様々なことを乗り越えてきた僕らについて歌っています。

タイトルを回収する中盤の歌詞から抜粋しました。

切ない思いがやがて温かくなってゆく情景を見事な歌詞で表現します。

僕らをつなぐ絆というものを「リボン」に喩えているのです。

私たちは無事につながっていることを自然なことだと思いがちでしょう。

しかし藤原基央はこうした絆は毎日の中の絶え間ない努力によって主体的に勝ち得たものだと歌います。

気付いていなかった自分の力というものを教えてくれるようです。

私たちは自覚的に結びついているのだという事実を知るといつまでこのままにしておく努力に覚醒めます。

7.「シリウス」

往年のネオアコバンドのよう

シングル「話がしたいよ」のカップリング曲です。

といっても3曲すべてA面扱いになっていました。

ここからは元気な楽曲が続きます。

ギター・ロックですがネオアコのような響きもあるのです。

転がってゆくようなギターのソロが気持ちいいでしょう。

BUMP OF CHICKENにはこうした世界観を求めている人も多いはずです。

抽象的なモチーフに宿るもの

これは誰のストーリー どうやって始まった世界
ここまで生き延びた 命で答えて
その心で選んで その声で叫んで
名前さえ忘れても 何度でも呼んで

隔たりを砕いて どうぞ いっておいで
眼差しのシリウス 欲張りの動物
これは誰のストーリー どうやって始まった世界
一番好きなものを その手で離さないで

出典: シリウス/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

生きてゆくことの勇気を奮い立たせる歌詞になっています。

ただ、藤原基央は抽象的なモチーフを掲げるので、一部抜粋ですと分かりづらい点も多いでしょう。

それでも生命の根源のようなものへの訴えかけを読み解くことが可能です。

人生というものを力強く切り拓いてゆくだけの勇気というものをこの曲から感じられるのです。

ときに戸惑うことがあろうとも前進してゆくこと。

実際には難しいことかもしれません。

しかし歌というものから得られる力というものを大事にしたいと思わされます。

8.「アリア」

驚くほど壮大な楽曲

2016年8月17日発表、BUMP OF CHICKEN通算6作目の配信シングル「アリア」

元気のいい曲が続いてゆきます。

ルートを刻んでゆくベースが力強いですし、楽曲も壮大なスケールを持っているのです。

アルバムの中では「ジャングルジム」に次いで長い楽曲になります。

様々なドラマを歌い上げ、その都度ごとにサウンドの表情を変えてゆくようです。

コーラス隊が楽曲を盛大にもり立てます。

歌詞の情報量も多いのでかなりの満足感を得られるはずです。

情熱的な愛情に促されて

笑うから 鏡のように 涙がこぼれたよ
一度でも 心の奥が 繋がった気がしたよ
冷えた手が 離れたあとも まだずっと熱い事
見つけたら 鏡のように 見つけてくれた事

あの日 君がいた あの日 君といた
何も言えなかった 忘れたくなかった

出典: アリア/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

歌詞は僕と君の間にある感情について歌います。

ご覧のようにかなり情熱的な愛がふたりの間にあるのです。

何度かふたりの関係は道に迷います。

私たちはそうした戸惑いの一瞬に挫けて関係性を断ち切ってしまいがちかもしれません。

しかし「アリア」での僕と君は何度でも絆を再生するような強さがあるのです。

感情が激しく揺れ動いても、ずっとつながってゆけるふたりの姿は理想の愛の形でしょう。

楽曲に宿る力強さは歌詞が描く激動のドラマにこそ根拠があります。

9.「話がしたいよ」

進化・深化するサウンド

BUMP OF CHICKEN【aurora arc】アルバム全曲解説!儚く揺れる楽曲の美しさに迫るの画像

2018年11月14日発表、BUMP OF CHICKEN通算24作目のシングル「話がしたいよ」

アルバムの流れをもう一度落ち着かせるような楽曲です。

すでにシングルとして発表されていますので愛着を持たれている方も多いでしょう。

ミディアム・テンポのラブバラードになっています。

一度聴いたら忘れられないような美しい情景を描いた歌詞が見事です。

この曲でもコーラス隊が活躍します。

BUMP OF CHICKENはロック・バンドでありながら、様々なアレンジに果敢に挑戦しているのです。

藤原基央の声を聴くとすぐに他のバンドと区別がつくでしょう。

しかし一方で作品ごとに姿を変えながら進化・深化していることを歓びたいです。

会いたい人を思い出して