無条件の愛を保証する
汚れても 醜く見えても 卑怯でも 強く抱きしめるよ
手をとった時 その繋ぎ目が 僕の世界の真ん中になった
どこからだって 帰ってこられる
いってきます
出典: Spica/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
僕と君の愛のドラマが様々に展開されます。
確かに最終的に必ずうまくゆく辺りはアニメ的な世界観というものを感じざるを得ません。
ただ、僕の君へと向かう真っ直ぐな思いというものは非常に感動的です。
君がどのような状況に陥っても僕の愛は変わらないと歌ってくれます。
何しろ僕が生きている理由や最優先にしたいものは君だけなのです。
私たちも愛する人のために生きています。
しかしこの「Spica」のように無条件の愛情というものまで持ち得るかは人それぞれでしょう。
藤原基央の真っ直ぐな視線では、条件付のない愛こそが価値あるものになるのです。
次の曲の「新世界」でもこうした誠実な愛と出会えます。
先を見ていただきましょう。
13.「新世界」
弾けるビートに乗ろう
ロッテの創業70周年のために作られたアニメ「ベイビーアイラブユーだぜ」のテーマソングです。
このアニメのタイトル「ベイビーアイラブユーだぜ」は楽曲の歌詞のラインから採用されました。
とにかくアルバム「aurora arc」の中では一番脳天気な魅力がある楽曲です。
テーマが男子の初恋なので、飛んでゆくようなビートに軽妙洒脱な魅力があります。
アルバムのラスト手前でこうして肩の力をすっと楽に抜いてくれるのが嬉しいでしょう。
弾けるようなビートを愉しんでください。
脳天気な初恋という騒ぎ
君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ
頭良くないけれど 天才なのかもしれないよ
世界がなんでこんなにも 美しいのか分かったから
例えば 曲がり角 その先に君がいたら
そう思うだけでもう プレゼント開ける前の気分
出典: 新世界/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
とにかく初恋の相手と出会えた歓びを全身で表現するような歌詞です。
クラスの中でも平均的な男子学生をモデルにしました。
この男子はどこかありふれたところのある学生かもしれません。
しかしこの男子までも特別な存在へと変えてしまうのが君の神々しい魅力というものです。
この男子は相手と出会えたことで初めて自分が生まれた理由を意識します。
恋というものがアイデンティティの確立と深い相関関係にあることを描く歌詞です。
どこまでも脳天気な男子の気持ちが幸せ全開で表現されます。
初恋の力とはこういうものだったと思い出させてくれる歌詞になっているのです。
14.「流れ星の正体」
バンドの万感の思いを感じる
いよいよアルバムのラストになります。
先ほどの「新世界」の騒ぎっぷりから一転しました。
シリアスなラブバラードであり、もともとは弾き語りベースだった楽曲をバンドアレンジしました。
静かな始まりから徐々に熱を帯びてゆくそのサウンドが感動的でしょう。
この最後の楽曲にBUMP OF CHICKENは万感の思いを込めています。
藤原基央の声の魅力や訴求力というものが映えているのです。
歌詞は彼が得意とする天体というものに人間を重ねたものになっています。
宇宙的なスケールを持つモチーフを抱えていますから、サウンドも徐々に壮大になるのです。
「aurora arc」というアルバム全体を引き締めるような楽曲。
唐突に思えるラストの後にリスナーを静寂に包み込みます。
この余韻の充実感をどうぞ存分に味わってください。
アルバム「aurora arc」がいかに名作なのか確信できるはずです。
私たちの輝きを信じて
太陽が忘れた路地裏に 心を殺した教室の窓に
逃げ込んだ毛布の内側に 全ての力で輝け 流れ星
お互いに あの頃と違っていても 必ず探し出せる 僕らには関係ない事
飛んでいけ 君の空まで 生まれた全ての力で輝け
出典: 流れ星の正体/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
どのような状況であっても希望を持って輝くのが流れ星です。
私たちもそうしたまばゆさを持った存在でいようという感動的なメッセージを込めてくれました。
バンドがなぜこの曲をアルバムのラストに配置したのか分かるような気がします。
リスナーに前へ向いてアルバムを聴き終えて欲しいと願ったのです。
あくまでもリスナーを鼓舞するために紡いでくれた言葉がまぶしいでしょう。
オーロラや流れ星など天文現象・自然現象の奇跡になぞらえたのは私たちの輝きなのです。
自身が輝ける存在であることをどうか忘れないで前へ向かってと藤原基央は願ってくれました。
こうした底抜けの優しさがあるからこそBUMP OF CHICKENは偉大なのでしょう。
誰にとっても勇気になるような楽曲たちを止まることなく届けてくれました。
アルバム「aurora arc」そのものが光というものに訴えるのです。
その光や輝きは儚いものかもしれません。
そうであってもこの輝きを忘れないでいてくれる人たちがいます。
BUMP OF CHICKENは私たち自身の光を見てくれているのです。
ロックスターとしての彼らには欠けるものがないと思わざるを得ません。
素晴らしいアルバムをご紹介できて幸せでした。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
OTOKAKEとBUMP OF CHICKENの軌跡
OTOKAKEにはBUMP OF CHICKENの関連記事がいっぱいです。
その中でも東日本大震災のときに届けられた歌に耳を傾けてみましょう。
「Smile」という弾き語りの曲の解説記事です。
多くの人に響く力強い楽曲であり、歌詞が素晴らしい仕上がりになっています。
この曲を懇親の思いで解説いたしました。
是非ご覧ください。