次の2行です。

彼にとって自分がどうかよりも、自分にとっては彼しかいない。

そう言い切っているのです。

彼にとって自分が相応しいかは分からない。

けれど、主人公には彼の存在が必要なのです。

そして、その必要性というのも、彼女は確信しています。

それがこのパートの2行目に明確に表れているのです。

気持ちというのは、目に見えないもの。

しかしながら、そんな気持ちが存在していることを彼女は確信しているのです。

本当に愛しているかどうかなんて疑う余地もない。

彼女にとって、彼の存在がとても大きいものであることが分かります。

しかし、この歌詞の中で1点だけ、彼女の冷静さを感じる部分があるのです。

この歌詞パートの1行目の最初に「今」という言葉が使われていること。

今の主人公にとっては、そうであるけれど、いずれどうなるかは分からない。

そんな彼女の気持ちが透けて見えます。

前後を見ると彼女が恋で盲目になっているかのように思えますが、そうではないのです。

どこか達観しているような印象さえ受けます。

主人公は、彼と過ごす「今」という瞬間を懸命に生きているのでしょう。

あったかい夏の始まりそうなこの木の下で結ぼう

出典: 二人の形/作詞:aiko 作曲:aiko

この歌詞に登場する「木」は何の「木」を表しているのでしょうか。

「二人の形」が収録されているアルバムの名前が『桜の木の下』であることを考えると、これは桜でしょうか。

そう考えると、春に咲く桜という花が、これから到来する夏を予感させているといえるでしょう。

2人は、桜の木の下でお互いの想いを確認し合っていると考えられます。

「二人の形」2番

今までの恋

愛する事も抱きしめる事も本当不器用で
ずっと傷ついて 失って ここまでやってきたのね

出典: 二人の形/作詞:aiko 作曲:aiko

ここから2番の歌詞に入っていきます。

ここで表現されているのは、恋愛に何度も破れた人の姿です。

これが誰に向かって言っている言葉なのかは明確には分かりません。

自分自身のことをいっているのでしょうか。

そうだとすればサビでの、恋愛を達観したような歌詞にも納得がいきます。

これまでの経験を踏まえた上で、ああいった言葉が出てきたのだとしたら説得力が増しますね。

ここで描かれているのは、上手く自分の気持ちを相手に伝えることができない人物。

今まで何度も失敗をして、それでも愛したり、誰かを好きになることをやめられない。

そんな様子がひしひしと伝わってきます。

経験値は関係ない

両手にあまる程たくさんの恋をしたってそれは
決して誇れる事じゃなくて悲しんでゆく事なのね

出典: 二人の形/作詞:aiko 作曲:aiko

これまで沢山、恋をしてきた。

そのことで恋愛の経験値は積んできたけれど、その数だけ悲しみが深くなっていったのかもしれません。

どれだけ誰かを愛そうとしても不器用にしか愛せず、気持ちが自分の思っているように伝わらない

そして、そのせいで何度も失恋を繰り返してきた今までの恋愛。

これまでの恋を思い返して、そんな苦い思い出を噛み締めているのでしょうか。

けれど、そんな風に気づくことが出来たのも、今の恋人に出会えたからなのかもしれません。

これまではどこか無理をしていた彼女。

しかし、今は自分らしく居られる。

だからこそ、昔のことを理解できるようになったのかもしれません。

人というのは、自分の置かれている状況から遠ざかって、やっと客観視できるものなのです。

晴れない空の下でも

困難さえ味方にして

雨が降ったらはぐれないように指の間握ろう

出典: 二人の形/作詞:aiko 作曲:aiko

雨というのが表しているのは2人にとっての何かしらの困難でしょう。

気持ちがはぐれてしまいそうな大雨の中でも、お互いを見失わないように。

2人の気持ちが離れてしまわないようにと、願いを込めて手を握るのです。

切なささえ感じる、主人公の一途な気持ちがここに表れています。

どんな困難も、お互いに支えあっていこう。

そんな風に彼女は言いたいのかもしれません。

曇天の下でも

たとえ夜明けがない 雲も切れない そんな空の下でも
手を引くあたしに笑ってついてきてくれる それが2人の形

出典: 二人の形/作詞:aiko 作曲:aiko

ここで描かれている空というのは、恐らく曇り空のことでしょう。

昼も夜も、灰色の雲で覆われている空。

どこか不安を煽るようなそんな天気の中でも、2人でいられることが幸せなのでしょう。

彼女が、彼の手を引っ張って、彼がその後を笑いながら付いていく。

それだけで2人にとっては十分であるということを、主人公はいいたいのでしょう。

2人にとっての恋愛の形がここに強く表れています。