シンプルだからこそ伝わってくる風味堂の温かみ
ポップスというのは幅広い層に向けて発信されることもあってでしょうか、アレンジも込み入っていて様々な楽器を幾重に重ねたものが目立ちます。
色鮮やかな音色というのはそれだけ音楽を盛り上げてくれるし、聴く人を飽きさせず楽曲を楽しませてくれますよね。
そんなポップス界の中でも、トリオというバンドとしては最小限の編成で極上のポップソングを送り出すのが風味堂。
楽器の数の少なさというのは、上記のポップス界の風潮を踏まえると一見不利なようにも映ります。
しかし彼らのサウンドの魅力というのは、その編成だからこそ成り立っているもの。
シンプルな音像だからこそ、歌の温かみがストレートに伝わってくるのが風味堂のサウンドなのです。
飾らずストレートなタイトルが目を引く1曲「愛してる」
今回紹介するのは彼らが2006年8月23日にリリースした7枚目のシングル「愛してる」。
恋人に対して「好きだよ」と言うことは出来ても、「愛してる」と言うとなんだか改まりすぎて恥ずかしいものがありますよね。
その言葉はどんなに捻った言葉よりもストレートに愛情を表現した言葉。
だから恥ずかしい気持ちもあるのかもしれませんね。
飾らずにストレートに想いを吐露したようなそのタイトルは、彼らの真っ直ぐな音像を表しているかのようです。
2006年は風味堂にとって転機になる出来事があった年
この曲がリリースされた2006年というのは、彼らがある転機を迎えた時期でもあります。
2006年
路上ライブを完全に封印。今後はより積極的な活動をすることを公言した。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/風味堂
2004年にメジャーデビューを果たした彼らは、デビューから2年経ったこの年に路上ライブを完全に辞めることを公言しているのです。
路上ライブと言えばライブハウスなどと違って、無料で観られるということが利点だったりします。
これを封印したということは、彼らのプロ意識の表れを意味しているのではないでしょうか。
無料で観られるようなことはなくなってしまうけど、その分さらに磨きが掛かった音楽を届ける。
そんな意志表示が感じられます。
「愛してる」がリリースされた時期というのは、こうして彼らの意識が大きく変わった時期。
この曲に関しても、プロとしての自覚を今まで以上に持った上で制作されたのではないでしょうか。
劇的なストーリーが描かれるMV
冒頭部分で老夫婦が見ていたドラマの中で恋人たちが別れ話をしていたのは、MVの主人公2人に起こったことの伏線でしょうか。
彼女はニュースキャスターで台風の中継中。
その撮影の最中に彼がやって来て彼女を抱きしめるという、劇的な展開が用意されていました。
普通に考えれば絶対にやってはいけないようなことをやっていますが、その分「そんなことは関係ない」という彼の強い想いが感じられます。
呆気に取られていたカメラマンなどのスタッフたちも、その想いの強さにもはやお手上げといった様子でしたね!
感動が広がっていく様子を表したかのような楽曲
ボーカル、渡の温かな歌声から穏やかに幕を開けるこの楽曲。
そんな音像が響く最中、まるで時計の秒針が押し迫るかのように伴奏が躍動し始めます。
サビでは想いが溢れ出したかのように高揚し、広がっていくサウンド。
まるで抱きしめ合う二人の様子が世間に映し出された、その感動が広がっていく様子を表しているかのようでしたね。
そんな楽曲の内容に歌詞もいよいよ気になってくるところ。
ここからじっくりとその内容を紐解いていきましょう!