RAM WIREについて
迷っている人達とつながりたい!
RAM WIREは、女性ヴォーカルのユーズさん、男性ヴォーカルのMONCH(モンチ)さん、トラックメイカー(曲を作る人)のRYLL(リル)さんのユニットです。
RAM WIREのユニット名は、「羊たちの絆」を表す造語。自分達のように、迷っている人達とつながりたいという願いが込められているそうです。
この骨子があるから、ふとすれば見落としそうな日々の葛藤や喜びを曲に反映できるのでしょうね。
ユーズさんの少し乾いた優しい歌声が印象的で、特に歌詞が素晴らしい事で知られており、多くの人の琴線に触れる楽曲を数多く発表しています。
今回ご紹介するのは、RAM WIREの「名もない毎日」。2012年6月に発売された曲です。
チェックすべきは、鉄拳さんが描いたパラパラ漫画で綴られたMV!早速見て行きましょう。
人生で一度は見るべきMVをチェック!
もしこちらのサイトを電車内や外出先でご覧になっている方がいたら、家に帰ってからMVを見るのをお勧めします。
というのも、かなりの確率であなたの涙腺が崩壊する可能性があるからです!
鉄拳さんは誰でも共感できる人生の辛さ、喜び、希望、悲しみを描く天才で、その才能がいかんなくこのMVにも発揮されています。
特に、鉄拳さんの名作「振り子」をご覧になって泣いてしまった方は、今回のMVも家でじっくり鑑賞する事をお勧めします。
MVでまず描かれるのは現実の厳しさと反実仮想
このMVの主人公は、ミュージカルスター(舞台女優)を目指す女性です。でもオーディションに落ちてばかりなんですよね。注目して欲しいのが、この女性が抱える葛藤。
始まりから30秒位で、道路の標識の矢印が出て来ます。
そこには「もっと時間があれば(練習に打ち込めるのに・夢を追いかけられるのに)」「もっとタイミングが良ければ(役を勝ち取れたのに)」という、「IF(もしも)」が記されています。
この女性、もう10代じゃない。おそらく20代半ば〜後半。そろそろ夢と現実の折り合いを付けなければいけない年頃です。
人生は選択の連続です。
後悔と入り交じった人生の分かれ道や、「反実仮想(もし〜だったらなぁ、と現実とは違った状況を考える事)」に囚われてふさぎ込んでしまう事は、誰にでもありますよね。
登場人物の女性も、今まさにそんな状況にあります。
歌詞も見てみましょう
まずは1番から
急ぎ足を遮る信号に
ついため息ばかりを探して
望むようになれない歯痒さに
言い訳ばかりを探して
歯切れの良い言葉を並べても
嘘っぽさが拭いきれなくて
今 遠ざかる夢に
声もかけられず
また息を詰まらせる
出典: 名もない毎日/作詞:MONCH 作曲:MONCH/RYLL
イントロなしで、ヴォーカルとごく控えめな高音のピアノの和音からAメロが始まります。
作詞者は、最初から登場人物を辛い状況に置いているようです。
MVではミュージカルスターを目指す女性が登場人物として描かれていますが、「夢を追いかけながら多くの挫折をしている人」全員に向けた歌詞になっています。
特に芸術などを志す人にとって、「いつまで夢を追いかけるべきなのか」は大変難しい問題ですよ。芸術に正解はありませんものね。
「今 遠ざかる夢」という表現からは、人生の大きな転換点と、決断を迫られている主人公の様子が浮かんで来ます。
Bメロです
でもやっぱり思い知るよ
何かを読み取るように
何も聞かずに「おかえり」と笑う
あなたに その笑みに
絶えず にじむ優しさに
生かされていたこと
出典: 名もない毎日/作詞:MONCH 作曲:MONCH/RYLL
Bメロといっても大きくドカーン!と転調をする訳でもなく、あくまで自然にAメロとサビをつなぐメロディラインとコード進行です。
映画やドラマなどで、主人公の気持ちの浮き沈みを表すのに「感情曲線」という言葉が使われます。
この曲線にBメロを当てはめると、登場人物の感情曲線は少し上向いて来ていますね。MVでは、漫画家を目指しているパートナーに勇気付けられる様子が描かれています。