変わらないように
君が主役のプロットを書くノートの中
止まったガス水道 世間もニュースも所詮他人事
この人生さえほら、インクみたいだ
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
青年が貧しい生活を送っていることが分かります。
ガスや水道の料金が支払えず、止められているのでしょう。
外部の情報にも興味を示すことなく、淡々と自分自身と向き合っています。
いや、変化を拒んでいることから、「エルマ」との思い出にしがみついているのかもしれません。
そして最後に自分の人生を「インク」に例えました。
「インク」にはどんな意味があるのでしょうか?
先ほど自分の人生を「白紙」とも表現していましたね。
「エルマ」という存在がクッキリと、インクで文字を書くように染み込んでいるのでしょう。
「夢」が薄れていく
あの頃ずっと頭に描いた夢も
大人になるほど時効になっていく
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
子供の頃や青春時代に抱いていた「夢」を実際に叶える人はどれくらいいるのでしょうか?
大人になるほど、挫折を経験し、社会のしがらみを意識するようになります。
主人公は、純粋に抱いていた「夢」を叶えることができずに、後ろめたさを感じている印象です。
呆然とする
ただ、ただ雲を見上げても
視界は今日も流れるまま
遠く仰いだ夜に花泳ぐ
春と見紛うほどに
君をただ見失うように
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
「エルマ」を思い浮かべて呆然と空を眺める青年。
青年に構わず時間は過ぎていきます。
そして夜空に見る「花」の幻…。
淡い期待を抱きながらも、非現実的だと認識しているのかもしれません。
空想と現実の間を行き来している不安定な精神状態がうかがえます。
心を蝕んだもの
音楽が売れるかどうか
転ばないように下を向いた
人生はどうにも妥協で出来てる
心も運命もラブソングも人生も信じない
所詮売れないなら全部が無駄だ
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
下を向いて歩くと「暗い」とか「元気が無さそう」という印象を与えます。
ですが、青年が下を向くのには意味があるようです。
足もとを見ながら歩くことで転ばなくて済む。
だから俯いているんだ。
先ほどは上を見上げて空想にふけっていましたが、逆の描写ですね。
ちょっと言い訳っぽくも聞こえます。
青年は上を向くことをやめ、「愛や希望」を捨て去りました。
なぜでしょうか?
おそらく、かつての青年の音楽では「愛や希望」が歌われていました。
でもいざ音楽を仕事にすると「利益」が絡んできます。
「利益」がないと生活できないのは当たり前ですね。
次第に青年の音楽に対する物差しは「売れるかどうか」に変わっていったのでした。
売れない音楽には価値がない。
そう考え、「愛や希望」を否定しているのではないでしょうか?
何を零した?
わざと零した夢で描いた今に
寝そべったままで時効を待っている
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna
「零した」と言う表現は、先ほどの「インク」に繋がります。
「インク」の入ったボトルを紙に零すように、自分の人生に「夢」をぶちまけたのです。
「夢」という名の「インク」は染みとなり、いつまでも心に残っています。
燻った感情は消えず、青年はただじっとしながら静まるのを待っているのでしょう。
鮮明になる「エルマ」の姿
ただ、ただ目蓋の裏側
遠く描く君を見たまま
ノート、薄い夜隅に花泳ぐ
僕の目にまた一つ
出典: 藍二乗/作詞:n-buna 作曲:n-buna