二人の間にはグラスが
その話の内容は…
ウイスキーがお好きでしょ もう少ししゃべりましょ
ありふれた話でしょ それでいいの 今は
出典: ウイスキーが、お好きでしょ/作詞:田口俊 作曲:杉真理
タイトル通り「ウイスキーが、お好きでしょ」とやんわり伺いつつ、有無を言わさず差し出された琥珀色の液体。
ウイスキーが入ったグラスを前にして切り出す話。今夜は少し長くなりそうです。
『ありふれた』は、特別感が無いどこにでもあるものを意味します。
聞く人にはつまらない内容と分かっていても、アルコールで滑らかになったお喋りが止まりません。
どこにでもありがちな話、内容は過去の人間関係に関してが多いですね。
駆け引きを試みたけれど気が付けば自然消滅した恋もその一つ。
話も気も合うから良い結果になると思ったのは自分だけだった恋。
思い通りにならなかったことを慰めて欲しいなんて思っていません。
ただ話を聞いて欲しいだけ。
ウイスキーが作ってくれる時間の中に自分を置いておきたいだけです。
相性は良かったのに
裏切りは自分のせい?
気まぐれな星占 (うらな)いが ふたりをめぐり逢わせ
消えた恋とじこめた 瓶をあけさせたの
出典: ウイスキーが、お好きでしょ/作詞:田口俊 作曲:杉真理
生まれた月を聞いてみるというのは、話のきっかけになりますね。
面と向かって生年月日は聞けなくても、何月?というのは答えも返しやすい質問です。
そしてそこから何となく分かる12に分けられた星座。
話が弾む相手が相性の良い星座であれば運命を感じてしまうことも。
でもあくまで占いによる相性診断。本当の恋に進むためにはそれ以外の要素も重要です。
封印をしたはずのあの日の恋。恋をしたことだけが事実として残っています。
ウイスキーは、自分の恋を思い出したくなるお酒。
あの日のようにもう一度楽しい話ができる気がするんです。
悪いのは占いを信じた自分…?確かに今より若かったから。
占いの結果だけではなく、あなたのことも信じていたのに。
気が付けばまたこのお店で飲んでいます。
一人が居心地良いから
今夜が幸せなら
ウイスキーがお好きでしょ この店が似合うでしょ
あなたは忘れたでしょ 愛し合った事も
出典: ウイスキーが、お好きでしょ/作詞:田口俊 作曲:杉真理
インストルメンタルのBGMが静かに流れて、全体の装飾に大げさなものが無い造り。
椅子だけは落ち着いて座れるモノがちゃんと選ばれているお店。
暗すぎない照明もポイントになるのかも。
着かず離れずの関係でいられるのが良いお店のセオリー。
居心地の良いお店で出会った二人の姿が浮かびます。
いつしか通う回数も増え、お店にいる時間も長くなりました。
打ち解け合ってお酒も会話も弾みます。
はしゃぐことはしないけれど、心惹かれて二人の時間を重ねたこともありました。
私は相変わらずこのお店に通っているけれど、今のあなたを責めることはしないつもり。
過去を引きずるのは好きじゃない。終わったことは忘れるのが自分の流儀…?
一人飲みも寂しくないこのお店は私が私でいられる場所。
私のことは私が知っていればいいことだから。
お酒が言わせるセリフは…
酔うのはお酒と過去…
ウイスキーがお好きでしょ からかっているんでしょ
それとも酔ってるでしょ それは私かしら
出典: ウイスキーが、お好きでしょ/作詞:田口俊 作曲:杉真理
グラスを重ねてウイスキーにすっかり魅了されていることは分かっています。
酔っていることを認めたくなくて背筋を伸ばそうと試みるけれど…。
私を見ている表情からは、私のことはもう深く考えていないことが伝わってきます。
一瞬見せてくれる笑顔はどこか醒めた苦笑い。
同じボトルのウイスキーを飲んでいるから酔っているのは間違いないのに、素振りさえ見せようとしない。
口角が上がらない、心から笑えないのは自分も同じ。
でも今夜は許して欲しい、ウイスキーが作ってくれた夢半分の現実に身を費やす時間を。