milet【inside you】歌詞を徹底解説！あなたへの最初で最後のお願いは？切なすぎる別れの曲

これが日本人アーティストの楽曲なの？！

唯一無二ともいえるmilet（ミレイ）の楽曲・世界観はリスナーに衝撃を与え、引き換えに心を奪っていきます。

今回ご紹介する曲は彼女の1st E.P表題曲『inside you』です。

直訳すると「あなたの中に」。そこには誰が、何が存在するのでしょうか。

milet Official YouTube Channelにて『inside you』のMVが公開されています。

彼女の歌声は「ダーク」と評されていますが、声自体は非常に伸びやかで開放的に感じませんか？

そして歌いまわしに一切の小細工がない点も彼女の特徴です。

だからこそ歌詞を構成する言葉のひとつひとつがはっきりとした輪郭を持ち、リスナーに届きます。

日本語と英語が境界線なく行き来する『inside you』、どのような世界が描かれているのでしょうか。

失ったものを嘆くだけなら誰にでもできます。

嘆きながらも取り戻そうとする強さを持っているのが、この曲の主人公です。

朝がやって来ない、つまり暗いままの状況が続いているようです。

夜が機嫌を損ねるぐらいですから、見通しも立たないのでしょう。

待てど暮らせど朝が来ないのであれば、いっそ朝なんて存在しないのだと考えたほうが気がラクなのかもしれません。

いつか朝が来る、と期待し続ける方が辛いのです。

この曲で朝に該当する存在が「あなた」なのでしょう。

「あなた」を失ったときから、主人公の時計は止まっています。

家族や友人、親しい人たちはどうにか元気づけようとしてくれたのかもしれません。

こういう場合、誰かの慰めで前に進める人はあまり多くありません。

結局一歩を踏み出すのは自分自身。そこにとどまっているのも自分の選択なのです。

大切な存在を失ったことで心に大きな穴ができたようですね。

ふたりで過ごした日々を思い返す度に「あなた」の存在の大きさを否が応でも思い知らされます。

主人公はふたりの将来をしっかり見据えていたのでしょう。

少なくとも、別れの予感なんて感じていなかったはずです。

しかしその将来は実現することなく、青写真として主人公の記憶に残されました。

主人公の目の前から車が走り去っていく様子が浮かびます。

二つの光源によって主人公の後ろには二つの影が生まれたのでしょう。

ふたりで過ごした記憶を置いて「あなた」は去っていったのです。

捨てた側は身軽に、捨てられた側は沢山の荷物を持って進まなければなりません。

その荷物が重いからこそ、主人公は前に進めずにいるのです。