抗いようもなく忘れながら生きているよ
ねぇ一体どんな言葉に僕ら出会っていたんだろう
鼻で愛想笑い 綺麗事 夏の終わる匂い
まだ覚えているよ
話がしたいよ

出典: 話がしたいよ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

懐かしい思い出の中にいる君と会話を交わしたいと願います。

いつの間にか遠く離れてしまったけれども、その分、積もる話が増えてゆくようです。

その一方で徐々に君のことを忘却していることも実感します。

過去に何があったのでしょうか。

離れ離れになった理由を歌詞の中に探そうとしても、具体的な事情は明示されていません。

リスナーはそれぞれに置かれた立場に応じて、この歌詞に自分の物語を付け加える自由があります。

この素敵な歌を自分のものにして、懐かしい人のことを思い出してみてください。

きっと誰かに再会しておしゃべりしたくなるはずです。

10.「アンサー」

クリエイターに愛されるバンド

BUMP OF CHICKEN【aurora arc】アルバム全曲解説!儚く揺れる楽曲の美しさに迫るの画像

2016年12月21日発表、BUMP OF CHICKEN通算7作目の配信シングル「アンサー」

多くのファンにとってこの曲は馴染み深いでしょう。

NHKのアニメ3月のライオン」のOP曲としても有名な楽曲です。

アニメの原作になった漫画「3月のライオン」の作者である羽海野チカが依頼した楽曲になります。

羽海野チカはBUMP OF CHICKENの大ファンです。

そしてバンドの方も彼女の作品のファンという理想の関係があります。

ミディアム・テンポのポップソングでとても温かな気持ちになれる楽曲です。

生きる理由というものこそがメインテーマ。

歌詞の中の主人公はその理由をきちんと掴んでいるよという描写です。

誰しもが勇気を得られるような歌詞に仕上がりました。

「3月のライオン」の主人公のように

心臓が 動いてることの
吸って吐いてが 続くことの
心がずっと 熱いことの
確かな理由が

砂漠の粒の ひとつだろうと
消えていく雨の ひとつだろうと
貰った 名も知らない 花のように
今 目の前にあるから

出典: アンサー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

私たちは日頃、精神面だけで生きている理由を探そうとします。

しかし藤原基央の導く解答は肉体というものに問いかけるのです。

自律して生きている肉体はあれこれ思い悩むことなく生きる事情を知り尽くしています。

迷っていたら生きようとする心臓の鼓動に耳をすませばいいという考え方です。

生きるということはあれこれ思い悩んでいる観念の中にだけあるものではありません。

むしろ何の事情も気にせずに、ただそこにある草花のようなものこそが解答だと歌うのです。

「3月のライオン」の主人公である少年のようなひたむきさからもヒントを得られるでしょう。

紙幅の関係で歌詞を全編ご紹介できないのが残念でなりません。

11.「望遠のマーチ」

軽快な楽曲に感謝

2018年7月13日発表、BUMP OF CHICKEN通算10作目の配信シングル「望遠のマーチ」

非常に軽快な楽曲です。

子どもたちがユーザーであるゲームのCMソングですので非常に分かりやすい作品になっています。

歌詞もネガティブな要素が少なく、迷わず前へ行こうという姿勢が鮮明になっているのです。

次世代を担う子どもたちへ贈る言葉でもありますからとにかく明るさというものを最優先させたのでしょう。

アルバム「aurora arc」の中ではかなりハイテンポな楽曲になります。

ライブではかなり盛り上がりそうな作品です。

子どもたちへ届けたい言葉

絶望 希望
羽根は折れないぜ もともと付いてもいないぜ
いこう いこうよ

心はいつだって 止まれないで歌っている
繰り返す今日だって 今日だって叫んでいる

出典: 望遠のマーチ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

藤原基央のユーモアが滲むラインです。

私たちは確かに子どもの頃から翼というものに憧れていました。

しかし人間はどうやっても翼など生えません。

それでも前進してゆく力というのは個人の中にきちんとあります。

前向きな人というのは挫折を経ても、どうやって起き上がればいいのか知っているのです。

ただ、その足で前へ力強く進んでゆくしかないという簡単な答えこそが真理なのでしょう。

この辺りの問題意識のようなものは「アンサー」とも通じるものがあります。

構わず前へゆくその気持ちをこれだけしっかりと持てたら素晴らしいでしょう。

歌のようには簡単にゆかない人生ですが、その勇気を身に着けたいと思わされます。

12.「Spica」

摩訶不思議なサウンドに驚く

2018年11月14日発表、BUMP OF CHICKEN通算24作目のシングル「Spica」

この曲は先ほどご紹介したとおりに「話がしたいよ」「シリウス」と3曲A面のシングルに収録されています。

「シリウス」「アンサー」にしてもそうですがアニメとの関わりを持った作品です。

BUMP OF CHICKENアニメとの親和性が著しく濃厚なバンドになりました。

おそらくアニメの制作陣たちがBUMP OF CHICKENのファンであるケースが多いからでしょう。

また前向きな歌詞を書いてくれる藤原基央の世界観というものがアニメにはぴったりです。

この「Spica」のサウンドはとても不思議な感じがします。

アレンジも斬新であり、このサウンドはジャンル的に何と呼ぶのか分からなくなるほどです。

その摩訶不思議さはどうぞ実際の音源でお楽しみください。

様々な音が鳴り響いてきますし、後半になるとゴスペルのようなコーラス隊まで登場します。