えてよギリギリよ
愛を伝えてるつもり
微笑むだけじゃ嫌
出典: エスカレーション/作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平
そんなシチュエーションも想像しつつ、自分の考えるギリギリの線を狙ってくる主人公。
相手に迫ってきて欲しくて、心の内で最大限の恥ずかしさを感じつつ、挑発します。
しかし、そんな主人公の思いとは裏腹に、微笑みを返す相手。
もしかしたら「かわいいね」などと声をかけているかもしれません。
きっと相手も「うぶ」なのでしょうけども、もし狙ってやっているのだったら相当な策士ですね。
潮風がしみる
恋して 初めて知った淋しさを
潮風 肌に灼きつけてゆくの
ひとりじゃもういられない……
出典: エスカレーション/作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平
相手のことが好きすぎて、相手に迫ってきて欲しくてたまらない主人公。
目の前に相手がいるのに、主人公は淋しいのです。
「なぜ抱きしめてくれないの?」
「なぜキスしてくれないの?」
相手と自分の間にある隙間に潮風が吹きます。
そして、陽の光と潮風、そして自分のじれる気持ちが主人公の肌を灼いていくのです。
なんという切なさなのでしょう。
真夏だというのに、すこし秋の気配さえ感じる歌詞です。