時速36kmの魅力が詰まった楽曲「素晴らしい日々」
聴く方法は?
「素晴らしい日々」は、2ndEP「最低のずっと手前の方で」の最後に収録されている楽曲。
作詞はベースを担当する荻野哲さん、作曲はバンド名義となっています。
CDはタワーレコード、ヴィレッジヴァンガードの対象店舗で購入可能です。
公式MVも公開されているので試聴することもできますよ。
特徴的な歌声の魅力
時速36kmの特徴ともいえる等身大の歌詞とシンプルなバンドサウンドが印象的なこの曲。
イントロは清々しくもどこか切なげなギターで始まります。
そしてベースとドラムが加わることで徐々に彼らの持ち味である疾走感に溢れた演奏に。
イントロからすでに心を掴まれてしまう人も多いはずです。
ボーカルの仲川慎之介さんの歌声も特徴的。
ハイトーンでありながら深みのある声です。
溢れ出しそうなエモーションを少し抑えながら精一杯歌うような声に、思わず聴き入ってしまいます。
歌詞は、妥協や諦めといったネガティブな感情を歌いつつ、そんな日常に希望を見出すという内容です。
「日常に疲れてしまった」「最近いいことがない」という人にぴったりな曲といえるでしょう。
「列車」というキーワード、「君」とは誰か、そしてつらい日常をなぜ「素晴らしい日々」と言えるのか。
気になる部分も多い歌詞の内容をここからじっくりと見ていきます。
日々に疲れた大人たちに贈る等身大の応援歌
大人になったからこそわかる毎日のつらさ
歌詞には「列車」「中央線」といった電車を表す言葉が何回も登場します。
主人公は電車に乗りながら最近の生活について思いを巡らせているのでしょう。
MVでもバンドメンバーが電車でどこかへ向かう様子が映し出されています。
歌い出しの歌詞は次のとおり。
「嫌になって飛び込んだ列車」
嫌なのは嫌になることがない事
出典: 素晴らしい日々/作詞:荻野哲 作曲:時速36km
嫌になることがないのは一見いいことのように思えますが、なぜそれが嫌なのでしょうか?
それは歌詞の続きを見てみるとわかります。
前よりは幾分か楽なのに
くだらない嘘を身に纏ってる
出典: 素晴らしい日々/作詞:荻野哲 作曲:時速36km
以前は様々なことに嫌になりながらも、まっすぐ正直に生きてきた主人公。
しかし、そんな生き方を続けていれば疲れてしまいます。
年を重ねるごとに嘘や偽りの態度で場を切り抜けることも増えてきました。
そうやって物事に本気で向き合うことを避けた結果、嫌になることさえなくなってしまった。
先ほどの歌詞は、そんな自分が嫌ということだと解釈できます。
ガキの頃買い続けた漫画
230円の10倍がいま
2時間の飲み会で
簡単に消し飛ぶ度、白々しいが気持ち悪さに混じる
出典: 素晴らしい日々/作詞:荻野哲 作曲:時速36km
子供の頃は数百円でも大事に使っていたのに、大人になると2時間の飲み会に数千円を使うこともしばしば。
あまり気の進まない飲み会であっても気持ちとは裏腹に簡単にお金を払ってしまうこともあるでしょう。
主人公はそんな自分と今の生活ににしらけた気持ちになり、さらに気持ち悪いとまで思ってしまいます。
数字が出てくることによってハッとするような現実感が表現されている歌詞ですね。
未来への不安
この街ももっと静かなら
彼もギターなんて弾かないだろ
今日も明日も昨日も明後日も
替えの効かない日ならいいのにね
出典: 素晴らしい日々/作詞:荻野哲 作曲:時速36km
歌詞から、騒がしい街の様子が伝わってきます。
彼とはそんな街中でギターを弾いている路上ミュージシャンなのでしょうか。
主人公は変わり映えしない毎日を嘆きながら、今を精一杯歌う彼を羨んでいるのかもしれません。