終わりの始まりだったのか

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2007年7月4日発表、ゆらゆら帝国の通算7作目のシングル美しい」。

後の大名盤であるラスト・アルバム空洞です」にも収録された楽曲です。

ただしシングルアルバム・バージョンでは演奏もミックスも違います。

いずれにせよゆらゆら帝国にとってこの曲が最後のシングルになりました。

シンプルな「美しい」というタイトルが楽曲のすべてを表現しているかもしれません。

一筆書きや俳句などの削ぎ落とす形の美というものがこの曲から感じられます。

倍を倍にするようなサウンドを目指していたメジャー・デビュー当初とは明らかに違うベクトルです。

スピードや喧騒に頼らないシンプルささえ感じる幽玄な音楽が鳴り渡ります。

ここまで余分なものを削いでゆく方向を目指してしまって終りが見えたのでしょうか。

この曲が彼らのラスト・シングルである意味はあまりにも重すぎます。

ただしここに結晶した美というものは死に絶えることなくその花を咲かせているのです。

歌詞にもまた終わりというものへの言及がなされています。

そのことをすぐに解散の予兆と捉えた人は少ないかもしれません。

それでもゆらゆら帝国は遂に行き着くところまで来てしまったと感じた人は多いでしょう。

シングル・リリースからしばらくはその行き着いたことを歓迎していました。

2010年3月31日の坂本慎太郎による声明によってここが本当にゴールだったと知らされます。

意味が消失する地点まで行け

ああ 飛んで行けばいい 風にのって行けばいい
見た事無い世界 意味なく踊りたくなる ところへ
そんなところへ

完璧なクソか、、、もう終わりか終わりか終わりか俺
最高のクソか、、、もう終わりか終わりか終わりかお前
美しい
まぶしい まぶしい まぶしい まぶしい

出典: 美しい/作詞:坂本慎太郎 作曲:ゆらゆら帝国

排泄物であろうとも美というものは存在するという価値の転倒をしでかします。

ただしどこか投げやりだったり捨鉢な雰囲気も醸し出しているのです。

どうせすべてには終りがあるのだしという予感の中で俺とお前を見つけ直します。

どうにもならない人生かもしれないし意味なんてないかもしれない。

そんな虚無的な世界観が打ち明けられるのですが、坂本慎太郎はそこに固有の美を見つけました。

終わりゆくものにも美があるのなら、排泄されて用が失くなったものも「美しい」でしょう。

この曲の言葉たちはあくまでも俺とお前の関係の中で生まれたものです。

しかしバンドの解散という事実を思うとラブソング的な装いを超えてゆくのを感じます。

確かに非常に悲しい歌かもしれません。

それでも彼らは最後の瞬間まで輝いていたし「美しい」ままだったことをいまは歓びたいです。

滅ぶことの美学と表現すると安いものに思えてしまいます。

しかし実際にこの極地までたどり着けたバンドの存在とその価値は決して安いものではありませんでした。

不朽の名作シングルとしてこの楽曲を2位に推します。

1位 「空洞です」

ラスト・アルバムのラスト・ソング

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2007年10月10日発表、ゆらゆら帝国のラスト・アルバム空洞です」。

そのタイトル・ナンバー「空洞です」を1位に推します。

実際にいまでも配信サービスなどではこの曲が一番聴かれているのです。

空前絶後の傑作アルバム「空洞です」をもってゆらゆら帝国は歴史を閉じます。

もう完成してしまったからという坂本慎太郎の声明は賛否を呼びました。

音楽というものは完成しない芸術だからこそいまなお生き続けているという反発があったのです。

かつて東京アンダーグラウンドシーンで彼らと親交があった音楽家たちが疑問を呈していました。

一方で熱狂的なファンはただただ悲嘆に暮れてしまいます。

ゆらゆら帝国の解散劇はそれほどにセンセーショナルなものでした。

楽曲「空洞です」が彼らから贈られた最後の作品になります。

実際にはこうした「最後の」という冠を無理やり付ける必要もない名曲かもしれません。

ここでは紛れもないロックが鳴っているのに不思議なクールさが貫徹しています。

熱くならなくてもロックは生み出せるという魔法を魅せてくれました。

またサイケデリック・ロックという言葉にこだわるならこの曲こそその極北に位置する名曲です。

印象的なギターのリフと中盤から鳴り響くフリーキーなサックスの叫び。

しかしヒステリックにはならずに彼らなりの「最後のロック」を鳴らしてくれたのです。

楽曲「空洞です」はロックというものがたどり着いた限界値を指し示しています。

叶うことならば永遠にこの音楽に浸りたかったと多くのリスナーが願いました。

ゆらゆら帝国が最後に残した罪でもある楽曲が「空洞です」なのです。

消尽してしまっても続く日々へ

ぼくの心をあなたは奪い去った
俺は空洞 でかい空洞
全て残らずあなたは奪い去った
俺は空洞 面白い
バカな子どもが ふざけて駆け抜ける
俺は空洞 でかい空洞
いいよ くぐりぬけてみな 穴の中
さあどうぞ 空洞
空洞
空洞
空洞
空洞

出典: 空洞です/作詞:坂本慎太郎 作曲:ゆらゆら帝国

意味があるなんてイリュージョンに誰もが騙されていたのかもしれません。

騙しているのは誰でしょうか。

為政者か資本家か教師か恋人か社会か君か僕か芸術家か分かりません。

誰も彼も意味があると騙しあいながら空洞の中で戯れているのかもしれないという虚無感を伝えます。

私たちはどこでも意味を求めたがって、果てはサイケデリック・ロックの歌詞にまで注釈を加えるのです。

坂本慎太郎はこうしたバカ騒ぎのようなものを冷静な視点で見つめながらも糾弾はしません。

むしろ空っぽだけれどもよければどうぞ遊んでくれと誘うのです。

私たちはその言葉に甘えてゆらゆら帝国に固有の意味や意義をあてがっていました。

でも遊んでいるところ醒めるようなことを語ると実は俺は「空洞です」と歌います

この歌詞がゆらゆら帝国にとっての最後の曲なのですからよほど消尽してしまったのでしょう。

しかしもう「空洞です」と宣言しても私たちはなおもこの中を駆けてゆこうとします。

一方で坂本慎太郎はメジャー・デビュー・アルバム「3×3×3」のラストの楽曲ですでに予言していました。

こんな日がいつまでも
続くならいいけれど
毒入リンゴ かわいい彼女
一口 かじって ぼくは死んだのさ
祭は最初からなかったのさ

出典: パーティーはやらない/作詞:坂本慎太郎 作曲:ゆらゆら帝国

このラインにはラスト・アルバムのラスト・ソング「空洞です」の歌詞との近似性があります。

私たちはゆらゆら帝国という遊び場で祭りを楽しんでいました。

しかしそうした祭りなど初めからないんだとメジャー・デビュー・アルバムのラストで歌っていたのです。

それでも私たちはゆらゆら帝国という楽園であらゆるものを摂取しました。

そしてゆらゆら帝国から何もかもを引きずり出して人生を楽しむのです。

肝心のバンドが消尽してしまっても私たちはCDや配信サービスなどで楽曲をリピートします。

ゆらゆら帝国の魅力は過去の音源だけでもいまなお尽きせないものがあるのですから仕方ありません。

この曲「空洞です」をこのランキングの1位に推します。

まだまだゆらゆら帝国は永遠の遊び場なのだと感じながらそのリアルロックを楽しみ続けましょう。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

OTOKAKEとゆらゆら帝国の軌跡

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OTOKAKEにはゆらゆら帝国の関連記事がいくつかあります。

中でもこの記事での3位に選ばれた楽曲を解明した記事をご紹介しましょう。

ゆらゆら帝国で考え中」の徹底解説の記事です。

もっともっと生活にゆら帝の音楽を響かせましょう。

とても丁寧な記事ですから是非ご覧ください。

独特の世界観を持つロックバンド、ゆらゆら帝国の代表曲のひとつ「ゆらゆら帝国で考え中」。その難解な歌詞を紐解きます!ゆら帝は一体なにを考え中なのでしょうか?

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