シャンデリア

ぶらさがる意味

I'm gonna swing from the chandelier, from the chandelier
I'm gonna live like tomorrow doesn't exist
Like it doesn't exist

出典: Chandelier/作詞:Jesse Shatkin,Sia Furler 作曲:Jesse Shatkin,Sia Furler

“シャンデリアからぶらさがりたい

シャンデリアから

明日なんて来ないみたいに、今を生きたい

そう、来ないみたいに”

シャンデリアといえば、夜のパーティ会場を彩る豪華さ、美しさの象徴です。

しかし一方で、触れれば容易く壊れてしまう危険な調度品でもあります。

では、彼女はどうしてそんなところからぶらさがりたいのでしょうか。 

その答えは、注目願望でしょう。

彼女は自暴自棄になっています。

「明日なんて来ないみたいに」と繰り返している歌詞から分かるとおり、明日を考えることすら恐れています。

自分がどんなに苦しいのか、悲しいのかということを気付いてほしいのです。

そして、本当は周囲の人から心配してほしいのでしょう。

それが「シャンデリアからぶらさがりたい」という突飛な衝動へと繋がるのです。

彼女はだれにも届かない声で、心の内を叫んでいます。

弱みを見せる

I'm gonna fly like a bird through the night, feel my tears as they dry

出典: Chandelier/作詞:Jesse Shatkin,Sia Furler 作曲:Jesse Shatkin,Sia Furler

“鳥になって、深い夜の中を飛んでみたい

そして、私の涙が乾いていくのを感じたい”

ここで、彼女は初めて自分の弱みを見せます。

「涙」を流しているのです。

でも、そんなことは悟られたくないから、全てを隠してくれる深い夜の闇に逃げようとします。

「傷つかない」「何も感じない」「愛を感じる」とずっと強がってきた彼女。

しかし、そんなはずはないことは百も承知です。

ここで初めて彼女のSOSを聞くことができます。

本当は生きたい

必死でしがみつく

And I'm holding on for dear life, won't look down won't open my eyes
Keep my glass full until morning light, 'cause I'm just holding on for tonight

出典: Chandelier/作詞:Jesse Shatkin,Sia Furler 作曲:Jesse Shatkin,Sia Furler

“でも私は愛しい「生」にしがみついている

下を見ないようにして、目を開けないようにして

陽の光が差すまでは、私のグラスにお酒を注ぎ続けて

この夜にずっとしがみついていたいから”

ここからは、彼女の本当の想いが堰を切ったように吐露され始めます。

そう、本当は生きたいのです。

依存し現実逃避をして、身も心もぼろぼろになっても、それでも必死で「生」にしがみつきます。

「下をみないように」「目をあけないように」という言葉は、彼女の優しい心を表します。

生きるということは、元来とても自分本位な行為です。

たくさんの辛いこと、恐ろしいことを見て見ぬふりして、ようやく「生」は成り立ちます。

繊細な彼女はそのようなことにも目がいき、心を痛めてしまうのではないでしょうか。

普通の人が気づかず当然のように享受できる「生」が、彼女には大きな苦しみを伴います。

その苦しみを少しでも忘れるために、依存し、すがる。

毎晩、翌朝が来るのを恐れびくびくおびえながらも、それでも必死に生きるという選択をするのです。

助けて

Help me, I'm holding on for dear life, won't look down won't open my eyes

出典: Chandelier/作詞:Jesse Shatkin,Sia Furler 作曲:Jesse Shatkin,Sia Furler

“助けて”

この一言に全てが詰まっています。

彼女の必死の心の叫びです。

アルコールでもだめ。

仮初の相手でもだめ。

本当に自分を愛してくれる、そんな人からの受け取る「愛」だけが、彼女を救ってくれるのでしょう。

そして、彼女は救われるべき人間だと私は思います。

というよりは、「救われて欲しい」と願わずにはいられないくらい、儚く愛しい女性なのです。

シャンデリアが象徴するものとは