Hey!Say!JUMP「秋、晴れ。僕に風が吹いた。」
Hey!Say!JUMPらしい、ポップで可愛らしい展開が魅力的な「キミアトラクション」。
きっと耳にしたことのある人も多いでしょう。
今回ご紹介するのは、そんな楽曲のカップリング「秋、晴れ。僕に風が吹いた。」です。
この曲では、きっと誰もが共感できるであろう、ある気持ちについて描かれています。
その気持ちというのが、変われない自分に対するもどかしさ、やるせなさ。
そんな、胸の中でくすぶっている想いがリアルに表現されているのです。
前に進めない僕
そこにいたのはいつもと違う僕
ため息ついて ふと覗いた窓に
映った僕は知らない人に見えた
しまったままの
あのスニーカーのように
走り出す場所を
ずっと探してたのかな
出典: 秋、晴れ。僕に風が吹いた。/作詞:タハラノブヒロ 作曲:タハラノブヒロ
鏡の前に立つ僕はいつも通りの僕であるはずなのに、何故か違う人のように見える。
そう感じるのは、僕自身の内面の変化が表れているからでしょう。
本当なら、僕は立ち止まらず前に進まないといけない、一歩進まないといけない状況にいます。
それなのに踏み出せずに、その場で足踏みしてしまっている。
そんな僕自身へのもどかしさ、くすぶらせている想いが溢れ出しているのでしょう。
そうした溢れんばかりの気持ちが、僕を違う人の様に見せているのだといえます。
スニーカーと僕
ここで「スニーカー」という単語が出てくるのはなぜでしょう。
この曲におけるスニーカーは、「前進すること」の象徴だと考えられます。
というのも、スニーカーは「歩くこと」「走ること」などを想起させるから。
これが先ほど述べた通り、前に進まなくてはいけない主人公を表現しているのです。
過去を思い返す僕
あの頃の僕らは どんなに
泥まみれになっても
輝くときを きっと
いつまでも信じてた
出典: 秋、晴れ。僕に風が吹いた。/作詞:タハラノブヒロ 作曲:タハラノブヒロ
いつもと違う僕は、その原因が「一歩踏み出せていない」ことにあると悟りました。
だからこそ、こうして過去の僕を思い返してしまうのでしょう。
恐れることなく踏み出せていたあの頃。傷ついても諦めずに立ち向かっていたあの頃。
あの頃の僕といまの僕は何が違うのだろう。かつてできたことができていない今の僕…。
過去の輝かしい思い出は、自分自身を励ますどころかより一層やるせなさを増幅させてしまったようです。
変わりゆくことへの不安と期待
変われない僕と変わりゆく街並み
玄関先で控えめに揺れてる
名もない草は 小さな花をつけた
見慣れたはずの この街の景色も
新しい今を刻んでいたみたいだ
出典: 秋、晴れ。僕に風が吹いた。/作詞:タハラノブヒロ 作曲:タハラノブヒロ
その場で立ち止まっているわけにはいかないとわかっていても、いつまでも足踏みしてしまう僕。
そんな僕を差し置いて、僕を取り巻く環境はどんどん変化していきます。
そんな変化を際立たせるのが、歌詞に登場する小さな花でしょう。
名前さえない小さな命が、必死に今を生きて、そして姿を変えていく。
僕自身が立ち止まっているうちに、そうやって周囲はどんどん変化してしまうのだ。
自分だけが置き去りにされてしまう不安、焦り、切なさも感じられます。
しかしこの小さな変化は、きっと自分が勢いよく進んでいる時には気が付けないものです。
つまり、僕自身が立ち止まることでしか気が付けなかったのです。
どこか切なげに思える部分ですが、実際はとてもポジティブで、次につながる非常に重要な部分だといえます。