卒業ソング「25歳永遠説」
2019年6月5日発表、Juice=Juiceの通算12作目のシングル「25歳永遠説」。
カップリング曲は「『ひとりで生きられそう』って それってねぇ、褒めているの?」です。
Juice=Juiceの初代リーダー・宮崎由加の卒業を記念した楽曲が「25歳永遠説」。
実際に2019年に25歳を迎えた彼女のために宛書きされた歌詞になっています。
歌詞の中には宮崎由加の特徴を捉えたフレーズまで差し込まれているのです。
この記事ではもう少し普遍的な価値をこの楽曲に見出してゆきたいと思います。
誰もが通り過ぎる25歳という季節。
人生の中でも一番やりたいことに邁進できたときかもしれません。
25歳をすでに経験した人にとっては懐かしくも輝いていた季節の記憶が甦るでしょう。
これから25歳を目指す人にとっては未知なる世界が待っています。
いずれにしても青春期の最後の輝きをこの時代に見出す人も多いことでしょう。
OTOKAKE独自の深い解釈で「25歳永遠説」の歌詞を紐解いていきます。
それでは実際の歌詞をご覧ください。
25歳という分岐点
学生気分ではいられない
地元の子ママになった
あの子は転職中
うれしくて はーぁ せつないわ
ちょっと誘いづらい
眠れないほどの恋して
にきびを作ったこと
痛い思い ちょっとしたけれど
色んなこと許せてきた
出典: 25歳永遠説/作詞:児玉雨子 作曲:KOUGA
歌い出しの歌詞になります。
語り手は宮崎由加を念頭に置いた25歳女子の「わたし」です。
周囲の友だちが様々な運命を迎えています。
同じグループだったの地元の友人が徐々にそれぞれの人生に進んでいくのです。
学生時代でしたらいつでも一緒に遊んでいた仲なのに、そうした季節は終わってしまいました。
25歳という年頃では社会人になって数年、そろそろ生涯の伴侶を見つける人もいます。
女性の「適齢期」ともいわれるので、否が応でも結婚を意識させられる歳です。
この曲の冒頭では結婚どころか出産まで済ませた友人を回想します。
少子化が叫ばれる日本社会ですが条件さえ合えば早くに子どもを産みたい女性もまだまだいるのです。
一方で社会人になって初めて務めた会社に不満を持つ人もいるでしょう。
自分の能力を活かしきりたいと思える若さがあるのは25歳らしいことかもしれません。
キャリアアップを目指すならば務めている会社では限界があることをしります。
新天地である転職先で自分の可能性を探りたいと転職活動に勤しむ友人の姿があるのです。
語り手の「わたし」は彼女たちと連絡をとって遊びたいと願います。
しかし彼女たちの実情を思うと中々気後れして誘えなくなってしまうのです。
すでに25歳を経験済みの方はあるあると頷かれることでしょう。
もう学生気分ではいられません。
思春期を振り返りながら
25歳の「わたし」は思春期の想い出に浸ってしまいます。
初恋に胸を焦がして生きてきたことなどを思い返すのです。
ホルモンのバランスからニキビケアに一生懸命にならざるをえなかったこと。
一番美しいはずの少女期に登場するニキビというものは悪魔のような存在でしょう。
初恋や稚い恋は必ずしもうまくいくとは限りません。
この時期の恋愛は短命であるのがほとんどでしょう。
男女の差の中で諍いや理不尽な思いをさせられることもあります。
それでも25歳の「わたし」から振り返るとそれも些細なことだったなと思い返すことができるのです。
思春期を超えてゆくうちにその頃の人生を総括できるようになる。
理不尽なことに戸惑ったことも様々な事情があったのではないかと包括的に考えられるようになります。
自分の本当の人生はこの先に待ち構えていることを思い出すと過去のことに縛られません。
思春期に負ったトラウマで一生を棒に振るような人もこの社会にはいます。
ただこの歌の「わたし」には幸運なことにそうした事態には陥れませんでした。
自分で人生を拓く
タイトルに心奪われる
25歳永遠説
何でもできそう
背伸びのヒールに慣れてから
人生が始まった
出典: 25歳永遠説/作詞:児玉雨子 作曲:KOUGA
タイトルを回収します。
女性のヒールに関してはこの曲の発売前後に女性の側から異論が発信されました。
ハイヒールは女性だけに押し付けられるもので苦痛だという声が出たのです。
この声がこの先大きくなってゆく可能性もあります。
しかし多くの女性にとっていずれハイヒールを履くエレガントなレディになることを夢でしょう。
社会の中で男性に混じって社会進出してゆく女性たちの姿は頼もしいものです。
学生気分も抜けてすっかりハイヒールの靴にも慣れてきた頃。
この25歳の風景がこの先の「わたし」をずっと支えてゆきます。
自分も社会の一員として何がしかの貢献ができると自信がついてくるはずです。
こうした自信は次第に強くなってゆきます。
25歳のときの自信を胸にこの先の人生を拓いてゆくこと。
こうしたこの先の長い人生の原点として25歳は永遠になるのだという発想をしています。
「25歳永遠説」というタイトルは本当に人々の心を鷲掴みにする魅力があるのです。
原点だから人生にとって永遠なのだという理屈は25歳を経験済みの方ならば分かっていただけるでしょう。
きっと難局も乗り越えられる
「魅力いっぱい もう困っちゃう」
なんて笑っていよう
どんな時もなんとかなった
なんとかして来られたじゃん
昨日 今日 明日もそう明後日も
うまくいくよ わたしなら
出典: 25歳永遠説/作詞:児玉雨子 作曲:KOUGA
リスナーに届ける言葉ではあるのですが、まずは宮崎由加へのエールになっています。
グループを卒業した先の人生がどのようなものになるのか。
私たちリスナーは彼女のさらなる成長を見守るしかありません。
25歳になるまでの道はリスナーが思うほど順風満帆ではなかったかもしれません。
それでも25歳まで笑顔で乗り切ってきた宮崎由加をねぎらっています。
25歳から先の人生では愛嬌だけでは乗り切れないことも訪れるでしょう。
それでも彼女ならば何とか障壁を乗り越えられると歌うのです。
これまでの芸能活動での苦難と較べると卒業後の生活はむしろ平穏かもしれません。
自信を持ってこの先の人生を切り拓いていただきたいです。
一方で普通の25歳女子にとっての人生はどうなるでしょうか。
学生時代のノリでいられるわけではないので25歳から先の人生は辛いこともあるでしょう。
しかし社会人になって数年を経ています。
すでにこの社会の理不尽さには気付かされているはずです。
現代社会には理不尽さもありますが愛を見つけることもあるでしょう。
愛を持って理不尽な世の中と対峙してゆくだけの強さを25歳になるまでに身に着けているはずです。
大方の困難は時間とともに解決可能になるでしょう。
自信を失うことなく前へと進んで欲しいものです。