気丈に振る舞わなければ

バスを待つい間に気持ちを変える
つないだこの手の温もりを
忘れるためにも

出典: バス・ストップ/作詞:千家和也 作曲:葵まさひこ

続く歌詞の中で、女性の思いを読み取ることができます。

女性は、何が何でもここでキリッと決心をみせる必要がありました。

だから、男性からの余計と思える優しさを排除し、気丈に振る舞ったのです。

泪を見せようとしないのも男性のためではなく自分へのけじめです。

ここは、大勢の人がいるバス停留所。

別れの現場を誰に見られているか、分かりません。

ここで弱気になってしまったら、この後立ち直る自信も失せるかも分からない。

だったら、全てを綺麗にここで清算しておこう。

そうしないことには、本当に愛しぬいた男性と別れられるはずがないから。

女性は、かたくなにそう信じ、バスの到着を待つのでした。

精一杯の演技

泪があふれそうになるから

…どうぞ顔をのぞかないで
後のことを気にしないで
独りで開ける部屋の鍵は重たい

出典: バス・ストップ/作詞:千家和也 作曲:葵まさひこ

そうこうしているうちに、遂にバスが到着しました。

男性はバスに乗り込み、座席の窓を開けて女性を覗き込みます。

これが最後になるかも分からない。

そう思うと、男性も女性への惜別の言葉に涙ぐんでくるのです。

女性は、そんな思いがけない表情に困惑してしまいます。

取り乱しそうになります。別れる決心をしたことに後悔の念を覚えてしまうからです。

でも、そこを女性はぐっとこらえました。気丈に振る舞っています。

男性に懸命になって、「大丈夫だから…」と、伝えたのです。

そうしないと、女性も泪でいっぱいになりそうだったからです。

やり直すためにも

バスを待つ間に気持ちを変える
うるんだその眼の美しさ
忘れるためにも

出典: バス・ストップ/作詞:千家和也 作曲:葵まさひこ

間もなくバスは発車します。

発射までの残りの時間、男性の眼にも涙があふれてきました。

窓越しに、男性が涙ぐんでいるのがよくわかるのです。

女性も思わずもらい泣きしそうです。

本当は、別れたくなかったのですから。

みれんがましいと思われてもいいので、このまま男性の席まで行きたい衝動に襲われそうなのです。

しかし、断腸の思いで女性はこらえました。

ここで気丈に振る舞えないのなら、今までの決断は何だったのか?

バスが発車するまでのわずかな時間、女性は何度も言い聞かせました。

全てを忘れる決心を女性は選択したのですから。

その代わり、バスが発車するまで時間が止まって欲しい。

男性の事をいい思い出にするためにも、もう少しこのひとときが欲しい。

切に思いながら、やがてバスは発車していくのでした。

別れの形はさまざま

尽くすから疎まれる?

「バス・ストップ」は1972年に発売された平浩二さん最大のヒット曲です。

そして発売されてから数十年も経っているのに、いまだに愛される流行歌でもあります。

ところで、50年も経てば、男女を取り巻く恋愛模様も変わって当然でしょう。

当時の女性たちにとって、「尽くす」という行為は愛の証だったのです。

好きな相手には、とことん尽くすのが当たり前の世の中でした。

この曲に登場する女性も、そのあたりを匂わせています。

しかし、その行為が男性から疎まれてしまったのなら、どうしようもありません。

全ての責任は自分にある。そう思うことにして、男性からの別れの宣言を文句も言わず受け入れたのです。

結局、男女の恋愛模様は尽くすほど疎まれてしまうのは今も昔も変わらないのでしょうか?

「バス・ストップ」からは、そのあたりの男女の機微が窺えるようです。

別れを次のステップに

失恋から立ち直るのは、今も昔も女性の方が早いようです。

歌詞中の女性は、男性からの最後の言葉に泪ぐみそうになります。

しかし、メソメソしている素振りは窺えません。

むしろ、破局によってダメージを受けたのは男性の方なのです。

男女の愛のもつれは、女性を強くし、ますますいい女性に変えるのでしょう。

この曲に登場する女性も、今は失恋のダメージが心を覆っています。

しかし、バスを見送って家に帰ったなら、新しい生活に向かって歩み出すのも早いのです。

「バス・ストップ」に描かれた男女の恋愛模様。

結局、思い出に振り回されるのは、男性の方ということなのでしょう。

男女の恋愛模様を描いた作品、まだまだこの他にもたくさんありますよ。

この曲を聴いて涙した人も多いのでは? 筆者は学生時代にこれを聴いて涙腺が崩壊しました>< そんなRADWIMPS最強の失恋ソング「me me she」の歌詞を徹底分析しちゃいます。