勝負のセカンドシングル「恋愛スピリッツ」
異例のガールズバンド
2000年に結成し、2018年に解散をした徳島出身の3ピースバンド、チャットモンチー。
その歴史の中でも初期に発表され、ファンからの人気も高い「恋愛スピリッツ」はただの恋愛曲ではありません。
実力を試されるセカンドシングルで、冒頭から45秒のアカペラを入れ込むという攻めた構成となっています。
橋本絵莉子さんが作詞
チャットモンチーの作詞の担当は各曲によって違います。
曲が公開される度、今回は誰が作詞を担当しているのかという所にまで注目されるバンドでした。
ギターボーカルの橋本絵莉子さん、ベースの福岡晃子さん、ドラムの高橋久美子さんが作詞を分担しています。
今回紹介する「恋愛スピリッツ」は橋本絵莉子さんが作詞を担当しました。
橋本絵莉子さんの作詞はいい意味で硬さが無いことが特徴です。
遠回りな言い回しがなく、素直な言葉で綴られた歌詞には人を惹きつける力があります。
18歳の過去
この曲は橋本絵莉子さんが18歳だった時に、好きな男性に告白する際に書いたメモを元に作詞されています。
18歳の時というと2001年前後なので、ちょうどカメラ付き携帯が普及し始めた頃の年代です。
多感な時期に綴った想いが反映されていることを知っておくと、曲の本質をより理解することができます。
それでは歌詞の内容を細かく紐解いていきましょう。
シチュエーションを詰める
この曲を聴いた多くの方が、「付き合っている男性に別の女性がいる」というシチュエーションを連想します。
そして、不倫や束縛といったテーマを持っていると捉えがちですが、私はそうは思いません。
告白の経験を元にしているという情報を書いた通り、この詞のテーマも「告白」であると考えています。
そのことから連想されるのは、「すでに本命がいる男性に告白をする」というシチュエーションです。
この考察を元に解説を進めていきましょう。
「意味のあるもの」とは?
始まりの詞
今までひとつでも失くせないものってあったかな
今までひとつでも手に入れたものってあったかな
出典: 恋愛スピリッツ/作詞:橋本絵莉子 作曲:橋本絵莉子
曲の冒頭はアカペラから始まり、歌詞を聴かせることに重点を置いていることがわかります。
上記の二行では、「恋」という目に見えないものについて歌っているのではないでしょうか。
つまり、確かめようがない感情への曖昧さを自分自身に問いかけているのです。
触れることや見ることができないものへの切なさが、この詞から感じ取ることができます。
告白のリスク
どうか無意味なものにならないでね
今すぐ意味のあるものになってね
出典: 恋愛スピリッツ/作詞:橋本絵莉子 作曲:橋本絵莉子