この和訳は以下の通りです。
僕は精神科医に行ったよ
夢の分析をしてもらいにさ
彼女は性生活が欠如していると言った
僕はがっかりしたよ
出典: Basket Case/作詞:Billie Joe Armstrong 作曲:Billie Joe Armstrong, Michael Pritchard & Frank Wright
「shrink」は直訳すると「縮小させるもの」のような意味です。
この言葉はスラングで精神科医を指して使われます。
膨らんだ妄想を「縮ませる」ことから、こうした使われ方になりました。
悪い夢を見て、自分を診断してもらおうと精神科医の元を訪れます。
精神科医の彼女は性生活が不足しているからだろうと言うのです。
その答えに「僕」は落胆します。
「僕」にとっては的外れな答えだったのでしょう。
強い無力感を解決できる方法を見つけられないまま「僕」は過ごします。
売春の彼のアドバイス
I went to a whore
He said my life's a bore
So quit my whining cause
It's bringing her down
出典: Basket Case/作詞:Billie Joe Armstrong 作曲:Billie Joe Armstrong, Michael Pritchard & Frank Wright
この部分の和訳は以下のようになります。
僕は売春に会いに行ったよ
彼が言うには僕の人生が退屈なんだと
だから泣き言を言うのをやめろってさ
彼女をがっかりさせるからね
出典: Basket Case/作詞:Billie Joe Armstrong 作曲:Billie Joe Armstrong, Michael Pritchard & Frank Wright
「僕」が次に向かったのは「whore」のところ。
whoreは「売春婦」と訳しますが、ここでは「he」と表現されています。
精神科医の「彼女」と対比されている表現です。
ビリーはバイセクシャルであることがインタビューなどで知られています。
性的な相手が女性であるとは限らないという表現といえるでしょう。
ビリー自身の性的志向に限らず、世の中の固定観念も揺さぶるような印象です。
そんな彼が言うのは「人生が退屈だからだ」。
泣き言を言うのはやめて、楽しいことをすればいいのではないか。
彼はそんなアドバイスをしたのでしょう。
ここで登場する「her」は、歌詞には登場しない「僕」の親しい女性と解釈できます。
無力感を克服するには
自分をコントロールしたい
Grasping to control
So I better hold on
出典: Basket Case/作詞:Billie Joe Armstrong 作曲:Billie Joe Armstrong, Michael Pritchard & Frank Wright
この部分は以下のように和訳できます。
自分のコントロールをつかもうとする
それで良い状態を続けていきたいんだ
出典: Basket Case/作詞:Billie Joe Armstrong 作曲:Billie Joe Armstrong, Michael Pritchard & Frank Wright
繰り返しの部分は割愛します。
自分の抱える無力感や悩み苦しみを様々な人に相談した「僕」。
はっきりとした答えや改善策が見つかってはいないのでしょう。
ですがそれでも、自分なりに自分をコントロールしようとします。
こうした形で苦悩を言葉にし、歌にすることもその一環です。
様々な対応方法を試行しながら、自分を少しでもより良い状態にしていこうとします。
こうした試みを繰り返し、自分の弱った心と向き合って調整していく。
パニック障害で実際に苦しんだビリーだからこそ、赤裸々に伝えられる向き合い方なのです。
少しでも前へ
ここまでずっと自己嫌悪や苦悩の感情が見られた歌詞。
はっきりとした解決策を得ることもできず、無力感は深まる一方でした。
しかし、ここで「僕」はそんな中でも自分をコントロールして前を向こうとしています。
実際に動けなくなるほどの無力感に襲われた時、必要なのは前向きな意思なのでしょう。
なんとかしてうまくコントロールできない自分を掴もうとする。
そしてより良い方向に行くように続けていく。
簡単なことではないからこそ、そうした意思がとても大切なのです。