生き地獄のよう
生きるは毒杯 杞憂の苦しみを
飲み干す術を誰が授けよう
太陽に棲むと云う賢者の鷲
羽搏きだけが谺する
出典: 亡國覚醒カタルシス/作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也
前半では「生きる」ことを「毒の入った飲み物を飲むこと」であるといっています。
これは「生き地獄」という意味合いでしょう。
困難ばかりの辛い人生を生きる術を誰か教えてほしい。
そんな「嘆き」が込められているのだと思います。
そしてここで鷲が登場しました。
鷲は古代「太陽神」として信じられていたのです。
火と太陽を崇拝する一環で、太陽の神の霊魂を持つ「鷲」を崇めていました。
だからこそ、この歌詞では「太陽」や「鷲」を特別視する表現をしているのでしょう。
「生と死」を彷徨う
生きる意味を見いだせない
この双つの眸に宿った
闇と光 その何方で
僕は未来(あした)を
見つめるべきなのだろう
渇き切った瓦礫の街
点と線を繋ぎ合わせ
意味など無い事ばかり
溢れてゆく
出典: 亡國覚醒カタルシス/作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也
絶望的な状況で「闇」と「光」の狭間を見つめる…。
そんな中、明日を生きる「べき」と言い聞かせていますね。
つまり、「生きる」か「死ぬか」悩んでいるのではないでしょうか。
そして後半では、荒れ果てた街並みが描写されています。
貧しい生活を強いられているのでしょう。
必死に明日を生きようとしても、意味を見いだせない。
虚しい思いに溢れているのが読み取れます。
孤独を感じて流れる涙
炎のごとき孤独
抱く體 鎮めては
暗渠へと滴ってく雫
出典: 亡國覚醒カタルシス/作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也
炎は全てを焼き尽くすため、誰もが触れないように避けるでしょう。
そして、時に「神聖」な存在として称えられます。
視点によっては「炎は孤独」なのです。
それと同じように「孤独」を生きる主人公。
「暗渠(あんきょ)」とは蓋をされた水路。
これは自身の流す涙が意味をなさない虚しさを示していると推測できます。
溢れだす涙はそのまま綺麗に排水され、感情に蓋をされてしまう。
あとには何も残りません。
虚しさを独特な表現で描写していますね。
いっそ処刑してくれ
掲げる毒杯 この生は満ちても
焦がれる死の夢は流れ着く
砦に喰い込む爪 孤高の鷲
羽搏きだけが 舞い上がる
あの蒼穹に磔刑にしてくれたまえ
天と地が結ぶ場所に僕は立つ
出典: 亡國覚醒カタルシス/作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也
先ほどの「毒杯」を喜びを表現するかのように掲げる…。
絶望に打ちひしがれる中、生きることを放棄するために「死」を望んでいるのでしょう。
そして最後のフレーズに注目しましょう。
「いっそ磔(はりつけ)に処刑にしてくれ」といっています。
そして主人公が立っているのはおそらく「あの世」と「この世」の境界線。
少し宗教やスピリチュアル的な表現になりますね。
単純に「生と死の狭間を彷徨っている」という解釈が適切かもしれません。
変化の兆し
進むべき道を思い出す
花実のような記憶たちは
焼かれ爛れ抜け殻だけ
あの日の魂は
何処へ行ったのだろう
冷たい膚 寄せて触れて
胸の傷と傷を合わせ
再び辿るべき地図
ここに刻む
出典: 亡國覚醒カタルシス/作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也
かつての幸せな記憶を思い出しているようです。
魂がすっぽりと抜けてしまったように呆然としているのでしょうか。
そして、目的や意味を失っていた主人公は、自分の進むべき道を探り始めます。
たくさんの思いを巡らせた結果、ようやく生きる力を取り戻したのかもしれません。